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ヨーロッパに続き…アルゼンチンで1年半ぶりの有観客開催が決定!

2021.08.25

 新型コロナウイルス感染症の影響により、昨年3月10日に行われたコパ・リベルタドーレスのグループステージ、ボカ・ジュニオールvsインデペンディエンテ・メデジン戦を最後に、アルゼンチンではずっと無観客で試合が行われてきた。しかし、ついにサポーターの入場が、スタジアムのキャパシティ30%を上限として許可される運びとなった。

エル・モヌメンタルがその舞台に

 1年半もの月日を経て、晴れて有観客で開催されるのは、9月9日のW杯南米予選アルゼンチン代表vsボリビア代表戦。リオネル・エスカローニ監督率いる代表にとって、先のコパ・アメリカ優勝後初めてとなるホームゲーム、しかも会場はリーベルプレートの本拠地「エル・モヌメンタル」(正式名称はエスタディオ・アントニオ・ベスプシオ・リベルティ)。

 約1年かけて大掛かりな改修工事が行われ、それまであった陸上トラックも撤去されて生まれ変わったエル・モヌメンタルが代表戦のホームとなるのは実に4年ぶり。注目度と話題性では文句なしの一戦が選ばれることとなった。

 長期にわたって実施されたロックダウンと商業活動の制限により、経済の低迷が著しいアルゼンチン。サッカー界も大きな打撃を受けており、興行収入がないため債務を負うクラブも少なくない状況の中、打開策のひとつとして一刻も早い有観客試合の実践が待ち望まれている。

 観光スポーツ省のマティアス・ラメンス大臣はこの試合について「サッカーだけに限らず、観客の入るあらゆるイベントを復活させるためのテスト」と話しつつ、同時に「この後、9月末までにはLPF(リーガ・プロフェシオナル・デ・フットボル=アルゼンチン1部リーグ)の試合にも観客を入れることが目標」とも語っており、政府としても有観客のリーグ戦復活に力を入れる姿勢を明らかにしている。

南米予選は大半が有観客に

 アルゼンチンvsボリビア戦における観客の数やスタンドでの配置等の詳細を決めるため、今週中にも保健省とAFA(アルゼンチンサッカー協会)の間で会議が行われることになっており、そこでリーグ戦のためのサポーター向けガイドラインについても取り上げられる予定だ。

 国内のスポーツ専門メディア『Doble Amarilla』が関係者から得た情報として報じた内容によると、リーグ戦での入場の条件として確定しているのは「マスクの着用とソーシャルディスタンスの厳守」のみ。当初LPFが作成したプロトコルには「コロナ検査陰性証明書の提示」と「ワクチン接種の有無と回数によってスタンドを分ける」との案が記載されていたが、検査費用を払えない人も多いこと、ワクチン供給が間に合わず、接種を待っている人もいることなどから、差別化を避けるために撤回されたという。

 ちなみに、マラカナンで開催されたコパ・アメリカ決勝で7000人の観客が入場した際は、試合の48時間前に行った検査で陰性であることが条件とされた。

 9月のW杯予選では、他の南米諸国でもペルーを除く9カ国でサポーターの入場が許可されている。欧州に続き、南米からもサポーターがスタジアムに戻ってきた喜ばしい光景が発信されることになるが、アルゼンチン保健省のカルラ・ビソッティ大臣は「すべては感染状況次第。デルタ株の猛威はすぐ近くまで迫っている」と警告し、「リーグ戦にサポーターが戻る日を実現させるためには、油断せずに感染防止策を徹底させることが必須だ」と呼びかけている。

 変異ウイルス感染拡大を懸念しながらもアルゼンチンvsボリビア戦を有観客にする背景に、「3日後の9月12日に行われる国会議員予備選挙に向けて、与党が好印象を与えようとしているのではないか」との世論もある。


Photo: Getty Images

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Chizuru de Garcia

1989年からブエノスアイレスに在住。1968年10月31日生まれ。清泉女子大学英語短期課程卒。幼少期から洋画・洋楽を愛し、78年ワールドカップでサッカーに目覚める。大学在学中から南米サッカー関連の情報を寄稿し始めて現在に至る。家族はウルグアイ人の夫と2人の娘。

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