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イタリアの[3-2-5]vs イングランドの5バック。EURO決勝にふさわしい“最新形”の攻防を紐解く

2021.07.13

イタリア代表とイングランド代表。ともに高い完成度を示し勝ち上がってきた両雄の激突となったEURO2020決勝は、PK戦の末イタリアの戴冠で幕を閉じた。ピッチ上ではいったいどんな攻防を繰り広げられていたのか。らいかーると氏に分析してもらった。

 イタリアのスタメンはドンナルンマ、ジョバンニ・ディ・ロレンツォ、ジョルジョ・キエッリーニ、レオナルド・ボヌッチ、エメルソン、ジョルジーニョ、ニコロ・バレッラ、マルコ・ベラッティ、フェデリコ・キエーザ、ロレンツォ・インシーニェ、チーロ・インモービレ。ボール保持時に流行となっている[3-2-5]を採用しているイタリアはそのボール保持で強さを見せてきたが、準決勝ではスペインを相手にイタリアの伝統芸である撤退守備でらしさを見せファイナルにたどり着いた。

 対するイングランドのスタメンはジョーダン・ピックフォード、カイル・ウォーカー、ジョン・ストーンズ、ハリー・マグワイア、キーラン・トリッピアー、 カルビン・フィリップス、デクラン・ライス、ルーク・ショー、メイソン・マウント、ラヒーム・スターリング、ハリー・ケイン。 ギャレス・サウスゲイト監督はボール保持で輝ける選手よりも、ボール保持・非保持にかかわらず安定してプレーしてきた選手を優先的に起用してきた。会場はウェンブリーであり、ホームで負けるわけにはいかない。

 イタリアのプレースタイルはプレー原則を基礎に構成されている。一方のイングランドは実用主義。つまり、試合を重ねて結果を出してきた選手や形をベースにチームを構築してきた。ゆえに、イングランドのベンチには派手なメンバーがズラリ。チーム構築における思想の差は興味深い。そんな思想の対決でもあったのだ。

チーム作りのアプローチは対照的な2チームの決勝となった

イングランドの策略が成功した序盤戦

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EURO2020イタリア代表イングランド代表レビュー戦術

Profile

らいかーると

昭和生まれ平成育ちの浦和出身。サッカー戦術分析ブログ『サッカーの面白い戦術分析を心がけます』の主宰で、そのユニークな語り口から指導者にもかかわらず『footballista』や『フットボール批評』など様々な媒体で記事を寄稿するようになった人気ブロガー。書くことは非常に勉強になるので、「他の監督やコーチも参加してくれないかな」と心のどこかで願っている。好きなバンドは、マンチェスター出身のNew Order。 著書に『アナリシス・アイ サッカーの面白い戦術分析の方法、教えます』(小学館)。

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