SPECIAL

衝撃のバルセロナ戦でバイエルンが披露した「圧縮4バック」

2020.08.23

CL決勝進出チーム戦術分析レビュー_バイエルン編

現地時間8月23日、ついに決勝戦を迎えるUEFAチャンピオンズリーグ。悲願の初優勝が懸かるパリ・サンジェルマンか、それとも通算6度目の欧州王者を狙うバイエルンか。注目の一戦を前に、決勝ラウンドの戦いの中から両チームの戦い方が象徴的に現れたゲームをピックアップして分析する。

バイエルン編で取り上げるのはバルセロナ戦。8-2という歴史的な大差でスペインの雄を葬り去った破壊的なプレッシングはパリ・サンジェルマンも蹂躙するのか、そのメカニズムを知ったうえで占ってみてほしい。

 「ブラジル戦でのパフォーマンスは、今夜のように支配的ではなかった」

 ドイツ代表の一員としても活躍し、記憶に新しい「ミネイロンの惨劇」でもスターティングメンバーとして活躍したトーマス・ミュラー。彼の試合後インタビューにおけるコメントは、この数年で最も衝撃的なゲームを見事に表現していた。ブラジル代表が母国で開催されたワールドカップの準決勝でドイツ代表に1-7の惨敗を喫したゲームは世界に衝撃を与えたが、CLで同様の衝撃が再現されることを予想した者は少ないだろう。ブンデスリーガ8連覇を成し遂げたドイツ王者バイエルンと、カタルーニャ州を象徴するスペインの強豪バルセロナ。チャンピオンズリーグの決勝ラウンドでも常連となっている強豪チーム同士の対戦は、拮抗した好ゲームになると考えられていた。しかし、蓋を開けるとゲームは完全にバイエルンのペースで進む。開始4分に先制すると得点を重ね、前半終了時点で4-1。後半も交代選手を投入しながら圧倒的な破壊力を発揮し、8-2という衝撃的な結果となった。世界中に衝撃を与えたバイエルンの戦術的な特異性について分析していきたい。……

残り:2,998文字/全文:3,733文字 この記事の続きは
footballista MEMBERSHIP
に会員登録すると
お読みいただけます

TAG

UEFAチャンピオンズリーグバイエルン

Profile

結城 康平

1990年生まれ、宮崎県出身。ライターとして複数の媒体に記事を寄稿しつつ、サッカー観戦を面白くするためのアイディアを練りながら日々を過ごしている。好きなバンドは、エジンバラ出身のBlue Rose Code。

RANKING