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「強いメンタル」を具体化する「フットボール・ブレイニング」とは?

2020.03.24

「サッカーのピリオダイゼーション理論」考案者

レイモンド・フェルハイエン氏 独占インタビュー

「『メンタル』なんて存在しない。それは果物と林檎を分けるようなものだ」

去る1月、「ワールドフットボールアカデミー・ジャパン」主催のセミナーでサッカー界で広く使われている言葉に疑問を呈したのは、「サッカーのピリオダイゼーション理論」を提唱するレイモンド・フェルハイエン氏だ。ルイス・ファン・ハールら世界中のエキスパートたちとサッカー心理学についても発展させている理論家にその言葉の真意を聞いてみた。

思考するのは心?体?


――セミナーの冒頭で「メンタルは存在しない」というお話がありました。そこについて詳しく聞かせてください。

 「メンタルというのは正しくない言葉です。例としてお聞きしますが、私たちは何を使って思考をしているのでしょうか?」


――頭でしょうか?

 「頭、つまり『脳』ですよね。その脳は体の一部ですから思考は身体的活動ということになります。にもかかわらず、大昔にフランスの哲学者ルネ・デカルトが、体の一部ではない心で思考をしているという心身二元論を唱え、メンタルという言葉が定着してしまいました。すでにその言葉は浸透しているため、取り除くことは難しいですが、間違っていますよ。例えばうつ病は心の病気と呼ばれていますが、処方されるのは脳内の神経伝達物質を調整する薬ですよね。私たちは実在しない心ではなく体で思考しているのです」


――日本のサッカー界でもメンタルという言葉はグラスルーツからプロまで広く使われていますが、そういった言葉を使うべきではない理由は何でしょうか?

 「世界でもそうした曖昧な言葉が使われていますが、実在しないものに責任を押しつけるために、実体の伴わない言葉を使っているに過ぎないのです。とりわけ指導者がそういった言葉を使ってはいけません。子供が親の習慣を真似するように、選手も自然と指導者の習慣から影響を受けて、ミスをしても言い逃れを始めてしまいますからね。責任の所在を誤魔化すということは原因究明をしないということですから、そのミスが無駄になってしまいます。そこで『思考』という言葉を使えば責任の所在が明らかとなりますし、原因がどこにあるのか考えることができますよね」......

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レイモンド・フェルハイエン育成

Profile

足立 真俊

1996年、岐阜県出身。生まれもっての“人見知り”を克服するためにアメリカにあるウィスコンシン州立大学でコミュニケーション学を専攻。学業の傍らで趣味として始めた翻訳活動がきっかけとなり、翻訳を通じたサッカーに関する情報発信を模索中。2019年5月、結局“人見知り”のままfootballista編集部の一員に。