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リバプールも注目する新世代CBベン・ホワイトとは何者なのか?

2019.10.23

リーズのベン・ホワイト

 昨シーズン、新監督にマルセロ・ビエルサを招へいして話題となったリーズ。イングランドでの初采配の結果は3位となり、魅力的なフットボールを披露して終盤まで優勝戦線に踏みとどまりながらも最後に失速。自動昇格を逃し、昇格プレーオフにも敗退してチームは今季も2部のチャンピオンシップを戦うこととなった。気難しいエル・ロコのこと、2年契約ながら1年での解除条項も織り込まれていたため辞任するのではないかとの見方が強まったが、プレーオフ敗退の2週間後には続投が決定。ビエルサの冒険はもうしばらく続くこととなった。

 しかしながら、クラブは戦力の維持・補強に苦労した。昨季チーム得点王のケマー・ルーフはアンデルレヒトに引き抜かれ、ポントゥス・ヤンソン、ベイリー・ピーコック・ファレルらの主力も流出。即戦力の補強はウルブスからローンで加入したエルデル・コスタのみで、それ以外の朗報と言えば、マンチェスター・シティからローン加入中のジャック・ハリソンが契約を延長したことくらいだった。昨季もそうだったが、スタメンにはそれなりの面子をそろえる一方でベンチにはアカデミー出身のメンバーが並び、層が厚いとは言えない状態だ。

 それでも、ビエルサ・ホワイツは決して潤沢とは言えない戦力で今季も優勝・昇格を争っている。それを支えているのは2年目の戦術浸透と、新たに加入した「期待の若手」たち。

 中でも、シーズン序盤を終えて一番の注目選手と言えるのがプロ4年目のCBベン・ホワイトだ。今季ブライトンからローン移籍で加入した22歳のDFはすでに、守備の要と言っていい存在となっている。

 サウサンプトンからブライトンのアカデミーを経て2016-17シーズンにトップ登録されたホワイトだが、当時チャンピオンシップ所属だったブライトンではリーグ戦の出場はゼロ。翌2017-18はニューポート・カウンティ(リーグ2/4部相当)に貸し出され、42試合の出場経験と「クラブ史上最高のローン加入選手」との評価を得てローンバックした。しかし、戦いの場をプレミアリーグへと移していたブライトンではまたも出場機会を得られず。2018-19途中にピーターバラ(リーグ1/3部相当)に再度ローン移籍となる。

 こうして少しづつ経験と実績を積み上げていったホワイトは今夏、ブライトンとの契約を1年延長すると同時にローンでリーズへ加入。開幕スタメンの座を勝ち取ると、ここまで全試合にフル出場している。

 実質2部初挑戦ながら高いパフォーマンスを発揮したホワイトは強烈なインパクトを示し、8月の「ファンが選ぶリーグ月間MVP」に選出。さらに最近では『デイリー・ミラー』紙にて「リバプールが獲得を狙っている」との報道がなされるまでに注目度が高まってきている。

ベン・ホワイト

際立つ「クレバーさ」

 そんなホワイトのストロングポイントを挙げるとすれば、総合力の高さと「クレバーさ」だろう。

 線はやや細いながらも、十分な対人と空中戦の強さに加えてスピードも兼ね備えており、特にくさびを受けようとするFWからボールを奪う「アンティチポ」に長けている。これは前線から激しくプレスをかけて高いラインを保つ戦術にはとりわけ必要な技術だ。

 マイボール時には攻撃の起点としても機能する。相手の第1守備ラインをドリブルで越えることができ、ライン間の味方へのショートパスや前線へのロングフィードも正確で、パッキング・レート(1本のパスが相手選手を通過した人数をポイント化したもの)の高いパスを通す能力を持っている。

 そして試合中はほとんど表情を変えずに、あらゆる局面に対応する。涼しい顔で激しいタックルを見舞い、相手FWのプレッシャーもどこ吹く風でボールをさばいて、決定的ピンチにも冷静に対処。そのためファウル数も少なく、今季ここまで13試合にフル出場しながら警告は1度しか受けていない。

 DFにもラン・ウィズ・ザ・ボールなど足下の技術を要求するビエルサ戦術において、昨季はガエタノ・ベラルディやルーク・アイリングなど、本来はSBの選手を中央で起用することが多かった。これは高いポゼッションを実現した反面、相手アタッカーへのパワー不足を露呈し、カウンターを防ぎ切れないような場面も目立っていた。

 今季はそこにベン・ホワイトという、屈強なストッパーでありながら、まるでボランチやSBのようにボールを操ることのできるモダンなCBを得たことにより、リーズはここまでリーグ最少失点(13試合8失点)を保っている。

 ビエルサ戦術と言うと中盤から前線にかけての複雑なコンビネーションが注目されがちだが、ホワイトやGKキコ・カシージャから始まるビルドアップも重要な武器の一つとなっている。

 リーズとしてはシーズン終了まで手放したくないところだろうが、リバプール以外にも、プレミアクラブからオファーが殺到してもおかしくない活躍を見せていることだけは確かである。


Photos: Getty Images

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Profile

ジェイ

1980年生まれ、山口県出身。2019年10月よりアイキャンフライしてフリーランスという名の無職となるが、気が付けばサッカー新聞『エル・ゴラッソ』浦和担当に。footballistaには2018年6月より不定期寄稿。心のクラブはレノファ山口、リーズ・ユナイテッド、アイルランド代表。