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イングランド2部でゴールポストを切断の珍事発生…テクノロジーで遅延増も?

2022.10.17

 チャンピオンシップ(イングランド2部リーグ)で「ゴールポストを動かす」という珍事が起きた。

 イングランドでは「Moving the goalposts(ゴールを動かす)」という表現がある。これは合意していた約束や条件を途中で勝手に変更することを意味し、フットボールだけに関係なく一般的にも使われる比喩表現だ。そんな英国で、「ゴールを動かす」どころか「ゴールの大きさを変える」というハプニングがあった。

ゴールポストを切断

 10月16日に行われたハルvsバーミンガムの試合で、ゴールサイズを調整するためにキックオフが20分ほど遅れた。『Sky Sports』によると、試合開始前にゴールの枠が「5cmほど」長いことが発覚したという。そのためホームチームのグランドキーパーが工具を取り出し、ゴールポストを切断し始めたのだ。

 どうやらゴールの高さに問題があったようで、一度地面からゴールポストを抜き、根元を5cmほど切断してから再び埋めた。試合開始30分前にはゴールサイズの異変に気付いており、審判団がゴールポストの調整を指示。以前ならすぐに作業を済ませ、予定されていた15時のキックオフに間に合ったかもしれないが、テクノロジーが導入された現代サッカーではそうもいかない。

 ゴールポストを切断してサイズを調整した後には「テクノロジー」の調整も必要となる。ゴールを元の位置に戻した後、ホークアイ社のゴールラインテクノロジーの再設定が必要になるため、試合開始を20分遅らせたのである。

アーセナル戦でも遅延が発生

 実は、同日に行われたプレミアリーグのリーズvsアーセナルでもテクノロジーの問題で遅延が起きた。審判団の通信機器の問題によって試合が開始1分で中断し、40分ほど経ってから再開されたのだ。

 結局、無事に2試合とも行われ、それぞれアウェイチームが勝利を収めた。20分遅れでキックオフとなったハルの試合は、アウェイのバーミンガムがFWトロイ・ディーニーのPKなどで2-0の快勝。どうやら遅延が功を奏したようで、今シーズンからバーミンガムを率いるジョン・ユースタス監督は「少し助けられたかもね。おかげで集中力が増した。立ち上がりの20分間は素晴らしかった」と試合後に振り返った。

 一方、リーズでの試合でも勝利したアーセナルのミケル・アルテタ監督は上機嫌。試合終盤にPKを献上したが、VARの介入で取り消され、何とか1-0で逃げ切ったのだ。「待った甲斐があったね」とアルテタ監督。「システムが復旧して本当に良かった。VARがなかったら、どうなっていたか分からなかった」と通信機器の復旧に感謝した。

 どうやら現代サッカーは、テクノロジーの導入により思わぬ遅延が起きることもあるようだ。


Photo: Getty Images

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アーセナルバーミンガムハル・シティミケル・アルテタリーズ

Profile

田島 大

埼玉県出身。学生時代を英国で過ごし、ロンドン大学(University College London)理学部を卒業。帰国後はスポーツとメディアの架け橋を担うフットメディア社で日頃から欧州サッカーを扱う仕事に従事し、イングランドに関する記事の翻訳・原稿執筆をしている。ちなみに遅咲きの愛犬家。

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