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教授から最年少指揮官へ、RBライプツィヒの“橋渡し”完了

2019.08.06

18-19 Playback For The Coming Season#5

8月に入り、5大リーグ開幕の足音が近づいてきた。プレシーズンマッチを重ねチーム作りを進めている各クラブは、順調に歩みを進められているのか。その進捗を測るうえでは、昨シーズンのチームが抱えていた課題を正確に把握しておくことが欠かせない。

この昨シーズンの振り返り記事で課題を再確認することで、来たる19-20シーズンに向けた準備は的を射ているのか、的外れになってしまってはいないか、判断する手がかりにしてほしい。

RB LEIPZIG | RBライプツィヒ

 ラルフ・ラングニックのこの一言が、18-19シーズンの充実を物語っている。

 「3試合を残してCL出場権獲得が決まり、さらにDFBポカールのファイナルへ進んだ。これ以上の結果はない」

 ラングニックにとってスポーツディレクターと監督の兼任は、15-16シーズン以来2度目のことだった。1度目はRBライプツィヒを2部から1部に初昇格させ、そして今回は初のDFBポカール決勝進出。残念ながらバイエルンに0-3で敗れて準優勝に終わったが、再び歴史を築くことに成功した。

 道のりが順風満帆だったわけではない。開幕戦でドルトムントに1-4で負けていきなり最下位になり、第2節でデュッセルドルフと1-1のドロー。第3節にハノーファーに3-2でかろうじて勝ったものの、5日後のELでは“兄弟クラブ”のレッドブル・ザルツブルクに2-3で敗れた。

 だが、この敗戦が急上昇のきっかけになる。ラングニックは開幕前に「RBのDNAを取り戻せ!」と宣言して激しいプレスを求めていたが、2トップがそれを意識し過ぎてボールを追い過ぎていた。

 そこでラングニックは、サイドにボールを追い込んでから守備のスイッチを入れるように微修正。猛牛たちの突進がバラバラではなく、1つの群れになった。

 また、ビルドアップ時にアンカーがDFラインに戻って3バック気味になる相手に対しては、RBライプツィヒの中盤をひし形にし、トップ下の選手(エミール・フォシュベリ)が敵アンカーをマークするやり方を導入。相手が対策を練ってきても臨機応変にプレスをかけ、後方のGKグラーチやDFコナテの貢献もあり、リーグ最少失点(29)を実現した。

 ただし、選手たちは満足していない。DFBポカール決勝後、キャプテンのウィリー・オルバンはこう語った。

 「自分たちのプレスはブンデスで一番だ。でもビッグクラブに勝つには、自分たちのポゼッション時にも良い攻撃ができないといけない」

 新たに指揮を執るユリアン・ナーゲルスマンは、この課題解決に打ってつけの指揮官だ。オルバンも新監督に期待している。「彼はホッフェンハイムでクリエイティブな攻撃とビルドアップを実行していた。彼の下で自分たちも攻撃を前進させたい」

 ナーゲルスマン本人も燃えている。

 「ラルフ(ラングニック)はプレスのエキスパート。彼との議論が楽しみだ。自分はそこにポゼッションのエッセンスを足したい。4年以内にタイトルを獲得するのが目標だ」

 教授と最年少監督の融合により、RBのDNAがより完全なものへ進化するかもしれない。

19年7月からRBライプツィヒの監督に就任したユリアン・ナーゲルスマン
19-20からRBライプツィヒを率いるナーゲルスマン。自らの名を上げたホッフェンハイムからの“移籍”は彼自身にとっても大きなチャレンジとなる


Photos: Bongarts/Getty Images

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RBライプツィヒラルフ・ラングニック戦術

Profile

木崎 伸也

1975年1月3日、東京都出身。 02年W杯後、オランダ・ドイツで活動し、日本人選手を中心に欧州サッカーを取材した。現在は帰国し、Numberのほか、雑誌・新聞等に数多く寄稿している。