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今、ウォルバーハンプトンで石を投げればメンデスの関係者に当たる

2018.10.04

1年前のヌーノ・エスピリト・サント監督やルーベン・ネベスらに続き、今夏はルイ・パトリシオやジョアン・モウティーニョたちまで来た。気づけばポルトガル関連選手は10人以上。スーパーエージェントの“助言”で変貌する、7年ぶりプレミア昇格のウルブスが不気味だ。


Jorge MENDES
ジョルジュ・メンデス
ウォルバーハンプトン(オーナーの良き友人)
1966.1.7(52歳) PORTUGAL


 今季、プレミアリーグでポルトガル旋風が巻き起こる。そんな予言を耳にしたのなら、それがマンチェスター・ユナイテッドやエバートンの指揮官の話ではなく、昇格組の躍進を暗示していると察しの良いファンは気づくはずだ。

 昨季、ウルブスにとって一番の朗報は、7年ぶりのプレミア昇格ではなく、4月25日に発表されたリーグの声明だった。「代理人のジョルジュ・メンデスはクラブでの役職を持たない」ため、フットボールリーグの規約に違反していないという発表だ。

 2016年にウルブスを買収した中国企業『復星国際』は、会長がメンデスのマネージメント会社『ジェスティフテ』に出資しているため、敏腕代理人との怪しい関係を他クラブに指摘されていたのだ。イングランドでは、代理人がクラブ経営に携わることは禁じられている。そのためリーグが調査に乗り出したのだが、無実と結論づけられた。

 とはいえ、無関係というわけではなく、クラブ側もメンデスは「オーナーの良き友人」と認めている。プレミア昇格を目指すうえで、フィジカル重視ではなく昇格後も戦える技術力に長けたチームを作り上げたのも、メンデスの“助言”だったという。

 ロナウドやモウリーニョを顧客に抱えるスーパーエージェントの影響力はそれだけではない。昨年5月、現役時代にメンデスの最初の顧客となり、同氏とは旧知の仲で知られるヌーノ・エスピリト・サント監督がやって来たのだ。そこからは、昇格の立役者となるMFルーベン・ネベス(2部ベストイレブン)やFWディオゴ・ジョタ(チーム得点王)など、メンデスの顧客選手が次々に加入。彼らはイングランド2部には到底不釣り合いな若き才能だった。

昨季2部優勝に貢献したポルトガル人選手たち。左からルーベン・ネベス、イバン・カバレイロ、エルデル・コスタ、ディオゴ・ジョタ、ルーベン・ビナグレ、ロデリック・ミランダ(現オリンピアコス)

 さらに今夏は、GKルイ・パトリシオやMFジョアン・モウティーニョといった、『ジェスティフテ』が抱えるポルトガル代表の中心選手まで加入したのだ。過去にビッグクラブへの移籍が何度も噂されたモウティーニョは「よく知る選手も多いからね」と昇格クラブを選んだ理由を明かした。

 これで気づけば、ウルブスは10人近いポルトガル人選手を抱え、そのうち実に6人がメンデスの顧客となっている。加えて、守備の要であるフランス人CBウィリー・ボリや今夏やって来たメキシコ代表FWラウール・ヒメネスは『ジェスティフテ』所属ではないものの、メンデスのお膝元のポルトやスポルティングから移籍している(ヒメネスについてはメンデスが一部の権利を有するとも噂される)。

 ロンドンでは「石を投げればパブに当たる」と言われるが、英国中部のウォルバーハンプトンで石を投げれば「メンデスの関係者」に当たり、もれなく高額の慰謝料を請求されそうだ!?


Photos: Getty Images

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ウォルバーハンプトンジョルジュ・メンデス

Profile

田島 大

埼玉県出身。学生時代を英国で過ごし、ロンドン大学(University College London)理学部を卒業。帰国後はスポーツとメディアの架け橋を担うフットメディア社で日頃から欧州サッカーを扱う仕事に従事し、イングランドに関する記事の翻訳・原稿執筆をしている。ちなみに遅咲きの愛犬家。