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Jリーガーが語るCL第1回 中村俊輔

2015.09.14

欧州サッカー好きのJリーガーに、UEFAチャンピオンズリーグの“自分流”観戦ポイントを指南してもらうスカパー!とfootballistaとのコラボレーション連載。第1回はこの大会の日本人初得点者であり、マンチェスター・ユナイテッド相手に伝説のFKを決めた中村俊輔選手が登場!

――9月15日からUEFAチャンピオンズリーグのグループステージが開幕します。注目しているクラブはありますか?

 「僕はもうずっとバルサですね。昨季優勝していますし、連覇はこれまでないですから。その点でも注目していますし、あと昨季の優勝は前の3人でハマった部分もあって少しバルサらしくなくなっているという声もありますよね。縦に速くなって、常にボールを保持しているスタイルではなくなった。昨季のレアルとのクラシコでも今までにない慌てたサッカーというか、撃ち合いになっていました。バルサ自身が違う方向に行っているのか、それとも先に進もうとしているのかが今季わかるかなと思います。もう一つはバイエルンかな。独特の流動的なサッカーをやっていますし、グアルディオラはバルサでやり切れなかったことをバイエルンで進めているのかなって。例えば[3-4-3]とか。ただ、これだとちょっと王道過ぎる?(笑)」

――中村選手がプレーしていたイタリア勢はどうですか?

 「ローマは結構好きですね。ずっと[4-3-3]で、今季ジェコを獲ったじゃないですか。(セリエA)第1節を見たんですけど、左にジェルビーニョがいて、右に左利きのサラーと、凄く僕の好きなタイプがそろっているから。ジェコが来たことでトッティがベンチになったけど、どのくらいの割合で出てくるのかは気になる。あとテベス、ピルロが抜けたユーベは、真ん中のラインがごっそりいなくなってサッカースタイルが変わるのか、新しい選手がどう融合してやっていくのか注目ですね」

――最近のヨーロッパサッカーのトレンドについてはどういった印象を?

 「バルサみたいなボールを持つサッカーが流行って真似するようなチームも増えてきたけど、今度は縦に速いサッカーも意識されてきている。今の日本代表監督もそうですけど。うちの練習でもそういうことをやっています。もう一つ、最近は選手の値段がとにかく高い。移籍金が高くなって選手一人ひとりの価値が上がっているから、そういう選手を集めて彼らの良さを出す枠組みを考えるチームと、クラブの信念や明確な形があってそれに合う選手を獲ってくるチームの2つに分かれてきたのかな」

――中村選手は戦術にこだわるチームが好き?

 「両方気になりますよ。スター軍団を率いた監督がどういうふうに選手を使っているのかとか、逆に選手側からすると名前のある選手が守備をするのか、しないのかとか。バルサのネイマールやスアレスもそうですし、昨季からメッシが右サイドに行ったけど、どこまで守備をするのかなとか。それを全部ラキティッチがカバーして、昨季は今までにないくらいブスケッツが走っていたから、なるほど、こういうバランスなのかとか。攻め込まれたら、ネイマールは結構最終ラインまで戻ったりしていましたね。そういうバランスをルイス・エンリケが指示しているのか、自分たちでやっているのか。他のチームもそういう視点で見ています」

――セルティック時代にバルセロナと対戦したことがありましたけど、実際やってみてどうでした?

 「萎える(笑)。ボールに触れないし。だって(ボール支配率が)70%と30%でしょ。それで1点取られたら、もう『勝てないわー』となっちゃう。そういうサッカーを自分はしたい。ボールを持っていることだけがいいことじゃないけど、ボールを持つことで自分たちの時間帯が多くなるのは間違いない。それで1点入ったら相手からしたら2、3点入ったくらいのダメージになる。サッカーは攻撃できないと何もできないし、点を決めないと勝てないスポーツなんで、試合をやってて萎えてきますよね。あと、ボールに触れないだけでなく、相手に触れない。ボディコンタクトを受けないボール回しも凄かったなあと。もう戦術が染み付いているんですよ。例えば、バルサの右サイドバックがボールを持っている時、(左ウイングの)ロナウジーニョは歩いている。だけど、そう思ったらロナウジーニョの胸にボールが来て、左サイドバックのシウビーニョがもうオーバーラップしているっていう。各々の個人能力だけじゃないと思いました」

欧州最高峰の意味

「あのFKのことはいまだに言われます」

――マンチェスター・ユナイテッド戦で決めたFKは、今でも語り継がれるセルティックの伝説になっています。街の反応もそうですが、やっぱり特別な大会なんですね。

 「もう10年くらい前(06-07)になりますけどね。でも去年グラスゴーに行ったんですが、あのFKのことはいまだに言われますね。そのくらい印象に残ることができて良かったなとは思います。あと、ロンドンのヒースロー経由で行ったんですけど、そこでも言われました。『お前、あの時のあいつじゃないか』って(笑)」

――この大会の醍醐味は何でしょう?

 「実際に見に行った方がいいし、選手はプレーした方がいい。日本代表として他の国と誇りを持って戦うのも素晴らしい経験なんですけど、ヨーロッパのクラブで日本人として参加してあのアンセムを聞くと言葉では表せないような感覚になりますね。世界中のトップレベルの選手しか集まらない大会だから、これほどためになるというか、選手としてレベルが上がるという経験はないので、一回はその舞台でプレーしてほしい」

――観客として見た経験は?

 「いや、ないですね。プレーしたことしかない。ただ、今年は欧州サッカーを見に行きたいですね。子供も大きくなったので、日程が合えばバルサを見に行こうかなと。このくらいの年齢になると刺激がなくなってくるので(笑)。各国のリーグ戦の時とUEFAチャンピオンズリーグの時とでは、雰囲気が全然違いますよね。こういうところで相手にブーイングしているんだとか、審判にブーイングしたり、ファウルをした選手に向けた歌があったりもするから。それでホーム感を出して、選手が躍動する感じはちょっとレベルが違いますね」

――では最後に、サッカーが好きな子供たちにUEFAチャンピオンズリーグのどこを見ればいいか、アドバイスをお願いします。

 「好きな選手目当てで見ればいいと思いますよ。ロナウドだったりメッシだったり。そして録画じゃなくて、やっぱり生で見た方がいい。リアルタイムは全然違う。眠いけどね(笑)。4時何分とかだから。そうすると興奮するし、起きた甲斐があったと思える試合がいっぱいある。好きなチームも作った方がいい。今年はパリ・サンジェルマンにディ・マリアが行ったりして大物が動いているし、そういう移籍した選手を見るのも楽しみですね。あとホームでいいプレーをしたのに、アウェイで全然ダメになることもある。それは僕も経験しました。だからアウェイのバルサ、アウェイのレアルがどう戦っているかも見た方がいいです」

このインタビューの動画版をこちらのスカパー! サッカーサイトで配信中!

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Profile

浅野 賀一

1980年、北海道釧路市生まれ。3年半のサラリーマン生活を経て、2005年からフリーランス活動を開始。2006年10月から海外サッカー専門誌『footballista』の創刊メンバーとして加わり、2015年8月から編集長を務める。西部謙司氏との共著に『戦術に関してはこの本が最高峰』(東邦出版)がある。