
開幕11試合で10勝を挙げてJ2首位を独走していたジェフユナイテッド千葉。その後の5試合は1勝3分1敗と勢いはやや鈍ってきているが、いまだ首位を堅持している。この快進撃は必然なのか? 偶然なのか? ジェフ千葉をウォッチし続ける西部謙司氏に解説してもらおう。
独走でもそうでなくても、順調ではある
16試合を消化した時点で首位にいる。「独走できるのか?」というお題をもらったが、すでに大宮とは3ポイント差にすぎず独走にはなっていない。
開幕から11試合については確かに独走状態だった。敗れたのは第7節の磐田戦のみの10勝。しかし、第12節からは様子が変わっている。ここ5試合で1勝3分1敗。首位独走の勢いはなくなっているのだ。
では、独走状態だった第11節までとそれ以降で千葉に変化があったのかというと、実は何も変わっていない。だから再び独走するかもしれないし、勢いを失ったまま順位を下げるかもしれない。要は相手次第。それが千葉の現状だと思う。
🥇 順位表
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今季の千葉は信じられないくらい順調だった。
ものすごく強くなったという意味ではない。開幕から6連勝のスタートダッシュ、敗れた磐田戦を挟んで4連勝。ただ、この10勝の多くは「よく勝てたな」という内容だった。昨年までなら負けていた試合を勝っていた。そして、これこそが信じられないくらい順調といえる理由である。
過去2年で、小林慶行監督は千葉のサッカーを作り上げている。その「自分たちのサッカー」を十分に表現できたときの破壊力はすさまじかった。昨季、8試合で3得点以上していて、そのうち5試合は4得点以上だった。8-0(第8節栃木戦)、7-1(第16節愛媛戦)という圧勝が含まれている。
今季もすでに4試合で3得点していて、第5節(愛媛戦)の5-1もある。しかし、3点取れた試合も含めて勝ち方が昨年とは違っている。
昨年までは「自分たちのサッカー」がはまった時は快勝だが、そうでない時は負ける場合が多かった。今年も快勝パターンは同じだが、そうでない試合も簡単に負けなくなっている。ここが昨年との違いであり、意図してそれができている。だから順調。
今年のテーマは「大人になる」だった。
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Profile
西部 謙司
1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。