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名古屋グランパス、上位進出の必然。J1のトレンドを逆手に取った“戦術的逆張り”

2023.07.11

名古屋グランパスが好調だ。首位横浜F・マリノスとの上位対決は2-2のドローに終わったものの、第20節終了時点で3位。リーグ優勝も狙える位置につけている。長谷川健太監督2年目のチームが強い理由を西部謙司氏に考察してもらおう。

 首位の横浜F・マリノスとの差は4ポイント。その横浜FMとの第20節は名古屋グランパスにとって大きな意味を持つ一戦だった。結果は2-2と差は詰まらなかったが射程距離には置いている。1ポイント差の2位ヴィッセル神戸、名古屋を2ポイント差で追う4位浦和レッズまでがトップグループを形成している。

 優勝争いの4チームはそれぞれカラーが違う。横浜FMは高いボール保持率とハイプレス、3トップに破壊力がある王道のチャンピオンスタイル。神戸はリバプール似のストーミング。浦和は全方位型に近い中道。そして名古屋は堅守速攻。

 2年目の長谷川健太監督のチームは強いことで知られているが、名古屋の戦術的逆張りをどこまで意識していたのだろうか。

「ハイプレスの洗礼」を見切りの早さで無効化

 流れとしては必然だと思う。

 川崎と横浜FMだけがリーグ優勝してきた6年間で、J1の目指すべきモデルがはっきりした。ボール保持+ハイプレスという、およそどの国のリーグでも同じ、チャンピオンらしいプレースタイルだ。当初は保持が注目された。折しもポジショナルプレーが浸透するタイミングでもあり、自陣からのビルドアップを試みるチームが増加していった。

 保持を志向するチームが増えれば、それを阻止しようとする守備も進化する。昨季はゴールキックからつなぐチームが成果をあげていたが、今季はことごとくハイプレスの餌食になった。前線からのプレスのはめ込み方がスムーズになり、そうなると位置的優位はほぼ役に立たない。戦術の優位性が低下すると、技術の粗がとたんに目立つようになった。これもやがて流れは変わるのだろうが、守備戦術の方に即効性があるので今季は守備側有利の傾向になっている。……

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名古屋グランパス

Profile

西部 謙司

1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。

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