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因縁の信州ダービー2連戦へ。リベンジに燃えるシュタルフ長野の“橙魂”をしかと見よ!

2023.05.05

11年ぶりの再会を果たした昨季に続き、今年も宿敵・松本山雅FCと激突するAC長野パルセイロ。2年ぶり11回目の天皇杯出場を目指して敵地・サンプロアルウィンに乗り込む長野県サッカー選手権大会決勝の翌週に、本拠・長野Uスタジアムで優勝争いのライバルを迎え撃つJ3第10節が開催される信州ダービー2連戦へ向けて、リベンジに燃えるクラブ関係者の意気込みを番記者・田中紘夢が伝える。

前回対戦で迎えた「受け入れ難い結末」への失望

 日程くんのいたずらとは言い難いが、昨季に続いて信州ダービー2連戦が行われることとなった。5月7日の長野県サッカー選手権大会(天皇杯県予選)決勝と、13日のJ3リーグ第10節で、AC長野パルセイロと松本山雅FCが相対する。

 東京都出身の筆者は、2021年に長野の番記者へと赴任したため、信州ダービーの歴史は伝聞でしか知り得ていない。その点については、目撃者である松本の番記者・大枝令氏のコラムを読んでほしい。

 昨季は2011年以来、11年ぶりの信州ダービーが行われた。地域リーグやJFLで凌ぎを削っていた両雄が、J3の舞台で再会。長野のホームには1万3244人、松本のホームには1万5912人と、いずれもフルハウスの観客が詰めかけた。J3とは思えない熱狂ぶりは、Jリーグ公式YouTubeチャンネルにも収められている。

 長野としては屈辱のダービーとなってしまった。長野県サッカー選手権大会決勝を含めると、昨季の対戦成績は1分2敗。松本のゴール裏から2度にわたって「KING of 信州」の弾幕を見せつけられた。その負け方も非情で、長野県サッカー選手権大会決勝では松本U-18所属の田中想来(現トップチーム)に決勝点を喫し、アウェイのリーグ戦では終盤に勝ち越しを許している。

 とりわけアウェイでのリーグ戦の敗戦は、受け入れ難いものだった。前半からボールを保持しながらも、26分にセットプレーから失点。後半は開始からギアを入れ直し、63分に追いつくと、その後も相手ゴールに迫り続けた。逆転するのは時間の問題かと思われたが、決定機を逃し続けると、85分にカウンターで勝ち越しを許す。中盤でセカンドボールを拾いにいった水谷拓磨が主審にコースを遮られ、相手に奪われると、個人能力の高い前線に一瞬でぶち抜かれた。失点後、長野は主審に猛抗議を行ったが、判定が覆ることはなかった。

 「非常に受け入れ難い結末だった。我われのDFは明らかに主審にブロックされているので、それがなければあり得ない失点。そういう形で信州ダービーが幕を閉じるのは、我われのシーズンを象徴するような負け方なので、納得はいかない。試合後に主審から『申し訳なかった。それは私も認めます』と声をかけてもらったのがせめてもの救い」

2022シーズンのJ3第31節、松本戦のハイライト動画

 そう話すシュタルフ悠紀監督の表情は、憂いに満ちていた。9試合前のいわき戦(●0-1)では、序盤に敵陣ペナルティエリア内で相手に足を引っかけられたが、笛は鳴らず。8試合前の岐阜戦(△1-1)では、終盤に自陣ペナルティエリア内で相手のシュートを胸でブロックしたが、ハンドの判定でPKを取られた。「その前にチャンスを決めていれば…」と言われればそれまでだが、毎試合追いかけていた筆者としては同情せざるを得ない。

 奇しくも信州ダービーで再び繰り返された非情な結末。記者会見で指揮官に飛んだ質問は、1人の記者による2問のみで、時間にすると7分弱だった。普段であれば2、3人の記者が手を挙げ、時間も10~15分に及ぶ。この日のメディアの数を踏まえれば、それ以上の人数と時間になって然るべきである。筆者としては失意に沈んで言葉が出なかったのだが、他の記者もそうだったのだろうか。

松本有利の“スーパーシード”も…逆境乗り越え本番へ

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AC長野パルセイロ文化松本山雅FC

Profile

田中 紘夢

東京都小平市出身。高校時代は開志学園JSC高(新潟)でプレー。大学時代はフリースタイルフットボールに明け暮れたほか、インターンとしてスポーツメディアの運営にも参画。卒業後はフリーのライターとして活動し、2021年からAC長野パルセイロの番記者を担当。長野県のアマチュアサッカーも広く追っている。

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