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徳島ヴォルティスはなぜ、レアル・ソシエダと育成業務提携したのか?

2023.01.05

スペイン1部レアル・ソシエダとの育成業務提携を締結した徳島ヴォルティス。ソシエダはスペイン屈指の育成クラブで、トップチームの主力の多くをアカデミー出身者で固めて1部で戦い続ける強豪だ。“2030年のミッション”として、編成の1/3以上がアカデミー出身&県内出身&高卒・大卒の生え抜きでACLに挑戦するという壮大な夢を掲げた徳島は、本気でバスクの雄から多くものを吸収しようとしている。

 「(シャーレを掲げる日は)必ず来ますよ」「J1に定着してACLも目指します」

 夢や目標なんて、誰かに馬鹿にされるくらい大きくてちょうどいい。

 22年12月19日、徳島ヴォルティスはラ・リーガ所属の『レアル・ソシエダ』と育成業務提携を締結したことをプレスリリースした。その内容は主に3つ。1つ目が「若手選手の育成プログラムの強化(トップチーム・アカデミー選手の現地への個人留学・アカデミーのチーム遠征など)」、2つ目が「指導者の能力向上(留学、視察、定期ミーティングを通して、育成哲学やノウハウ、コーチングのスキル等の共有)」、3つ目が「事業全般におけるクラブ間の国際交流および経営、運営面の情報交換」。

 取材をしながら岡田明彦強化本部長の言葉に「レアル・ソシエダ」という回数が増え始めたのは昨季の初夏だっただろうか。

 これまでも海外視察へ向かう姿は定期的に見ていたが、昨季の岡田強化本部長は「自分がこうかもしれないと思っているものが本当に正しいかどうかを確認したいと思っています。帰ってきたらいろいろとお話しできることがあるかもしれません。その時はまたお願いします」と言葉にして旅立ったのが印象深かった。

 出発前の具体的な目的は『レアル・ソシエダとの育成業務提携』ではなかったかもしれない。しかし、結果として導かれるように欧州で育成クラブとして成長を遂げる同クラブと結ばれた。

 きっと、これらは突発的に生まれた話ではなかったと思う。

 何年も前から岡田強化本部長は“何か”を探し求めていた。そして、それは強化本部長という肩書きを持つ者だけの個人的な思想ではなく、クラブとしてもそうだった。過去には、こんな話もしていた。

 「海外にも足を運ぶ機会がある中でボルシア・ドルトムント(ドイツ)やアヤックス・アムステルダム(オランダ)へ行ったり、19年は特にベルギーへ行くことも多かったのですがRSCアンデルレヒトやKRCゲンクに注目しました。国内では優勝争いをしたり、CLにも出場するクラブなんですけど、同時にヨーロッパで屈指の育成型クラブでもあります。我々にも共通する部分はあり、トップチームからもアカデミーからもいかに選手を輩出できるかは重要です」(岡田強化本部長)

 その時期ごとに、雲をも掴むような夢や目標はたくさんあった。

 初めてJ1昇格争いをした時期であり、初めてのJ1昇格とJ2降格を経験した時期であり、クラブ初のスペイン人監督を招聘した未来でJ2優勝や2度目のJ1挑戦を掴んだ時期であり……。どの時期にも、夢や目標があった。ただ、そのフワフワとした雲のような夢や目標は、近年になって少しずつ形を成すようになり始めた。その過程で実現した1つの形。『レアル・ソシエダと育成業務提携』の背景を探っていきたい。

徳島のクラブハウスでレアル・ソシエダのインターナショナルフットボールディレクター、マヌエル・メリノ・アリスメンディ氏から話を聞く岸田社長と岡田強化本部長(Photo: ⓒTOKUSHIMA VORTIS)

ソシエダとの関係は新監督就任とは別枠

 「徳島だからできること、徳島にしかできないこと」(岡田強化本部長)

 このフレーズが『レアル・ソシエダ』に惹かれたことを紐解くカギにもなりそうだ。徳島県は人口約70万人程度の小さな街だ。Jリーグと紐づけて考えると、大都市と呼ばれる政令指定都市および東京都特別区部には資金も人材も集まりやすい。必然としてリーグの順位にも直結する。この構図には何の疑いもなく、資本主義の縮図でしかない。

 だからこそ、地方は地方としての魅力を、そして生き残る術を模索しなければならない。これはフットボールクラブだけが直面している課題ではないが、当然ながら徳島ヴォルティスとしても同様だ。

 そのような視点で見ると、『レアル・ソシエダ』は徳島にとって特に学びの多いクラブになる。……

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ソシエダ徳島ヴォルティス

Profile

柏原 敏

徳島県松茂町出身。徳島ヴォルティスの記者。表現関係全般が好きなおじさん。発想のバックグラウンドは映画とお笑い。座右の銘は「正しいことをしたければ偉くなれ」(和久平八郎/踊る大捜査線)。プライベートでは『白飯をタレでよごす会』の会長を務め、タレ的なものを纏った料理を白飯にバウンドさせて完成する美と美味を語り合う有意義な暇を楽しんでいる。