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ニコ・シュロッターベック(ドイツ):ミスしても取り返せばいい――ブンデスで最もモダンで勇敢なCBの野心【W杯注目の新星⑦】

2022.08.08

7月11日に発売され、現在プレゼントキャンペーンも実施中の『footballista 2022 QATAR WORLD CUP GUIDEBOOK』。出場32カ国確定のタイミングでどこよりも早く、全チームの有力メンバーを網羅した選手名鑑と戦術分析をお届けするカタールW杯観戦ガイドだ。その連動企画として、WEBでは各国の担当ライターがそれぞれ、本大会でブレイク期待の“ライジングスター”を紹介。第7回は日本代表がグループE初戦で激突する「ドイツ代表」から、今年3月にデビューして早くもレギュラーの座を争う新鋭CBで、今季フライブルクからドルトムントにステップアップした22歳のシュロッターベックを取り上げる。

 昨シーズンのブンデスリーガで最も注目を集めた若手選手の一人が、ニコ・シュロッターベックだ。

 ドイツ代表においても、ここまで出場は4試合のみだが、昨年9月から継続してメンバーに招集され、代表監督ハンジ・フリックも大きな期待を寄せている。守備の要であるアントニオ・リュディガー(レアル・マドリー)はレギュラー確定として、そのパートナーをニクラス・ジューレ(ドルトムント)と争う。

 左利きで、191cmの長身を生かしたヘディングとスムーズな対応で1対1に強い。自陣ペナルティエリア付近ではシュートブロックに入るタイミングに優れており、相手のチャンスをかなりの確率ではね返す。そしてブンデスリーガでも屈指のモダンなCBとして、攻撃の起点となる様々なプレーができることが特長として挙げられる。

 ビルドアップにおける長短リズムカルなパス能力には非凡なものがあり、スペースがあるとどんどんドリブルでボールを前線へと運ぶ。ドイツ代表では左SBのダビド・ラウムが攻撃時に非常に高い位置を取るが、左CBに入るシュロッターベックはそのすぐ近くまでポジションを上げ、パスの出口を作ったり、さらにボールを運んだりとチャンスメイクにも関わっていく。

 敵の守備が自分のサイドに固まっているのを見ると、鋭い振り足から逆サイドの前線へ矢のようなサイドチェンジのボールを送って状況を一変させてしまうのだから、相手チームからすると厄介だ。先発フル出場した6月11日のUEFAネーションズリーグ、ハンガリー戦(1-1)では自陣からの正確無比かつタイミングもスピードも抜群のロビングボールで、相手DFラインの裏に抜け出したヨナス・ホフマン(ボルシアMG)のゴールをアシストした。

https://youtu.be/6fdPZZyCYgs
ハンガリー対ドイツのハイライト動画(シュロッターベックがアシストした得点シーンは32秒〜)。1999年12月1日生まれの22歳は、昨年9月のW杯予選でA代表に初招集され、今年3月の親善試合で初出場。6月のネーションズリーグ4連戦では2試合にフル出場している

 この頼もしい新鋭CBについてフリックはこう語る。

 「彼のプレーした試合を見ると、例えば(昨季DFBポカール決勝の)RBライプツィヒ戦のように、とても目立った活躍をしている。ダイナミックでアグレッシブ。改善点はまだあるが、ポテンシャルを非常に感じる。(フライブルクの)クリスティアン・シュトライヒ監督とコーチングスタッフに大きな賛辞を贈りたい。選手をどんどん成長させ、次のレベルに引き上げる。ファンタスティックで情熱的な働きだ。中立に見るべきなのだが、決勝はフライブルクの方に……という思いも正直あった。ニコはフライブルクで成長した」

育成時代の苦労を乗り越えて

……

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カタールW杯ニコ・シュロッターベック

Profile

中野 吉之伴

1977年生まれ。滞独19年。09年7月にドイツサッカー連盟公認A級ライセンスを取得(UEFA-Aレベル)後、SCフライブルクU-15チームで研修を受ける。現在は元ブンデスリーガクラブのフライブルガーFCでU-13監督を務める。15年より帰国時に全国各地でサッカー講習会を開催し、グラスルーツに寄り添った活動を行っている。 17年10月よりWEBマガジン「中野吉之伴 子どもと育つ」(https://www.targma.jp/kichi-maga/)の配信をスタート。