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綺々羅々ヴィヴィは“グーナー”だった!アーセナル退団の“推し”冨安健洋に伝えたい感謝

2025.08.06

「何回涙を流したかってくらい、熱く熱く緊張させてくれる。それがサッカーの素晴らしいところ!もう自分もピッチに立ったような気持ちで、選手と一緒になってめちゃめちゃ応援してました!」――日本代表の北中米W杯出場決定を受けて、こう熱弁したホロライブプロダクション所属のVTuberがいる。hololive DEV_ISのFLOW GLOWでメイクを担当する、綺々羅々ヴィヴィのことだ。アーセナルも応援しているという彼女に、サッカーの魅力から“推し”への感謝まで余すことなく語り尽くしてもらった。

「サッカーってこんなに面白いんや!?」東京五輪での気づき

――まずは読者に向けて自己紹介をお願いします。

 「せーの!ん~~~ッ!ヴィヴィ~!!いつもきらきらな綺々羅々ヴィヴィでーす!去年の11月にデビューしたhololive DEV_ISのFLOW GLOWという、VTuberグループのメイク担当です!普段はYouTubeでゲーム配信をしたりしています!サッカーは今もまだまだ新米で、あんまり詳しくはないんですが、勉強していきたいです……。よろしくお願いします!」

――そんな綺々羅々さんが3月20日の北中米W杯アジア最終予選グループC第7節・日本対バーレーン後の配信で、つい早口になってしまうくらい熱くサッカーについて語られていてびっくりしました。

開始早々「やった~!W杯きた~~~!」と、代表戦の興奮冷めやらぬ熱いサッカートークを展開する綺々羅々さん(4:49~)

 「サッカーを好きになったのは東京オリンピックがきっかけ」「日本代表はずっと応援してて、前のW杯も全部見てた」とお話しされていましたが、あらためてサッカーとの接点について教えてください。

 「ヴィヴィ、サッカー経験も本当になくって……。記憶の中では1回もボールを蹴ったことないくらい(苦笑)。体育も球技で言うとドッジボールとか、ソフトボールとか、バスケットボールとかはあったんですけど、サッカーの記憶はなくて。でもサッカー好きな友達がいて、(アンドレス・)イニエスタ選手目当てでヴィッセル神戸を見たことはあったんですよね。その時も『古橋(亨梧)選手とのホットラインが面白いな~』って思ってたんですけど、一番のきっかけは東京オリンピックで。いろんなスポーツだったりとか、競技を見てた時に本当にたまたま直感でサッカーを見てみたら、そこで『え、サッカーってこんなに面白いんや!?』って気づいて、好きになって見始めました。最初は『え、今の入ったのになんでぇ!?』『なんでゴール取り下げられんの!?』『オフサイドってなんやねん!』って、本当にルールとかもわけわからん状態から、いろんな試合を見て選手を覚えたりとかして。気がつくと海外のサッカーも見るようになって……」

――どんなところに面白さを感じたんですか?

 「なんか……自分はフィールドに立ってないけど、12人目の選手として一緒に戦ってる感じが勝手にあって。ヴィヴィは見てるだけなんですけど!(笑)でも、そういう臨場感を初めて東京オリンピックを見てて感じられて。その時はコロナ禍で無観客やったんですけど、気づいたら選手と同じくらい『わ~~~!』って喜んだり、ちょっとゴールが上手く決まれへんかったら『くぅ……』って悔しがったり、『いけ~!』とか『ナイス!』とか、うるさいくらい応援してて(笑)。選手同士で声出してる時に同じくらい、勝手に自分も選手やと思って鼓舞して、引き込まれてました。そこからもうこれまで何回涙を流したかってくらい、熱く熱くさせてくれて。それくらいサッカーは面白いと思います!ちょっと浅いか(苦笑)」

――いやいやいや!確かに無観客試合はピッチの音が響きやすいので、画面越しでも選手と同じタイミングで声を出しやすかったかもしれないですね。でも、いきなり90分通して応援するのは大変じゃなかったですか?サッカー界では試合時間を短くしたほうがいいんじゃないかという声も上がっているんですけど……。

 「え、ヴィヴィからすると短いです(笑)。90分って決まってるからめちゃめちゃ見やすいなって、逆に思ってたんですけど……。延長があっても30分とPK戦だけですよね?」

――90分が短い!長時間配信を得意にされている綺々羅々さんらしい回答ですね(笑)。

 「ありがとうございます!(笑)でも、ヴィヴィはただただ長いだけです!(笑)気づいたら長くなってて……。そういう意味でサッカーはここって決まってるから、その時間だけリアルタイムで見て『いけいけ!』って応援できるのも、より集中して熱狂できるポイントだなって思って。なので、見やすかったですね。どうしても90分の中でつらい時間帯もあるんですけど、そういう緊張感があるからこそ、よりゴールや勝利を喜べるというか。ご飯で言う空腹は最高のスパイスみたいな(笑)。そこもサッカーにハマったきっかけの1つだと思います!」

2021年夏に開催された東京オリンピックで円陣を組む日本代表

久保と流した涙。「ストーリーを作ってしまう」W杯出場決定弾

――よくサッカーチームのサポーターは「12番目の選手」と呼ばれたりしますけど、まさにその感覚を東京オリンピックで自然と身につけていったわけですね。

 「サッカーは11人いますもんね。その全体を見るのも楽しいんですけど、一人ひとりに注目するのも面白いことに気づいて。例えば一番フィーチャーされるのは、ゴールやアシストをした前の選手かもしれないんですけど、振り返ると起点のパスを出している真ん中の選手がいたり、絶体絶命のピンチを防いだ後ろの選手がいたりして。あと途中から試合に出て流れを変えたり、上手くいかなくても次の試合で取り返す選手もいて、やっぱりベンチも一緒になったチームプレーなので、いろんな選手の見せ場や見どころがあるんですよね。だから、FWの選手やったら『この人が1点取れるように応援するぞ!』とか決めて、試合や時間ごとにお気に入りの選手というか、応援したい選手を見つけて、自分もその選手と同じくらい声を出してました(笑)。それで東京オリンピックは本当に見始めたばっかりやったのに、メダルを獲れなかったのが悔しくて泣きましたもん、一緒に」

――日本がメキシコに敗れて目標のメダルにあと一歩届かなかった3位決定戦後、久保建英選手が号泣していましたからね……。

 「そうでしたね……。それくらい感情移入しちゃって。だけど選手たちの頑張りとかにも凄い感動をもらえて、いろんな気持ちでもうぐちゃぐちゃになって泣いてました。

試合終了のホイッスルが吹かれると同時にピッチへと倒れ込み、人目もはばからずに涙を流し続けていた久保選手

 そこから久保選手はあのバーレーン戦で、次のW杯出場を決めるゴールを決めていて」

――あの1点でエースの風格が出てきましたよね。

 「うんうんうん!久保選手は東京オリンピックよりも前からずっと、日本の期待を背負ってきた選手やと思うんですけど、それに応えなきゃいけない中でもサッカーって、チームとしての監督の戦術とか、メンバーとか、いろいろ組み合わせがあったり、一人ひとりに自分も活躍したいって気持ちもあるだろうから、凄いもどかしいだろうなって思ってたし……。ヴィヴィ、そういう妄想が好きで勝手にストーリー作ってしまうんですけど(苦笑)」

――カタールW杯でも日本がドイツ、スペイン相手に歴史的逆転勝利を収めた裏で、久保選手は先発こそ果たしていたものの、後半に勝負を懸けるチームのためにハーフタイムでベンチへと下がっていたりしましたからね……。

 「そうそう……。そういう姿も見てきたからこそ、1点目の流れ作って2点目決めた時は自分のことのように、『やった!やったやん!』『きた~~~!』『これが見たかったんや!』みたいな感じで、バーレーン戦は気持ちが昂りましたね」

――久保選手自身も喜びのあまりシャツを投げていました。

 「脱いでましたよね、イエローカード(笑)。でも、ああいうのも熱くなる要素で、思わず応援したくなりますよね、あかんのやろうけど。サッカーって、選手によってプレースタイルだけじゃなくて性格も全然違うから、ゴールパフォーマンスとか、そういうところに個性が出るのも面白いなと思って見てます。ゴール決まる、決まれへん、勝ち負け以外にも、一人ひとりのパーソナルな部分とかがコート内で見れたりするのも素敵なので、ああいうイエローもらったりするのも試合を見る楽しみの1つではあります(笑)」

歓喜の輪の中心に立つインナー姿の久保選手。史上最速&世界最速でのW杯出場を決定づける貴重な追加点を挙げた

――その久保選手に三笘薫選手など、あの東京オリンピックを経て現在の日本代表の主軸となっていった選手も多いので、なおさら追いかけやすいのかもしれないですね。

 「東京オリンピックを見始めた時も、友達から『三笘選手、注目してみてよ!』って言われてて。だけど、あの大会ではそんなに見れる機会がなくて、まだJリーグとかもちゃんと見てなかったから、その凄さに気づけていなくて。でも気づいたら前のW杯の予選で2点決めたり、本大会でも試合の流れを変えたりしていて……。スペイン戦でも、レアル(・マドリー)の選手をぶち抜いたりしてましたよね?」

――ダニエル・カルバハル選手をぶち抜いていましたね。

 「そうそうそう!だから本当に入りは知識もなんにもない状態で、『あんなに足が速いんや!』やったんですけど(笑)、前を向いてボールを持てば何か起こしてくれるドリブルの鬼で、ただただ『わぁ、凄い!』って思ってました。でも、ちょっと寂しさもあるんですけどね。日本代表は特に全員、同じように応援したいけど、東京オリンピックから入ってるから、そこに出てた選手はより思い入れが強くて。自分がサッカーを好きになったきっかけの時に出てた選手、トミー(冨安健洋)とか吉田(麻也)選手とか、そこらへんがヴィヴィの中のCBとかの面子だったので。『時代はこうやって変わっていくんだな……』って寂しくもあるけど……」

――CB陣は北中米W杯アジア最終予選でもケガ人が相次いでいましたからね……。

 「でも、そういう穴を埋められる選手も出てきていて。最近の選手はあんまり追えてなくて、それこそ『こんな選手いるんだ!』ってガラッと変わってることもあるので、背番号か名前見て毎回調べて『この選手、どこ所属なんやろ……?』とか、『何歳……?え、若いな!若い子たちがまた出てるな』とか、『この選手、ここの所属なんだ!』とか、『こんな選手が日本から出てくるなんてまだまだ楽しみだな』とか……。凄い上からに聞こえるけど!(笑)そこで見て知って勉強するのも面白いです。どんどん日本も強くなっていっているので、これからもまた新しいサッカーを見せてくれるんだろうなと思って、次のW杯もめちゃめちゃ楽しみです!」

8大会連続8回目のW杯出場を決めた日本代表。来夏に臨む北中米大会では史上初の8強入りを果たせるか

「素人から見てもかっこいい」冨安を追ってアーセナル推しへ

――配信では「トミーがいるね、アーセナルをずっと応援してて」という発言もありました。そのきっかけは何だったのでしょう?

 「前の選手も好きなんですけど、後ろの選手が凄い好きなので。最初はゴールを決める前線のガンガン攻めていく選手が試合に華を持たせるところもあるので、やっぱり注目されがちというか、あんまり後ろの選手見てなかったんですけど、東京オリンピックでちゃんとサッカー見るようになって、『いや、これ攻めるのも大事やけど守るのも大変やな!』って気づいて(笑)。守るのが当たり前みたいになってて、あんまりフィーチャーされないですけど、1点も入れられへんかったら負けることはないから、ディフェンスのほうが大切やなって思うようになって、後ろの選手、SB、CBを特に応援したくなっちゃいました。あとGKも!チームでそれぞれ守護神って呼ばれているくらいなので」

――チャットでも言われていましたが、「前」「後ろ」という呼び方も選手と同じピッチに立っている目線でいいですね。

 「ありがとうございます!(笑)それで最初は吉田選手がめっちゃ好きで。そこでトミーが一緒にCBをやっていて、若いのに吉田選手と同じくらいの『ゴール前を任せてたら大丈夫!』って安心感が素人から見てもあって、それがもうかっこよくて……。海外に行っているというので、もう注目されてはったから、それがきっかけでクラブでも見てみようっていう感じで。その時にちょうどアーセナルに移籍することになって、友達からも『プレミアリーグのサッカーは面白いよ!』ってオススメされて、1回見てみたら凄いハマって……っていう流れでした。そこから『“グーナー”(アーセナルサポーターの愛称)って呼ばれてるんだ!』とか、『稲本(潤一)選手と宮市(亮)選手と浅野(拓磨)選手もいたんだ!』とか、『凄いパスワークで点を取ったこともあるんだ!』とか、『(ミケル・)アルテタ監督はもともとアーセナルにいた選手なんだ!』とか、そういう文化や歴史があるのも熱いなって、アーセナルも推せる部分になったりとかして」

プレミアリーグ5位、FAカップ64強、リーグカップ4強のチーム成績を残した2021-22シーズンのアーセナル。中列左から3番目が冨安選手で、公式戦22試合1アシストを記録した

――ということは、アーセナルを推し始めたのは2021-22シーズンからですか?

……

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Profile

足立 真俊

岐阜県出身。米ウィスコンシン大学でコミュニケーション学を専攻。卒業後は外資系OTAで働く傍ら、『フットボリスタ』を中心としたサッカーメディアで執筆・翻訳・編集の経験を積む。2019年5月より同誌編集部の一員に。プロフィール写真は本人。X:@fantaglandista

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