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ステフェン・ベルフワイン(オランダ):予選突破のヒーローが紡ぐ、ヌーリとの絆とアヤックス復帰の物語【W杯注目の新星⑤】

2022.07.31

7月11日に発売され、現在プレゼントキャンペーンも実施中の『footballista 2022 QATAR WORLD CUP GUIDEBOOK』。出場32カ国確定のタイミングでどこよりも早く、全チームの有力メンバーを網羅した選手名鑑と戦術分析をお届けするカタールW杯観戦ガイドだ。その連動企画として、WEBでは各国の担当ライターがそれぞれ、本大会でブレイク期待の“ライジングスター”を紹介。第5回はW杯に帰ってきた「オランダ代表」から、2大会連続の予選敗退危機に現れた救世主、24歳のFWベルフワイン(アヤックス)を取り上げる

 2021年11月16日、夜のフェイエノールト・スタディオン。W杯欧州予選グループG最終節のオランダ対ノルウェーは0-0のまま終盤を迎えていた。オランダは勝てば文句なしにカタールW杯にストレートイン。しかし、負ければ一気に首位から3位に落ちて予選敗退する危機があった。

 この緊張の糸をほどいたのは[4-3-3]の右ウインガーを務めたステフェン・ベルフワイン(当時トッテナム、現アヤックス)だった。84分、アルノー・ダンジュマ(ビジャレアル)からのパスをペナルティエリア内右45度で受けたベルフワインは右足を一閃し、ノルウェーGKのニアサイドを強烈なシュートでぶち破ってオランダに先制点をもたらすと、アディショナルタイム1分には自陣からの長駆ドリブルで敵ゴール前まで迫って、メンフィス・デパイ(バルセロナ)のダメ押し弾をアシストした。

 実は、ベルフワインはトッテナムでの出場機会が乏しいことで、11月の代表メンバーから漏れていた。しかし、右ウイングのレギュラーだったステフェン・ベルフハウス(アヤックス)が負傷したため、ルイ・ファン・ハール監督はベルフワインを追加招集した。そんな彼が試合勘不足を微塵も感じさせないダイナミックなプレーをノルウェー戦で披露し、1ゴール1アシストを記録してオランダを2大会ぶりのW杯出場に導いたのだ。

オランダ対ノルウェー(2-0)のハイライト動画

スパーズで苦戦も、代表では45発と絶好調

 一夜にしてオランダ代表のヒーローになった快速アタッカーは、それでもトッテナムでは出場時間が伸びなかった。2022年1月19日のプレミアリーグ、レスター戦で79分からピッチに入ったベルフワインはアディショナルタイムに2ゴールを決めて、トッテナムの劇的な2-3の大逆転勝利に貢献した。だが、所属先でのベルフワインのステータスは好転せず、出場時間が10分にも満たぬ試合が数多く続いた。

 一方、オランダ代表でのベルフワインは絶好調を維持していた。3月26日のデンマーク戦(○4-2/親善試合)では2ゴール、29日のドイツ戦(1-1/親善試合)と6月3日のベルギー戦(○1-4/UEFAネーションズリーグ)ではともに1ゴールを決めて、先のノルウェー戦を含めると4試合5ゴール1アシストという素晴らしいスタッツを残したのだ。

1997年10月8日生まれの24歳。2005年からアヤックスの下部組織に所属し、2011年に移籍したPSVで2014年にトップチーム初出場。2020年1月からはトッテナムでプレーし、今夏アヤックスに復帰した。オランダ代表デビューは2018年10月で、ここまで22試合6得点。昨年8月に3度目の就任を果たしたファン・ハール監督の下、10試合5得点を記録している

 デンマーク戦以降、オランダ代表は[3-5-2]システムを軸にチームを再構築していた。ベルフワインとデパイは2トップの第一オプションになった。この機動力に秀でたコンビはテクニック、スピード、アイディア、ポジションチェンジで相手を惑わせ、ポゼッションとカウンターの両方で脅威になった。ベルギー戦後、ファン・ハール監督はこう言った。

 「2014年のW杯(3位)ではロッベンとファン・ペルシーが違いを作った。今のオランダ代表にはメンフィス・デパイとベルフワインがいる」

 しかし、指揮官はこうも警告している。

 「所属クラブで出場機会の少ないベルフワインのことを、普通なら代表チームに呼んでない。負傷者が出たため、私はステフェンを招集し、それから彼はずっと代表でとてもいいプレーをし続けている。だが、私は彼が移籍することを願っている。トッテナムではこれからも出場機会が限られるだろう」

親友の悲劇から、ちょうど5年の78

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オランダ代表カタールW杯ステフェン・ベルフワイン

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中田 徹

メキシコW杯のブラジル対フランスを超える試合を見たい、ボンボネーラの興奮を超える現場へ行きたい……。その気持ちが観戦、取材のモチベーション。どんな試合でも楽しそうにサッカーを見るオランダ人の姿に啓発され、中小クラブの取材にも力を注いでいる。

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