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試合の中での改善、ロングボールへの対抗策、5バック…日本代表が完勝のガーナ戦で示したもの

2022.06.12

ブラジル代表との対戦は果敢にチャレンジするも0-1で敗れた日本代表だったが、続くガーナ代表戦では4-1で勝利。前のゲームから大きくメンバーを入れ替えた中で見えてきたものを、らいかーると氏が分析する。

 ブラジル戦で世界のトップレベルとの差を見せつけられた日本。一方で、GKを組み込んだビルドアップやアジア最終予選で積み重ねてきたインサイドハーフを中心とする前進をブラジルを相手に試みることによって、新たな武器の提示と山積みの課題を手に入れることとなった。

 ガーナ戦のスタメンを眺めると、出番の少なかった上田綺世、久保建英、柴崎岳+パラグアイ戦のメンバーが中心となった。チームのキーであるインサイドハーフに久保と柴崎を起用したのはチャレンジングであるとともに、[4-3-3]こそがチームの基盤なのだ!という森保監督の強い主張を感じさせられる。

サイドにおける三角形の役割と再構築

 序盤こそ、堂安律の裏への飛び出しに吉田麻也がロングボールを蹴る展開があった。しかし、サッカーは相手が存在するゲームだ。ガーナの守備時の配置が[5-3-1-1]で、CBやSBが簡単にボールを持てる状況となると、日本は速攻からのトランジションよりもブラジル戦でチャレンジしたCBからのショートパスを主体とする攻撃に、時間の経過とともに移行していった。

 ビルドアップで苦労することなく相手陣地に進入することができるというのは、インサイドハーフが相手陣地でのプレーに集中することができる状況を意味している。そして、この状況を最も謳歌していたエリアが右サイドの堂安、久保、山根視来だった。

 [4-3-3]はウイング、SB、インサイドハーフの三角形が生命線になってきている。それぞれの選手が大外、内側、後方支援の役割をこなすことによって、相手に迫っていくことが特徴だ。また、それぞれの役割を入れ替える流動性によって、相手を混乱させたり、自分たちがペースを握ったりすることが古典的な手法となっている。

 昨季のマンチェスター・シティが三角形の頂点を入れ替える作戦の再定義を行ったことによって、脚光を浴びている作戦と言えるだろう。マンチェスター・シティは後方支援の位置に逆足の選手を配置し、サイドから中央、逆サイドにボールを運ぶ選択肢をちらつかせることが特徴だった。たまたまだろうが、堂安と三笘薫が立ち位置を下げてボールを受けると、マンチェスター・シティと似たような状況になることが少し面白い。サイドから中央、もしくは逆サイドに展開することで、相手の守備ブロックへの侵入ルートを多数確保できることが、この作戦の醍醐味である。

 堂安、久保、山根は3つの役割をそれぞれの選手がこなすことができる。すべての役割をこなすとなると、特にSBの山根には運動量が必要とされるが、平気でこなしているところに彼の魅力が詰まっている。ボールを触ることでリズムをつかんでいく堂安と久保がボールに触りやすいように立ち位置と役割を調整する山根は、右サイドを円滑にした立役者だろう。実際に先制点の場面では3人が三角形の位置を入れ替えながら相手のゴールに侵入していく形がはまった格好となっていた。

先制ゴールをマークした山根を迎える久保と堂安。3人の関係性が右サイドを活性化させた

 左サイドに目を移してみると、対照的にこちらは得意分野が噛み合っていないように見えた。後方支援を得意としている伊藤洋輝と柴崎。内側でもプレーできるが大外でのプレーをチームから求められていそうな三笘。伊藤はボール保持者を追い越す動きでは内側も外側も苦にする印象はないが、相手の5バックによって常に捕まっている三笘を自由にする立ち位置を手探りでプレーしているようだった。

 なお、28分にこの試合で初めて伊藤が内側に立つことで、三笘へのパスラインの創出と下りてプレーするエリアの確保に成功している。さらに時間が経過すると、シンプルに三笘に預けて追い越す動きを伊藤が行うことによって、三笘からのクロス2連発に繋げることに成功。試合の中で改善できたことは見事だったし、それが結果に繋がったことはちょっと出来過ぎたストーリーだったのではないだろうか。

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Profile

らいかーると

昭和生まれ平成育ち。サッカー指導者にもかかわらず、様々な媒体で記事を寄稿するようになってしまった。ただ、書くことは非常に勉強になるので、他の指導者も参加してくれないかなと心のどこかで願っている。好きなバンドは、マンチェスター出身のNew Order。 著書に『アナリシス・アイ サッカーの面白い戦術分析の方法、教えます』