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パリ五輪本大会への戦いはすでに始まっている――AFC U23アジアカップが2年後に向けて重要な理由

2022.06.01

ワールドカップイヤーとあってA代表の戦いぶりに注目が集まるが、2年後のパリ五輪に向けて「AFC U23アジアカップ」に臨むU-21日本代表の戦いも見逃せない。『DAZN』で独占配信される今大会の位置付けや、大岩剛監督率いるU-21日本代表にとって重要な理由、選出メンバーについて、竹内達也氏にレポートしてもらう。

 2024年のパリ五輪を目指すU-21日本代表にとって、初めての国際公式大会となる「AFC U23アジアカップ」が6月1日に開幕する。国内外でプレーする精鋭23人をそろえた大岩ジャパンはUAE、サウジアラビア、タジキスタンという厳しいグループに組み込まれた中、過去2大会での早期敗退を挽回すべくウズベキスタンに乗り込んだ。

 「AFC U23アジアカップ」という名ではあまりなじみがないかもしれないが、「AFC U-23選手権」と言えば聞き覚えがある人もいるだろう。アジアサッカー連盟(AFC)が2020年、これまで「選手権」(Championship)と称していた世代別代表大会をすべてA代表と同じ「アジアカップ」に変更したことで、今大会から新たな名称で表記されることになった。

 AFC U-23選手権は創設以来、2年に一度のペースで開催されており、リオ五輪イヤーの2016年大会、東京五輪イヤーの2020年大会では五輪本大会の予選も兼ねていた。それ以前の五輪予選はワールドカップ予選に近い枠組みで1年以上かけて行われていたが、この大会の創設がきっかけとなり、欧州同様アジアにも世界に繋がるU-23世代のビッグトーナメントが誕生した形だ。

 もっとも、五輪本大会は4年に一度で、アジアカップは2年に一度。世界大会が2年に一度開かれているU-17年代、U-20年代とは異なり、この大会にはU-23年代特有のギャップがある。五輪開催年は五輪の出場権を懸けて戦うため、世界的祭典への“最終予選”というとても重要な位置付け。その反面、五輪開催年ではない大会は単にアジアの覇権を懸けた戦いにとどまるため、プライオリティが下がってしまうのだ。

 そうした価値基準は、五輪の重要性が高い日本において、より顕著となっている。これまで日本は五輪予選を兼ねる大会には年齢上限(五輪本大会の年齢上限でもある)のU-23年代でチームを構成してきたが、そうでない大会はU-21年代のメンバー構成で参戦。2年後に向けた五輪世代の強化の機会にあててきた。その慣例は今大会も変わらず、大岩剛監督が率いるのは「U-21日本代表」。グループステージで対戦するサウジアラビア、ノックアウトステージで対戦する可能性が高い韓国をはじめ、多くの国々がこの大会に向けてU-23年代の選手を送り込んでくる中、年少世代で挑む形となる。

 ならば、今大会の重要度はそう高くない——。そう思われるかもしれないが、それも実は大きな誤解である。その理由として挙げられるのは、この大会における「ポット分け」だ。

今大会「ポット3」になった背景

 日本は今大会に向けた組み合わせ抽選会で、出場国中9〜12位にあたる「ポット3」に割り当てられている。最上位の「ポット1」に開催国ウズベキスタン、韓国、サウジアラビア、オーストラリア、次点の「ポット2」にヨルダン、タイ、UAE、イランといった国々が並んでいる中、近年のAFC主催大会では異例とも言える序列の低さとなった。

 こうしたポット分けが生まれた背景には、東京五輪の最終予選として行われた前回大会での早期敗退があった。

 前回大会に参戦した森保ジャパンは、すでに開催国枠で五輪出場を決めていたこともあり、本大会に向けたテストの位置付けでメンバーを編成。すでに世代の中心を占めていた欧州組はMF食野亮太郎1人しか招集できず、シーズンオフ真っ只中の国内組中心で大会に臨んだ。そしてサウジアラビア、シリア、カタールと同居したグループステージで1分2敗と大苦戦。東京五輪に向けた課題や反省点の抽出と引き換えに、ノックアウトステージに進むことさえできなかった。

 またそもそも、前回大会で厳しいグループに組み込まれたのも、五輪開催年ではない前々回18年大会の成績が原因だった。リオ五輪予選を兼ねた16年大会制覇により「ポット1」で臨んだ日本は、グループステージではパレスチナ、北朝鮮、タイに3連勝を果たしたものの、準々決勝で年上世代のウズベキスタンに0-4で大敗。前年にU-20W杯に出場したU-21世代の前評判は決して低くなかったが、DF中山雄太、DF冨安健洋、MF堂安律、MF久保建英らを招集できなかったことも響いた。

 ワールドカップなどA代表のポット分けは、過去数年間の実績で算出されるFIFAランキングをもとに決められる。しかし、世代別代表にはそうした仕組みがないため、直近の大会成績によって決められるのが通例。それゆえ、一度の早期敗退によって“負のスパイラル”が生まれる可能性が高い。実際に日本の過去2大会を見ると、東京五輪へのテストに十分な機会を持てたという大きなメリットはあったものの、それと引き換えに大会内での序列を大きく下げてしまうという側面もあった。

 したがって、今大会はパリ五輪に向けた“谷間の大会”にあたるとは言えども、パリ五輪本大会への戦いはすでに始まっているとも言える。五輪最終予選を兼ねる次大会を優位に進めるべく、組み合わせ抽選で「ポット1」に入るためには、今大会は最低でも上位4チームに入らなければならないのだ。

失った強化の機会を取り戻していくために

 またチームビルディングに関して言えば、そうした形式ばった事情よりも、勝つことによってより多くの試合をこなすことができ、その経験が今後の戦いに繋がっていくというシンプルな要素を無視することはできない。現在のU-21年代は、昨年のU-20W杯を目指すはずだった選手たちがコアメンバー。新型コロナウイルスの影響で海外遠征がストップし、世界大会まで奪われてしまった損失をこれから取り戻していくためにも、1つひとつの大会で成功体験を積み上げていくことが重要になる。

 そうした大きな役割を託されているのが、以下の23選手たちだ。

【GK】
小久保玲央ブライアン(ベンフィカ/ポルトガル)
佐々木雅士(柏レイソル)
鈴木彩艶(浦和レッズ)

【DF】
内野貴史(フォルトゥナ・デュッセルドルフ/ドイツ)
木村誠二(モンテディオ山形)
加藤聖(V・ファーレン長崎)
馬場晴也(東京ヴェルディ)
半田陸(モンテディオ山形)
畑大雅(湘南ベルマーレ)
鈴木海音(栃木SC)
チェイス・アンリ(シュツットガルト/ドイツ)

【MF】z
松岡大起(清水エスパルス)
山田楓喜(京都サンガF.C.)
佐藤恵允(明治大)
斉藤光毅(ロンメル/ベルギー)
山本理仁(東京ヴェルディ)
藤田譲瑠チマ(横浜F・マリノス)
三戸舜介(アルビレックス新潟)
松木玖生(FC東京)

【FW】
藤尾翔太(徳島ヴォルティス)
細谷真大(柏レイソル)
鈴木唯人(清水エスパルス)
中島大嘉(北海道コンサドーレ札幌)

 大岩監督は今年3月のチーム発足以来、3月と5月の2度にわたって行った国内トレーニングキャンプと、初の対外試合となった国際大会「ドバイカップU-23」で選手選考を実施してきた。これまで招集したのは負傷などで不参加に終わった選手も含めて計52人。この23人はその中から絞られた格好だ。

 中心となるのはドバイカップの招集メンバー。日本はクロアチア、カタールとのグループステージを突破し、サウジアラビアとの決勝を制して頂点に立った。そのうち2試合でキャプテンマークを巻いたMF藤田譲瑠チマ、決勝戦でゴールを決めたFW細谷真大、東京五輪を経験した世代トップランナーのGK鈴木彩艶のほか、欧州組のGK小久保玲央ブライアン、DF内野貴史、FW斉藤光毅も名を連ねた。通常冬開催の大会ではなかなか招集ができなかった欧州組を呼ぶことができたのは、今回の1つの大きなポイントとなる。

 またドバイカップ組からは、本来であればモーリス・レベロ・トーナメントに臨むU-19日本代表のコアメンバーを担う2学年下のDFチェイス・アンリ、MF松木玖生も飛び級で選出された。パリ世代からはすでにMF久保建英がA代表の常連となっており、おそらくこの世代の活動への参加は今後もなかなか期待できない中、そうした選手がより増えていくことを期待する意味でも、下の世代からの積極的な引き上げは欠かせない。

 さらにはドバイカップには参加しなかったが、直近の5月のトレーニングキャンプに招集されていたMF山田楓喜、MF佐藤恵允、MF三戸舜介、FW中島大嘉の4選手にもチャンスが与えられた。いずれも所属先で目を引く活躍を見せている選手たち。真剣勝負の国際試合でさらなるアピールができれば、ここから代表に定着していくことが大いに期待される。

 その一方、ドバイカップに参加していたDF西尾隆矢(セレッソ大阪)とFW小田裕太郎(神戸)がコンディション不良のため招集を辞退し、すでに負傷離脱が発表されていたMF荒木遼太郎(鹿島アントラーズ)とMF甲田英將(名古屋)らは選外となった。特に西尾と荒木は今年1月、A代表の国内組合宿にも初招集されていた選手で、不在は大きな痛手。同じくA代表経験者のMF松岡大起、FW鈴木唯人に一段上のレベルでチームを引っ張る働きが託される。

 大岩監督は今大会に向けて「優勝に向かってやっていきたい」と目標を明言。これまで招集したメンバーには「ボリュームが多過ぎるくらい準備している」という資料も使いながら、「プレーモデル、原則、戦術といったものは伝えられている」と手ごたえをのぞかせる。とはいえ、これが初の公式国際大会。2年後のパリ五輪に向け、どのようなチームづくりを進めるのか。本格的なスタートを切る大岩ジャパンを見逃す手はない。

2022 AFC U23アジアカップ

DAZNで独占配信!

■日本代表戦配信スケジュール

6月3日(金)グループD第1節 UAE vs 日本 22:00 キックオフ
6月6日(月)グループD第2節 日本 vs サウジアラビア 22:00 キックオフ
6月9日(木)グループD第3節 日本 vs タジキスタン 22:00 キックオフ

■AFC U23アジアカップ関連オリジナルコンテンツ

『THE  PREVIEW -AFC U23アジアカップ 2022-』
未来につながる今を視点に、「いつか日本がワールドカップで優勝するための5つの事」をテーマに、出演者が厳しい意見も交えながら激論を繰り広げます。また、番組内では、チームを率いる大岩剛監督、松木玖生選手(FC東京)などのインタビューもお届けする。
MC:野村明弘
出演:水沼貴史、福西崇史、飯尾篤史(スポーツライター)

『やべっちスタジアム』
毎週日曜日23時~配信中
5月29日(日)の配信では今大会を大特集。U23アジアカップで日本が初めて優勝を果たした2016年カタール大会の決勝の模様をプレイバックするほか、注目選手も紹介。大会期間中の配信でも、日本戦を中心にたっぷりと試合の情報をお届けする。
MC:矢部浩之、アシスタント:黒木ひかり、解説:中田浩二(5月29日)

『内田篤人のFOOTBALL TIME』
毎週木曜日配信中
今大会を特集した企画を配信予定

Photo: AFLO

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AFC U23アジアカップ

Profile

竹内 達也

元地方紙のゲキサカ記者。大分県豊後高田市出身。主に日本代表、Jリーグ、育成年代の大会を取材しています。関心分野はVARを中心とした競技規則と日向坂46。欧州サッカーではFulham FC推し。かつて書いていた仏教アイドルについての記事を超えられるようなインパクトのある成果を出すべく精進いたします。『2050年W杯 日本代表優勝プラン』編集。Twitter:@thetheteatea