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似て非なるテデスコとナーゲルスマン。RBライプツィヒのポジショナルプレーに現れる違い

2022.04.20

好評発売中の『フットボリスタ第90号』は、ポジショナルプレーを大特集。5レーン型、ローテーション型、密集型、アジア型の4タイプに分類し、それぞれ代表格となるチームをピックアップしながら、難解なポジショナルプレーの体系化に挑戦している。その番外編として、戦術家ドメニコ・テデスコ率いるRBライプツィヒの特徴を、ケルン体育大学大学院でサッカー分析を学ぶcologne_note氏に解説してもらった。

 2022年に入ってから13試合で獲得した勝ち点は32。21-22シーズンのブンデスリーガ後半戦で最多のポイントを奪っているのは、昨年12月に監督を交代したばかりのRBライプツィヒだ。バイエルンに引き抜かれたユリアン・ナーゲルスマンの下、昨季を2位で終えたチームは今季開幕14試合でわずか18ポイントしか勝ち取れず、当時は11位と低迷。順位表下半分からわずか4カ月でCL圏内の3位まで引き上げたのが、2年9カ月ぶりにブンデスリーガの舞台に立ったドメニコ・テデスコだ。

 テデスコは監督就任会見でも自ら認めたように、指導者ライセンス講習の同期でもあったナーゲルスマンと似た「ゲームモデル」を持つ戦術家だ。テデスコの下で絶対的なレギュラーとしてDFラインの中央に君臨するビリー・オルバンは、ドイツメディア『Sport1』のインタビューで彼らの共通点についてこう語る。

ナーゲルスマンと握手を交わすオルバン

 「基本的には似たようなタイプ。若く才能にあふれた指導者で、専門的で高度な教育を受けている。どちらもボールを保持してプレーすることに重点を置き、面白くて、楽しい攻撃的サッカーを目指す監督だ」

 「全体的に、両者は非常によく似ている」とした上で、2人の智将には「戦術の面で違いがある」とオルバンは語る。一例として挙げたのは、システムの柔軟性だ。ナーゲルスマンのチームは対戦相手や状況に応じて4バックと3バックを使い分けていたが、テデスコはDFラインを3バックに固定。その中で[3-4-1-2]、[3-4-3]、[3-1-4-2]と中盤と前線の形のみ変化させている。テデスコは大枠を固定することで、前任者ジェシー・マーシュの下で最適解を見出せなかったチームに安定性をもたらした。

 さらなる両者の異なる点としてオルバンは「ポジショナルプレー」を挙げたが、その詳細はインタビュー内では明かされず。そこでフットボリスタ最新号のテーマでもあるポジショナルプレーの視点から、テデスコ体制のRBライプツィヒをナーゲルスマン時代と比較してみよう。

ひし形の選択肢を増やす「シュバイニーのポジション」

 まずボール保持の局面で異なるのは、ピッチのどこに選手を集めるかだ。ナーゲルスマンはピッチの中央により多くの選手を配置し、そこからゴールへのルートを探る。例えば、ボール保持時に[3-4-2-1]でプレーする場合、2枚の守備的MFとアタッカー3枚が中央レーンとハーフレーンに立ち、3バックを含めれば計8選手が中央に立つ形を好んでいた。ピッチ中央でボールを持てば、ゴールへの距離は近くなりボールホルダーの選択肢も増える計算だ。

 翻れば、そこでボールを失った場合に相手チームから自陣ゴールへ最短距離でカウンターを仕掛けられるデメリットと表裏一体だが、ナーゲルスマンはそのリスクを受け入れている。恐れを知らないメンタリティも、34歳という若き指揮官の特徴だろう。……

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RBライプツィヒドメニコ・テデスコユリアン・ナーゲルスマン戦術

Profile

cologne_note

ドイツ在住。日本の大学を卒業後に渡独。ケルン体育大学でスポーツ科学を学び、大学院ではゲーム分析を専攻。ケルン市内のクラブでこれまでU-10 からU-14 の年代を指導者として担当。ドイツサッカー連盟指導者B 級ライセンス保有。Twitter アカウント:@cologne_note