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「13戦無敗から今年こそ!」ジェフ千葉の開幕戦に見た失望と希望

2022.02.24

2021シーズンのラスト13試合を8勝5分の無敗で終えたユン・ジョンファン体制のジェフユナイテッド千葉。就任3年目を迎える2022シーズンは、悲願のJ1昇格を狙う集大成の1年となる。開幕戦の相手は、いわてグルージャ盛岡。果たして、その期待に応えられるようなサッカーを見せられたのか――ジェフを追い続ける西部謙司氏に分析してもらおう。

 2021年は8位ながら、9月18日の愛媛戦から13戦無敗でシーズンを終えている。その間8勝5分、クリーンシート8試合。ユン・ジョンファン監督は堅守のチームを作り上げていた。

 手ごたえのある終わり方にファンの期待も高まる。しかし、2022年開幕戦は0-1と敗戦。いわてグルージャ盛岡をホームに迎えた一戦は、膨らんでいた希望に水を差す形となった。

 新シーズンを迎えるにあたっての課題ははっきりしていた。得点力を上げることだ。

 昨季の48得点は12番目、得点数トップのジュビロ磐田(75得点)、2位のV.ファーレン長崎(65得点)に遠く及ばない。失点は京都サンガの31失点に次ぐ二番目の少なさ(36失点)だったことを考えれば、今季の課題はどう見ても得点力ということになる。

 ところが、プレシーズンマッチのちばぎんカップの柏レイソル戦に続き、開幕戦も無得点に終わる。180分間、どちらもホームゲームで期待したゴールはなし。さらにいえばチャンスも少なかった。

 攻め込めていないわけではない、どちらの試合も敵陣にボールは運べている。優勢に進めていた。にもかかわらずゴールがない。それがまたファンをいっそう不安にさせている要因だろう。

運べるけれども崩せない

 得点力アップの気配がない。ただ、チームが進歩していないわけでもなかった。

 かなりスムーズにボールを運べるようになっていた。千葉のフォーメーションは[3-4-2-1]だが、攻め込みが左右非対称になっている。左はCB左側の鈴木大輔がタッチラインいっぱいに開く。右の新井一耀は鈴木ほど前方には出ず、右サイドはウイングバックの福満隆貴が幅を取る役割だった。

 鈴木がタッチラインに張る左サイドは、ウイングバックの末吉塁がハーフスペースに入る。さらにボランチの田口泰士、左シャドーの見木友哉が前後にサポート。フリーになる鈴木を起点に末吉がポケットを狙うか、田口や見木へ渡してCF櫻川ソロモンへ当てての中央突破。2つの攻め込みルートが用意されていた。

 右側は福満が開いて、ハーフスペースには新加入の右シャドー風間宏矢。中間ポジションの風間へクサビを入れての崩しを狙っている。

 左右の人数配分は違うが、組み立ての意図は感じられた。崩しの手前まではできている。ところが、そこから「先」がなかった。相手に5バックを敷かれるとポケットへの侵入は簡単ではなく、櫻川へ当てる中央突破も確率的には成功しにくい。

 そうなると、サイドチェンジを使ってサイドで1対1にして仕掛けるのが定石だが、右の福満はなぜか内側に入り込んでいて、左も鈴木が上がってくるので末吉がサイドにいないケースも多く、結局これも不発。そもそもサイドで仕掛けて突破するタイプが先発では末吉しかいない。

 というわけで、崩しの手前までは意図もあり進歩もあるのだが、それが得点につながる気配がなかった。つまり、キャンプで準備してきたことが得点力アップに直結していないのではないか、的が外れているのではないかという疑念を抱かせる開幕戦だった。

2022シーズンのJ2開幕節、いわてグルージャ盛岡戦のハイライト動画

「守備」で「攻撃」を補う難しさ

 ブラジルの名手だったジジはサッカーを「寸足らずの毛布」に喩えた。攻守のバランスを完璧に取るのは難しい。そこで、攻撃力に優れたチームは攻撃することで守備を減らしてバランスを取ろうとし、守備に自信のあるチームは堅守速攻やハイプレスという形で守備力を攻撃力へ転換しようと試みる。……

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ジェフユナイテッド千葉戦術

Profile

西部 謙司

1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。

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