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渡辺剛が加入したコルトレイクとはどんなクラブ?

2022.01.16

2021年12月28日、FC東京に所属する渡辺剛を完全移籍で獲得したことが発表されたベルギー1部リーグのKVコルトレイク。近年、日本人選手が増加しているベルギーリーグだが、コルトレイクにとってはクラブ史上初の日本人選手加入となった。日本では馴染みのないコルトレイクとはいったいどんなクラブなのか。欧州を中心に隆盛しているマルチクラブ・オーナーシップ(MCO)を行っているクラブの一つとしても注目されるクラブにクローズアップする。

金拍車のコルトレイク

 本拠地コルトレイクが位置するのはベルギー西部、西フランデレン州の最南部。中世ベルギーで繰り広げられたフランス・フランドル戦争の最中に勃発し激戦となった「金拍車の戦い」の舞台で、フランドル伯国の独立を守った戦いとして記憶され、ベルギーの成り立ちにおいて重要な街である。フランス語圏に隣接する地域だが、歴史的背景からフラマン語(オランダ語)話者が大多数を占めている。

 クラブの創立は1901年。1970年代以降は1部に定着していたものの1999年に2部へ降格すると、2001年には3部まで降格してしまう。しかしその後2008年に1部へ復帰し、今シーズンで14シーズン目。2009-10の5位が歴代最高順位となっている。ホームスタジアムはフルテンスポーレン。「金拍車」を意味し、9399人収容とコンパクトなスタジアムだ。また、クラブの愛称はオランダ語で「小さな男たち」という意味の「デ・ケレルス」で、フランドル伯国を守った小さな兵士たちにちなんでいる。

 国内リーグにおける最大のライバルは同じ西フランデレン州に居を構えるズルテ・ワレヘムだ。隣街ワレヘムをホームタウンとするズルテ・ワレヘムのスタジアム、レーヘンボークス・スタディオンとの距離はわずか18km。両チームのダービーマッチはフランデレンとクラシコをかけ合わせて「フラシコ」の名で親しまれ、毎回激戦が繰り広げられている。

 過去に所属した選手たちを挙げると、クリスタルパレスに所属するベルギー代表FWクリスティアン・ベンテケとセネガル代表DFシェイク・クヤテはいずれも若手時代、コルトレイクで鍛錬を積み重ねステップアップを果たしていった選手たちだ。

ゴールを挙げたベンテケと駆け寄り喜ぶクヤテ(左)。ともにコルトレイクでプレーしたのはレンタル加入した1シーズンのみだが、そこでブレイクのきっかけをつかみ後の活躍へと繋げていった(上はスコット・ダン)

マレーシア人実業家が買収

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コルトレイク渡辺剛

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シェフケンゴ

ベルギーサッカーとフランス・リーグ1を20年近く追い続けているライター。贔屓はKAAヘントとAJオセール。名前の由来はシェフチェンコでウクライナも好き。サッカー以外ではカレーを中心に飲食関連のライティングも行っている。富山県在住。

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