SPECIAL

名古屋で出会った新しいサッカー観、日本代表で得た経験。中谷進之介のサッカーに生きる日々(後編)

2021.11.24

太陽のような笑顔が印象的だ。どこにいても彼だと分かる大声と、自然と人の集まるポジティブなオーラは、周囲にも笑顔をもたらしていく。それでいて、サッカーに対してはどこまでもストイック。成長への意欲も、さらなるステップアップへの意欲も、隠そうとはしない。レイソルのアカデミーで基礎を学び、グランパスでフットボーラーとしての幅を広げ、日本代表にまで辿り着いた25歳。

中谷進之介がその歩んできたキャリアを自ら振り返るインタビュー後編は、グランパスへの移籍を決意した2018年から、念願の日本代表へと招集された今年に至るストーリー。

←前編へ

「再現性のないサッカー」をして勝つのが風間さん


――普通に考えると周囲からすれば、中谷選手がレイソルを出るということはなかなか考えにくかったと思うんですけど、名古屋グランパスへの移籍は今から振り返ると、どういう決断だったと思いますか?

 「すべては風間(八宏)さんですよね。たぶんあの状況で、監督が風間さんじゃなかったら移籍していなかったと思いますし、レイソルに残って勝負しても、試合に出るチャンスはあったと思うので。だけど、やっぱり名古屋の監督が風間さんというのが一番大きかったです」

中谷が加入する前年の2017シーズンから2019シーズン途中まで名古屋を率いていた風間監督


――同じカテゴリーの中での国内移籍というのが意外でした。

 「その時に『レイソルと戦う日が来るから移籍をやめよう』とは正直思わなかったです。ただ、あの環境から出るということ、日立台のピッチを夢見てサッカーをしてきた少年が、あそこにもう戻れないという決断をすることに対しては凄く悩みましたし、父親から言われたのは『レイソルアカデミーに対して感謝の気持ちはないのか』と。でも、直感でオファーが来た時に『行こう』と決めていたので、もちろん3日ぐらい迷いましたけど、自分の心の奥底では決まっていました」


――新しいチャレンジをする時が来た、みたいな感じですか?

 「うーん、若干せざるを得なかった、ですかね。あそこでくすぶっている時間はないなと思ったので。あの時間に耐えられるかと言ったら、耐えられなかったかなと」


――それはゲームに出られていないという状況も含めてですか?

 「そうです。ゲームに出られていないということ自体が、結構耐えられない状況ではあったので、いろいろ考えましたね」


――名古屋に移籍してきて、いきなり8戦負けなしで7連勝という入りになりましたね。

 「入りは本当に良かったですね。でも、自分がやれている感覚はそこまでなかったです。チームの勢いに乗せてもらっている感もありましたし、2018年は手応えがあるわけではなかったです」


――2018年はどういうところがしっくり来なかったんですか?

 「そもそもあの頃のサッカーって、まだまだ風間さんっぽくなかったじゃないですか。本当に技術に対しての考え方とか、求め方というのは細かいですし、繊細なので、そこを体現しようとはしましたけど、まだ探っている最中だったので、わかっていなかったです。風間さんのサッカーに何が正解かというのは正直ないんですけど、自分の中でそもそも手応えがなかったですね」


――それはチーム全体もそういう時期だったという捉え方ですか?

 「チーム全体もそうだったと思います。夏から来た選手がスタメンに多かったですし、言ってしまえば『再現性のないサッカー』をして勝つのが風間さんなので、そもそもの形がないので難しいんですけど、それ自体も全員が理解することが難しいままで、あのシーズンは過ぎていきましたね」


――その状態で勝ち続けることと、チームがうまく回るのは相当難しくないですか?

 「あの2018年は、エドゥアルド・ネットと相馬勇紀と前田直輝くんとジョー。あの4人がチームを救った感じはありますし、7連勝をしている時期は点を獲られても負ける気はしなかったので、その変な自信というか、根拠のない自信はチーム全体が持っていたと思います」

とにかく楽しかったし、とにかく成長した半年間


――風間さんのサッカーという面で、外から見ていたものと、中に入って実際にやってみたもののギャップは、どういうところに感じましたか?
……

残り:6,729文字/全文:8,465文字
この記事は会員のみお読みいただけます

会員登録はこちら

プレミア会員 3つの特典

雑誌最新号が届く

会員限定記事が読める

会員限定動画が観られる

「footballista」最新号

フットボリスタ 2021年11月号 Issue087

【特集Ⅰ】 シティ・グループ、RBグループに続く新勢力が続々と…「派閥化」するフットボールの世界 /【特集Ⅱ】 All or Nothing ~アーセナル沼へようこそ~

10日間無料キャンペーン実施中

TAG

中谷進之介名古屋グランパス戦術日本代表

Profile

土屋 雅史

1979年8月18日生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社。学生時代からヘビーな視聴者だった「Foot!」ではAD、ディレクター、プロデューサーとすべてを経験。2021年からフリーとなり、現在はゲキサカを中心に活動中。昔は現場、TV中継含めて年間1000試合ぐらい見ていたこともありました。サッカー大好き!