SPECIAL

オーストラリア視点から見た日豪戦。高い壁になる「アーニー・チルドレン」

2021.10.11

10月12日に行われるW杯最終予選の「日豪決戦」。ホームの日本にとっては「勝つしかない」状態だが、AFCにおける日本の宿敵とも言えるオーストラリアは簡単な相手ではない。Jリーグでもおなじみのグラハム・アーノルド監督率いるオーストラリアは、どういったチームなのか。現地在住のジャーナリスト、タカ植松氏に“サッカルーズ”の現状をレポートしてもらった。

 またもや、W杯アジア最終予選で「日豪同舟」となった。これで、なんと4大会連続だから、もはや、最終予選のお約束となりつつある。

 05年のオーストラリアAFC転籍以来、過去3回のW杯最終予選で6試合のガチンコの日豪戦で両国は相まみえてきたが、その結果は1勝4分1敗と完全な五分。そんな過去の対戦を思い起こしても、ここまで日本が追い込まれた状況での対戦は記憶にない。さらに言えば、ここまで、両国の置かれた状況にコントラストがある中での対戦もそうはなかったはずだ。

精神的な余裕?「負けなければいい」から「負けても命取りではない」へ

 とにかく、今の日本とオーストラリアでは、勢いとムードが違いすぎる。

 森保監督の去就だけでなく、W杯出場の黄信号まで灯っている日本。ホームの観衆の前で下手を打つことが許されない状況は、ホームとはいえ、かなりのプレッシャーになるに違いない。

 かたや、オーストラリアにはその手のプレッシャーが皆無だ。最終予選の組み合わせが判明して以来、毎回の通り、日本のことを同組の「最大の難敵」と想定してきた彼らにとっては、4年ぶりの敵地での日豪戦は、もともと「負けなければいい」試合。それが、両国ともに最終予選の前半の天王山になるだろうと踏んでいた一戦をめぐる様相は、10月シリーズに入って、日本がまさかの2敗目を喫するとガラリと変わった。勝ち点差が6という彼我の現況の違いもあいまって、オーストラリアにとっては「もし負けても、決して命取りにはならない」試合という位置づけにまで下がった。ようは、無理をしなくて良くなったということだ。

オマーン戦で先制弾を挙げたマビルを祝うオーストラリア代表チーム

 日本行きに当たって、欧州組メインのチームの大陸を股にかける移動は、いつものことで、さほどのデメリットではない。ホームの日本もサウジからの移動で条件は大差ない。今回の日豪戦、オーストラリアは気を抜くようなことはないまでも、アウェイながらもある程度はリラックスして望めるだけに、両国の試合に向けての心持ちの違いが内容や結果にどう現れるかは非常に興味深いところだ。

日本を破ったオマーンも撃破。W杯予選11連勝中!

 10月シリーズの初戦、日本がサウジアラビアに煮え湯を飲まされた試合と前後して行われたオーストラリア対オマーン。オマーンは、日本に対してのアップセットに気持ちを良くして、サウジには敵わなかったものの「次の獲物はオーストラリア」とばかりにぶつかってきた。これまで中東諸国に足をすくわれることが少なからずあったオーストラリアだが、過去10戦して6勝3分と“お得意様”のオマーンを寄せ付けず、3-1で勝利。勝ち点を9まで積み上げた。この勝利でオーストラリアは、カタールW杯アジア2次予選から通算で11連勝。複数に渡らない単独開催のW杯予選での連勝の世界新記録を打ち立てるなどチームのムードは上々だ。……

残り:3,046文字/全文:4,421文字 この記事の続きは
footballista MEMBERSHIP
に会員登録すると
お読みいただけます

TAG

オーストラリア代表戦術文化日本代表

Profile

タカ植松

福岡県生まれ。豪州ブリスベン在住。成蹊大卒業後、一所に落ち着けない20代を駆け抜けてから、アラサーでの国外逃亡でたどり着いたのがダウンアンダーの地。豪州最大の邦字紙・日豪プレスでスポーツ関連記事を担当後、フリーランスとして活動を開始。豪州フットボール事情というニッチをかれこれ15年以上守り続けて、気が付けばアラフィフ。オージー妻に二児の父。

関連記事

RANKING

関連記事