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EUROでダメダメだったフランス代表の再出発。「モダン化」へ、新布陣[3-4-1-2]に光明

2021.09.09

世界王者として臨んだEURO2020では、ラウンド16でスイスに敗北という、ガッカリな結果に終わったフランス代表。それから約2カ月後、最初の国際マッチとなった2022年カタールW杯予選は、9月1日に行われたボスニア・ヘルツェゴビナ戦(ホーム)と4日のウクライナ戦(アウェイ)に1-1で引き分けたものの、7日のフィンランド戦(ホーム)でようやく2-0と、EUROのドイツ戦以来6試合ぶりの勝利。予選グループDの他4チームより消化試合が多い状況ながらも、2位のウクライナに7ポイント差をつけて単独首位(3勝3分0敗)の座を守った

 バンジャマン・パバール、リュカ・エルナンデス、マーカス・テュラム、ウスマン・デンベレらがケガで招集外。コランタン・トリッソ、エンゴロ・カンテはメンバー入りしたが離脱し、ボスニア・ヘルツェゴビナ戦に先発したキリアン・ムバッペもその試合でふくらはぎを痛めてパリに戻る……と負傷者続出の事態に見舞われたが、それでもフランス代表は十分な戦力を備えている。最初の2戦は明らかに気合い不足であり、なんともメリハリのないパフォーマンスで相手に先制点を許したものの、そこから奮起してなんとか同点で終えた。

 しかしリヨンのホームグラウンドで戦ったフィンランド戦では、選手たちが序盤からしっかり戦闘モードに入り、雪崩のように相手ゴールめがけて押し込んでいく、強い時のレ・ブルー(フランス代表の愛称)の顔が見られた。

 数日間でまったく別の戦いぶりを見せた理由の一つは、この試合でディディエ・デシャン監督が採用した[3-4-1-2]のシステムが機能したことだ。2ゴールを挙げたアントワーヌ・グリーズマンも「やっと一番バランスの良いシステムが見つかった感じ」と試合後にコメントしたように、攻撃ではより多様性があり、守備では相手にスペースを与えず均衡が取れていた。

フィンランド戦のスターティングイレブン

グリーズマンが生き、テオがハマる戦術

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アントワーヌ・グリーズマンディディエ・デシャンフランス代表

Profile

小川 由紀子

1992年より欧州在住。96年から英国でサッカー取材を始め、F1、自転車、バスケなど他競技にも手を染める。99年以来パリに住まうが実は南米贔屓で、リーグ1のラテンアメリカ化を密かに歓迎しつつ、ブラジル音楽とカポエイラのレッスンにまい進中。

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