SPECIAL

ファン・ダイクは完全復活できるか?手術から復帰まで、9カ月の歩みを振り返る

2021.08.14

2020年10月17日のマージーサイドダービーで前十字靭帯損傷という大ケガを負ったフィルジル・ファン・ダイクが、2021年7月29日のヘルタ・ベルリンとのプレシーズンマッチで285日ぶりに試合出場を果たした。当時名実ともに「世界最高のCB」と謳われていたオランダ人DFは、どのようなプロセスを経て復帰に至ったのか。そして迎える新シーズンでさっそくかつての輝きを取り戻せるのか。本人のSNS投稿と専門家の証言を照らし合わせながら、その可能性を探ってみよう。

ファン・ダイク本人を知る外科医がリハビリを分析

 フィルジル・ファン・ダイクの靭帯再建手術が行われたのは2020年10月30日。執刀医は、2011年に英紙『タイムズ』の「英国の外科医100人」にも選出された膝の靭帯手術の専門家、アンディ・ウィリアムズ医師だ。計100人以上のプロサッカー選手やプロラグビー選手の膝にメスを入れ、ダニー・イングス、アダム・ララーナ、サディオ・マネ、アレックス・オックスレイド・チェンバレンと歴代所属選手も担当した実績を持つ彼に、リバプールはファン・ダイクの選手生命を託す。無事に手術が成功して5週間後の12月4日、ファン・ダイクはクラブの新施設AXAトレーニングセンターでリハビリに励む自身の写真をTwitterに投稿した。

 サウサンプトン大学病院で膝専門の外科医として働き、ファン・ダイク本人とも交流があるというデイビッド・バレット医師によると、損傷した前十字靭帯は患者自身の半腱様筋腱(ハムストリング腱)や膝蓋腱を移植して再建するのが一般的。自分自身の靭帯を使うため拒絶反応は起こらないが、癒合して血流が再開するのに約10〜12週間かかるという。また術後は靭帯の神経組織が切断されているため膝の動きが脳に伝わらない。目を瞑って膝を曲げると、膝の角度を正確に感じ取れないそうだ。

 そこでバレット医師が「患部に負担をかけず膝と脳を繋ぐ神経系の活性化を促すのに効果的」と推奨しているのがプールやスパで行うハイドロセラピーだ。ファン・ダイクもTwitterに投稿した3枚目の写真内で水中歩行訓練を行っており、モニターに映る自分の膝の動きを目で確認。治療箇所をケアしつつ、上半身や体幹の筋力を維持するトレーニングを中心に行っている様子がうかがえる。

チェンバレンもイチオシ!ドバイの最先端施設でリフレッシュ

……

残り:3,803文字/全文:4,907文字
この記事は会員のみお読みいただけます

会員登録はこちら

プレミア会員 3つの特典

雑誌最新号が届く

会員限定記事が読める

会員限定動画が観られる

「footballista」最新号

フットボリスタ 2021年11月号 Issue087

【特集Ⅰ】 シティ・グループ、RBグループに続く新勢力が続々と…「派閥化」するフットボールの世界 /【特集Ⅱ】 All or Nothing ~アーセナル沼へようこそ~

10日間無料キャンペーン実施中

TAG

フィルジル・ファン・ダイク

Profile

田丸 由美子

ライター、フォトグラファー、大学講師、リバプール・サポーターズクラブ日本支部代表。年に2、3回のペースでヨーロッパを訪れ、リバプールの試合を中心に観戦するかたわら現地のファンを取材。イングランドのファンカルチャーやファンアクティビストたちの活動を紹介する記事を執筆中。ライフワークとして、ヨーロッパのフットボールスタジアムの写真を撮り続けている。スタジアムでウェディングフォトの撮影をしたことも。