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「ミルナー・ドア」に「秘密の階段」も。クロップ特注のリバプール新トレーニングセンター

2020.12.27

 新型コロナウイルスの影響による過密日程の中、交代枠を5枚から3枚に戻したプレミアリーグ。厳しい環境に置かれているのは昨季王者リバプールも同じで、長期離脱となったフィルジル・ファン・ダイクら主力の負傷が序盤戦から相次いでいるが、指揮官ユルゲン・クロップはピンチをチャンスに変えている。彼らが抜けた穴をアカデミー出身者で埋め、チーム力の底上げに成功しつつあるのだ。

 U-9からリバプール一筋のカーティス・ジョーンズ(19歳)はすでにプレミアリーグで昨季の6試合を上回る9試合に出場。スタメンに定着した俊英は、CLグループステージ第5節のアヤックス戦で同じく19歳の生え抜きネコ・ウィリアムズのクロスから決勝点を記録。CL史上初の10代コンビによるゴールとなった。

CLグループステージ第5節アヤックス戦で同大会初ゴールを挙げ、N.ウィリアムズと喜ぶC.ジョーンズ

 同試合でオランダが誇る名門の攻撃を完封したのは、第2GKのアドリアンを押しのけて抜擢されたクイビン・ケラハー(22歳)。続くプレミアリーグ第11節ウォルバーハンプトン戦、CLグループステージ第6節ミッティラン戦でも先発し、アリソン・ベッカーと遜色ないゴールキーピングで守護神の不在を感じさせなかった。

 ミッティラン戦ではリース・ウィリアムズ(19歳)も先発しており、プレミアリーグ第13節トッテナム戦でもCBとしてフル出場。195cmの長身を生かして6回の空中戦をすべて制し、チームの首位奪還に大きく貢献した。彼ら若手の活躍もあり、プレミアリーグ第14節時点でリバプールは混戦模様となった上位陣の中で頭一つ抜け出している。

アカデミーとファーストチームを一つの施設に

 リバプールがアカデミーから有望株を輩出しているのは、今に始まったことではない。スティーブ・マクマナマン、マイケル・オーウェン、ロビー・ファウラー、ジェイミー・キャラガー、スティーブン・ジェラード……。ファーストチームに定着した選手の名前を挙げればキリがなく、近年ではトレント・アレクサンダー・アーノルドもその一人に数えられる。彼がキャプテンマークを巻いたミッティラン戦では、ケラハーとウィリアムズに加え19歳のレイトン・クラークソンも先発出場。クロップがフィリップ・ラームにたとえる逸材がCLデビューを果たしている。

 続々とタレントが登場するリバプールだが、クラブは長年にわたりある問題の解決に取り組んでいた。ファーストチームの練習場があるメルウッドとアカデミーの練習場があるカービーは10kmも離れており、実際にクロップがアカデミーの試合やトレーニングを視察する時はタクシーを拾わなければならなかったほど。アカデミーで頭角を現しても、その選手がファーストチームへ引き上げられるまでに、余計な手間と時間がかかってしまっていた。

メルウッドにあるファーストチームの旧練習場

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リバプール文化

Profile

田丸 由美子

ライター、フォトグラファー、大学講師、リバプール・サポーターズクラブ日本支部代表。年に2、3回のペースでヨーロッパを訪れ、リバプールの試合を中心に観戦するかたわら現地のファンを取材。イングランドのファンカルチャーやファンアクティビストたちの活動を紹介する記事を執筆中。ライフワークとして、ヨーロッパのフットボールスタジアムの写真を撮り続けている。スタジアムでウェディングフォトの撮影をしたことも。