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最強CB擁するリバプールだが、「特殊な能力」は要求せず

2019.11.27

注目クラブの「チーム戦術×CB」活用術

欧州のトップクラブはセンターバックをどのようにチーム戦術の中に組み込んでいるのか。そしてCBはどんな要求に応え、周囲の選手と連係し、どんな個性を発揮しているのか。2019-20シーズンの興味深い事例を分析し、このポジションの最新スタイルに迫る。

#6_リバプール

 自陣ビルドアップでの形状変化がない。これはリバプールに限らず、一部を除くプレミアリーグのクラブの傾向と言える。例えば、日本のJリーグでもビルドアップの基本は最終ライン3人である。3バックのチームだけでなく、4バックでもMFがCBとSBの間、あるいはCBとCBの間に下り、SBを高い位置へ上げている。マンチェスター・シティ式のSBが内側へ絞る“偽SB”もある。ところが、リバプールはプレミアらしく形状変化をほとんど行わず、4バックまたは2バックによるビルドアップになっている。中盤からジョルジニオ・ワイナルドゥムやジョーダン・ヘンダーソンが下りてくる形もないわけではないが、基本的にはあまり使っていない。

 ビルドアップの出口は基本的にCBになるが、ショートパスを開いたSBの足下へつけるパスがほとんど。そこが潰されたらFW目がけて蹴るか、対角ロングパスになる。40m級のロングパスの精度が問われている。

 リバプールは可能な限り縦へ速い攻め込みを狙っている。サディオ・ロベルト・フィルミーモハメド・サラの3トップが強力で速いので、スペースがあるうちに3人を使うのが得策でもあるわけだ。それが無理な時はSBへ渡すが、形状変化がなくSBの受ける位置は低めだ。しかし、トレント・アレクサンダー・アーノルとアンドリュー・ロバートソンは個の力で相手のプレスを外して運ぶ力がある。また、どちらのSBからも一発で逆サイドへサイドチェンジが出せる。逆のSBがマークされているケースはほぼないので、これがハイプレスに対する脱出口として使われている。また、フィルミーノが深い位置へ下りて縦パスを受けてさばくプレーも予備的な脱出口として使われている。

  つまり、リバプールのCBにビルドアップで要求されている特殊な能力はほぼない。左側のフィルジル・ファン・ダイクは左利きですらない。SBの足下へつけるか、相手がプレスしてきたら前線へ蹴るか。GKへのバックパスすらほとんど使っておらず、時間をかけてまで自陣でボールをキープしようという発想そのものがないわけだ。

 自陣でのキープは相手を釣り出す効果があり、その時にプレスを外せば人工的にカウンターを打てる。しかし、リバプールはそうした手の込んだ策は取らず、相手が引く前に攻め込むか、引かれた時はSBにつけて個人技を使ってダイナミックに攻めていく。両SBは深くまで攻め込む代わりに、CB2枚は必ず待機してカウンターに備える。セットプレー以外は守備要員だ。古典的な役割と言える。

リバプールのデヤン・ロブレン
ジョエル・マティプ負傷離脱を受けファン・ダイクの相棒を務めているデヤン・ロブレン。強靭な肉体で相手を圧倒するタイプのCBだ


Photos: Getty Images

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フィルジル・ファン・ダイクリバプール

Profile

西部 謙司

1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。

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