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【独占インタビュー】離日から4年。「成長を続けている」呂比須ワグナーが語る現在とブラジルサッカー

2021.03.28

18歳で来日を果たし、10年間のプレーを経て帰化を選択。日本がワールドカップ初出場を果たした1998年フランス大会のメンバーに名を連ね、日本サッカー史にその名を刻んだ呂比須ワグナー。2017年にブラジルへ帰国し、現在は母国で活動している元日本代表FWに、ブラジル在住の藤原清美さんがオンラインインタビューで話を聞いた。

前編では、現在の呂比須の状況と、ブラジルサッカーの現在について教えてもらった。

離日後の活動

――ビジュアルが変わりましたね。

 「ヒゲを伸ばしているし、ヘアスタイルは残っている髪をうまく生かそうとしているしね(笑)」

――では、始めましょうか。

 「OK。ヨロシクオネガイシマス」

――オネガイシマス。ではまず、あなたの監督としての近況を聞かせてください。

 「2017年にアルビレックス新潟を離れた後、ブラジルに戻った。まだプロライセンス(※訳注:ブラジルの最高ランクの監督ライセンス)を取得するための講座が残っていたし、スポーツ心理学の講座も終えなければならなかったからね。

 すべての講座を終えて、翌年にはクリチーバに本拠を置くパラナクルビでの仕事が始まったんだ。ただ、パラナ州選手権の最初の6試合でチームの再構築が思うようにいかず、第7節を前に去ることになってしまった。

 それからここまで、いくつかのクラブを指揮して良い仕事をしてきた。ブラジルでの監督という仕事がとても難しいのはわかっている。いろんな要因のために、監督を引き受けるという決断を下しにくい状況もある。でも、サッカーを愛しているし、いつでもサッカーのプロジェクトに関わっているよ。可能な限り、市場の研究もしようとしている。より良い決断を下すためにね。

 同時に、監督ライセンスの講座を終えてからの3年間もトレーニングメソッドや試合の哲学、選手たちのポテンシャルの伸ばし方などを勉強したり、コミュニケーション力をつけたりとあらゆる研究をし、それを実践しようともしているよ。サッカーは非常に難しいものだとわかっているからね。ピッチの状態やサポーターのこと、選手のその日の調子など試合には予想できないことが多い。だから、チームに信頼感を伝え、落ち着きを与えることも必要だ。とても難しいことだと理解したうえでこの仕事に取り組んでいるよ」

――2020年2月にボタフォゴSP(昨シーズン本田圭佑が所属したボタフォゴとは別クラブ)を去った後、あなたは1年間、どのクラブの監督も引き受けませんでした。ちょうど新型コロナのパンデミックの時期と重なるんですが、それが妨げになったんでしょうか?

 「それはもう、とんでもなく妨げになったよ。僕は78歳の義母と一緒に住んでいるから、仕事を断ることも増えていたんだ。外に出て、新型コロナウイルスを家に持ち込むのを避けるために。

 実は昨年中もいくつかの打診を受けたんだけど、シーズンの途中からではなく最初から関われるプロジェクトや、まったく新しいチャンスを待つ方がいいと判断したというのもある。

 だから、この期間を生かしてできる限り研究したり、磨きをかけたりしていたよ。最後に指揮したボタフォゴSPで、どこにミスがあったかを振り返って考察したりね。プレシーズンはどうだったか、チームの組み立てはどうだったか……。僕らはミスからも学ぶものだから。

 いつでも成長しようとしているし、プロとしても、人としても、知識を得ようとしている。どうすれば、より良いプロフェッショナルになれるか、より良い人間になれるか。そういうことに、終わりはないからね」

(注)このインタビュー後の2021年3月9日、ゴイアス州ゴイアニア市を本拠地とするビラ・ノーバの監督に就任。呂比須にとっての初戦、州選手権第4節イポラー戦で5-0、続くコパ・ド・ブラジル1回戦アトレチコ・ジ・アラゴニャスに3-0と快勝し好スタートを切った。5月からはブラジル全国選手権2部もスタートする

ブラジルサッカーの変化

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インタビュー呂比須ワグナー

Profile

藤原 清美

2001年、リオデジャネイロに拠点を移し、スポーツやドキュメンタリー、紀行などの分野で取材活動。特にサッカーではブラジル代表チームや選手の取材で世界中を飛び回り、日本とブラジル両国のTV・執筆等で成果を発表している。W杯6大会取材。著書に『セレソン 人生の勝者たち 「最強集団」から学ぶ15の言葉』(ソル・メディア)『感動!ブラジルサッカー』(講談社現代新書)。YouTube『Planeta Kiyomi』も運営中。