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部活動、グラスルーツに新たな文化の定着を。映像分析アプリ「MY TAGTIC」に込められた想い

2021.03.01

「育成現場で気軽に使える映像分析ツールがあったらいいのに」――。そんな声に応えるべくデータスタジアムは「MY TAGTIC」をリリースした。Jクラブなどのプロ向けに培ってきた貴重なノウハウを、なぜ部活動やグラスルーツなどのアマチュアへ還元しようとしているのか。担当者3人が開発に込めた想いを明かしてくれた。

※『フットボリスタ第82号』より掲載。

継続的な映像分析が難しいアマチュアの現状

──まずは自己紹介をお願いします。

「フットボール事業部の藤と申します。営業担当として当社のデータと映像を紐づけたシステムなどのソリューションをJクラブ向けに提供しています。また、コロナ禍の影響もあり今年は開催できませんでしたが、当社が主催しているアナリスト育成講座の講師も務めています」

高橋「フットボール事業部の高橋と申します。4年前まで筑波大学蹴球部で選手としてサッカーをプレーし、4年生時にはインカレで優勝することができました。卒業後に当社に入社しまして、現在は藤と同じ仕事をしています」

片岡「エンジニアの片岡と申します。『LIVE SCOUTER』の開発にも携わっており、藤、高橋とともに『MY TAGTIC』の企画から開発、さらにはアプリの販売戦略や仕様面も含めて指揮を執っています」

左から藤さん、高橋さん、片岡さん

──藤さんと高橋さんはJクラブ向けの営業をされていて、片岡さんはJリーグのリアルタイム分析ツールLIVE SCOUTERの開発にも携わられていると。これまでデータスタジアムさんと言えば、そうしたプロ向けのビジネスをされているイメージが強かったですが、今回はなぜアマチュア向けの映像分析アプリMY TAGTICをリリースされたのでしょうか?

高橋「まず背景として2018年のロシアW杯から競技規則が変わりまして、テクニカルエリアで電子通信機器を使用することが可能になりました。そこからトップレベルのサッカーの意思決定における一つの判断材料としてテクノロジーが関わるようになり、リアルタイムで使えるハイスピードな分析が求められ、プロ向けの映像分析ツールが急速に進化していきました」

「LIVE SCOUTERの動きの前から当社ではさまざまな競技、かつ幅広いカテゴリーでリアルタイム分析のようなもののニーズがあると考えておりまして、いろんな現場と関わっている私が部活動やグラスルーツにヒアリングしていくと、実際にアマチュアでも使える映像分析ツールを求める声は数多くありました。そこで、当社が需要に応えなければと考え、具体的な企画が始まりましたね」

──アマチュアでは、どのように映像分析が行われているのでしょうか?

高橋「個人単位だと、保護者がカメラで撮った試合映像を見て振り返っている選手も多いようです。実際に僕自身も中学時代、高校時代は父親の助けを借りてプレーを振り返っていました。でも、必ず保護者が試合会場まで着いてこられるとは限りませんし、応援せずにカメラを持って立ち続けなければいけないので負担も大きいですよね」

片岡「私も子供がプレーしている少年サッカーの現場によく足を運びますが、そうやって試合を撮影している保護者同士で映像を共有することも少なくないようです。でも、YouTubeにそのまま動画をアップロードしてURLを共有するだけだったりするので、試合を最初から見直して気になっていたシーンを探さなければならず、かなり時間がかかってしまっていますね」

「一方チーム単位では、特に部活動は人手が足りないので選手が試合を撮影することも少なくないようです。ただ、結局は時間に追われている先生がその映像を編集せざるを得ず、個人でもチームでも継続的に分析を行うことは難しいのがアマチュアの現状です」

「シンプルさ」「わかりやすさ」を徹底追求

──そうした問題背景を踏まえて、どのようにMY TAGTICを開発していったのでしょうか?

「まずは保護者でも選手でも簡単に使えるように、『シンプルさ』と『わかりやすさ』を追求していきました。『シンプルさ』では、これまで当社が様々な競技で培ってきたノウハウを参考にしながら、直感的に操作できるように必要最低限の機能だけに削ぎ落としていきましたね」

片岡「プロサッカー向けの映像分析サービス『Football BOX』などをJリーグの各クラブさんに使用していただく中で、多くの方からフィードバックを集めることができました。そこでみなさんが口をそろえておっしゃっていたのが、『現場では時間に追われているので必要最低限の機能でいい』という言葉でした」

「だからMY TAGTIC では、誰にでも使われる機能を抽出していきました。実際にリリース直前まで迷いに迷って外した機能もあります」

片岡「もう一つの『わかりやすさ』という点では、UIの仕様を決める前にテスト版を作ってみんなで実際にスマホやタブレットを触りながら議論や変更を重ね、直観的に操作方法が理解できるアイコンやレイアウトを模索した結果、現在の形に落ち着きました。文字もできる限り少なくして情報量を抑え、ストレスなく使えるようにしていますね」

──その結果、どのような機能が残ったのでしょうか?

高橋「『タグづけ』『再生』『共有』という3 つの機能に絞り込んでいます。まず、『タグづけ』では試合中にリアルタイムで撮影しながらでも、試合後に端末内に記録した映像を見返しながらでも、タップして得点やシュート、ナイスプレーなど気になったシーンに目印――いわゆるタグをつけていくことができます」

片岡「そうしたタグの数は初期設定だと10個程度ですが、様々なユーザーのニーズに応えられるよう無制限に作れるようにしました。また、各タグを編集することも可能で、タグの名前を変更、選手名を登録、☆マークを追加して、気になったシーンを分類することもできます。それらを検索できる機能もついていますね」

リアルタイムでも後からでも試合映像に「得点」「シュート」など気になるシーンをタグづけできる。タグの内容や数は自由にカスタマイズ可能

──「再生」はどのような機能なのでしょうか?

高橋「タグづけが完了した試合映像を再生するとタグが表示され、それをタップするだけで気になるシーンに飛ぶことができます。だから、例えば前半にリアルタイムでシュートとしてタグづけをしていれば、ハーフタイムにシュートのタグを選択するだけで選手たちにシュートシーンを見せることも可能です。タップした瞬間に振り返りたいシーンが始まると、『見逃しやすい』『前後の文脈がわからない』という現場のご意見も参考に、初期設定では10秒前から振り返りたいシーンが再生されますが、各タグで秒数を選んでいただくことも可能です。また、『タグづけしていなかったシーンを急遽振り返りたいケースもある』というお声もいただいたので、時間指定して再生できる機能をつけています。試合映像は長時間におよび、シークバーだけでは秒単位の細かな調整が難しいからですね」

リスト化されたタグをタップするだけで気になったシーンを再生可能。他のアプリに映像クリップを出力する共有機能も

──「共有」についても教えてください。

高橋「タグづけされた気になるシーンを一つひとつでも、タグごとにまとめてでも、複数のタグを組み合わせてでも、映像クリップとして出力することができます。端末内に保存できるのはもちろん、他のアプリに移すことも可能にしています。例えば、他の人とAirDropで共有したりLINEで送信することもできますね」

「フリープランではアカウント作成から3日が経つと、一つの試合・練習に対して合計10分以内の動画しかこのような利用ができませんが、有料プランでは無制限となりクラウドサービスも利用できるようになります。有料プランは4つあり、それぞれ利用できるチーム人数やクラウドの容量が変わってきますね」

有料プランではクラウド機能が追加され、チームで手軽に動画を共有できる

「フリープラン」に隠されたもう一つの狙い


──でもフリープランで共有まで可能であれば、有料プランにする必要性があまりないですよね。一見すると採算が取れないように映りますが、何か狙いがあるのでしょうか?
……

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MY TAGTICデータスタジアム分析育成

Profile

足立 真俊

1996年生まれ。ウィスコンシン州立大学でコミュニケーション学を専攻。卒業後は外資系OTAで働く傍ら、フットボリスタを中心としたメディアで執筆・翻訳・編集経験を積む。2019年5月より、footballista編集部の一員に。プロフィール写真は本人。Twitter:@fantaglandista