「めちゃくちゃ助けてもらった」中村敬斗に“最後のアシスト”。関根大輝は苦しみを糧に這い上がる【ランス総括・後編】
Allez!ランスのライオン軍団 #29
2025-26シーズンは中村敬斗、関根大輝が牽引する若き獅子たちの最新動向を、現地フランスから小川由紀子が裏話も満載でお届けする、大好評のスタッド・ランス取材レポート。
最終回となる第29回は、リーグ2(2部)6位で終了した今季総括の後編として、中村の名場面、関根の反省と決意、カレル・ゲラーツ監督の贈る言葉をお伝えしたい。
ド根性プレーヤー、一緒におって心強いヤツ、持ってる人
中村敬斗のスタッド・ランス3年間の名場面を思い出すと、印象的なのは、やはり2024-25シーズンのリーグ1第19節パリ・サンジェルマン戦(△1-1)でのゴール。2人がかりのマークを抜き去ったドリブルも強烈だった。それから、15試合連続未勝利をストップした第27節マルセイユ戦(○3-1)での先制ゴール。さらに後半には倒れ込みながらのアシストも記録した。
ランス3兄弟の活躍として忘れられないのは、このシーズン2月のフランスカップ準々決勝アンジェ戦だ。
関根大輝のプロ初アシストから中村がヘッド弾を決めてランスが先制。後半アディショナルタイムに同点とされたが、PK戦で中村がトップバッター、伊東純也(現ゲンク)が4番手でキックを成功させて、ベスト4進出を決めた。この一戦は内容がハラハラだっただけに勝利の喜びも大きく、試合後の3人のうれしそうなやりとりも印象的だった。

直近でいえば、今シーズンのリーグ2第31節、サポーター集団から脅しに近いプレッシャーを受け、絶対に負けられなかったレッドスター戦(○3-2)での先制点。そして最終節での4得点は、ランスのクラブ史にも刻まれることだろう。
こうしたビッグプレー以外にも、2024-25シーズン終盤、足の痛みを薬で散らしながら、守備にも奔走して毎試合12kmも走っていた姿には胸が熱くなった。痛いところを抱えていても、こちらから聞かない限りは一切口にしないし言い訳もしない。あとで聞いて「よくそれで走ってたな……」と感心させられることもたびたびあった。ファッションショーのゲストに招かれるような華やかさとは対照的な、実に泥臭く、強い信念を持つ、ド根性プレーヤーだ。
そして、“絶対に負けられない試合”で見せた勝負強さ。同じ2000年生まれの瀬古歩夢(ル・アーブル)も、こうした勝負強さを持つ彼のことを「一緒におって心強いヤツ」とベタ褒めしていた。
いつか、「中村選手は“持ってる人”だと思う」と言ったら、「持ってるんですかね~どうなんだろ」と笑っていたが、やっぱり彼は持ってる選手だ。
その才が、W杯でも発揮されますように。
「全然ダメだった」シーズンの「次につながる終わり方」
関根は、最終節のポー戦(○5-3)で今季の初アシストを記録した。しかも中村の4点目をお膳立てしたランス兄弟連係ゴール。
「敬斗くんとプレーできるの、たぶん今日で最後だと思ってプレーしたので。プレータイムをもらえてよかったですし、最後アシストできて、敬斗くんの4点目。最後一応、僕がアシストで締めたんで(笑顔)」
66分にマキシム・ビュシに代わってピッチに上がった関根は、積極的に中に入って攻撃に参加。この76分のゴールシーンも、ペナルティエリア付近まで攻め入り、相手からボールを奪って中村にさばいた積極プレーがゴールを生み出した。
「あの時は中に入っていくのをけっこう意識していて、自分も何か残そうと。プレーオフ進出の可能性もあって戦っていましたし、そうならなくても何か次に、来シーズンにつながるような終わり方ができればいいなと思っていたので……」
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Profile
小川 由紀子
ブリティッシュロックに浸りたくて92年に渡英。96年より取材活動を始める。その年のEUROでイングランドが敗退したウェンブリーでの瞬間はいまだに胸が痛い思い出。その後パリに引っ越し、F1、自転車、バスケなどにも幅を広げつつ、フェロー諸島やブルネイ、マルタといった小国を中心に43カ国でサッカーを見て歩く。地味な話題に興味をそそられがちで、超遅咲きのジャズピアニストを志しているが、万年ビギナー。
