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ヴィッセル神戸、降格危機から残留へ。フィンク監督がその挑戦を語る

2019.12.20

 「バルセロナ化」どころかJ1残留さえも危ぶまれた状況で、火中の栗を拾うような大きなリスクを受け入れてヴィッセル神戸の指揮官となったトルステン・フィンク監督。下手をすれば欧州での評判を大きく落としかねないほどのリスクの中、チームを13位から8位まで引き上げ、天皇杯ではクラブ初のタイトルを狙えるところにまで漕ぎ着けた。

 アンドレス・イニエスタやルーカス・ポドルスキ、ダビド・ビジャら世界王者を始めとする有名選手をそろえるものの、「名前が成功を保証するわけではない。それは日本でも欧州でも同じことだ」とフィンク監督は話す。Jリーグで結果を残すことは簡単ではないと、12月18日の『ビルト・シュポルト』で説明している。

「残留が私に与えられたノルマ」

 「この8位という成績に、どう整理を付けるのかが重要なんだ。私が6月にやって来た時、監督はすでに2人交代していて、私に課されたノルマは残留だった。この背景を考慮に入れれば、8位という成績は成功だったと思う」。フィンク監督は今シーズンをそう振り返り、来シーズンの上位進出の意志を明かした。

 ドイツだけではなく、ひと回り経済規模の小さなオーストリアやスイスのサッカーも良く知るフィンク監督にとって、Jリーグの環境は満足のいくもののようだ。

 「(Jリーグは)とてもプロフェッショナルだ。テンポが速く、選手たちは戦術的に良くトレーニングされている。たいていどこのスタジアムも満員で、選手たちを報いるのにふさわしい環境が整っている」

外国人選手と日本人選手の違い

 今シーズン、8人の外国人選手を抱えたチームを指揮したフィンク監督は、日本人選手と外国人選手たちの違いをこう表現する。

 「チーム全員が、お互いからそれぞれ学ぶことができるだろう。日本人はしっかりと規律を守り、指示した内容を100%実行する。欧州の選手たちはサッカーにおける想像力をチームにもたらしてくれる。この想像力は、日本人選手たちには少し欠けている部分かもしれない」

 それぞれが強みを持ち込み合い、欠点を補い合うことでチームとして機能させることを目指すフィンク監督。一方で、各選手にチャンスを与えるためのメンバー構成に頭を悩ませていたことも明かしている。

 「肝心なのは、全員がそれぞれのパフォーマンスをしっかり見せることだ。その意味では、欧州の選手たちの起用に関して難しさも感じている。外国人は、5人までしかメンバーに入れることができないからね」

来シーズンは「クラブの土台を築く」

 来シーズンの目標について話が及ぶと、具体的な順位を述べる代わりに、クラブが長期的に安定して運営されるための「土台を作る手助けをしたい」と語った。これまでのように選手を入れ替えるのではなく、継続的にチームを発展させたいと言う。

 「長期的にクラブに利益をもたらせるような土台を築くサポートをしたい。クラブ内にしっかりとした構造を作り上げ、持続可能な活動ができるクラブになるための手助けをしたい」

 そのために、現在はスカウト部門の設立に着手し、育成部門の仕事を見直しているという。フィンク監督とともに働くモラス雅輝コーチも、オーストリアでは監督のみならず、マネージャーとしても活躍した、日本と欧州を良く知るエキスパートだ。Jクラブと経済規模が似ているオーストリアやスイスで培った二人の経験が、どのように神戸の改革に反映されるのか、オフシーズンも見どころが多くなりそうだ。


Photo: Getty Images

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アンドレス・イニエスタヴィッセル神戸

Profile

鈴木 達朗

宮城県出身、2006年よりドイツ在住。2008年、ベルリンでドイツ文学修士過程中に当時プレーしていたクラブから頼まれてサッカーコーチに。卒業後は縁あってスポーツ取材、記事執筆の世界へ進出。運と周囲の人々のおかげで現在まで活動を続ける。ベルリンを拠点に、ピッチ内外の現場で活動する人間として先行事例になりそうな情報を共有することを心がけている。footballista読者の発想のヒントになれば幸いです。

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