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“RBスタイル”を語る指揮官。ボルフスブルクでの成果はいかに

2019.12.06

 ブレーメンの地元紙『ダイヒ・シュトゥーベ』が、ボルフスブルクのオリバーー・グラスナー監督にインタビューを行った。このブンデスリーガ14人目となるオーストリア人監督ほどザルツブルクというクラブに精通している人物もいないだろう。現役引退後は同クラブの経営部門の1人として働き、後に指導者として現場に戻るという稀有なキャリアを持っているのだ。

 グラスナー監督はSVリートやLASKリンツで現役時代を過ごしたが、試合中にヘディングの競り合いで頭部を強打し、脳出血の緊急手術で一命を取り留めた過去を持つ。このケガがきっかけとなって引退した同氏は、現役時代から通っていた通信大学で経営学・商業の資格を取得し、そのままザルツブルクの経営部門に就職した。そしてロジャー・シュミットが監督になると、アシスタントコーチとしてザルツブルクのベンチに入ることとなる。

「ドイツの選手たちはワンランク上」

 『ダイヒ・シュトゥーベ』は、ともに仕事をしたロジャー・シュミットやUEFAヨーロッパリーグがある週のトレーニングのプランニング、オーストリアとドイツのブンデスリーガの違い、そして“RBスタイル”について話を聞いた。

 ブレーメンについて尋ねられると、「ロジャーはクラブ経営や選手のクオリティの高さに感激していた。当時所属していたメスト・エジルがどれだけ素晴らしい選手だったかを説明している彼の姿は今でも思い出せる」と振り返った。

 木曜日にELがある週のプランニングは常に難しくなる。とりわけ、ウクライナでアウェイゲームを戦わなければならない時は、準備にかける時間も限られる。「まずはELの試合に向けた準備を行う。集中的にリーグ戦の対戦相手の分析や準備に取りかかれるのは金曜日になってからだ。もちろんコーチングスタッフはあらかじめビデオ分析を進めているけどね」と話す。過密日程はもちろん、この準備期間の短さがEL出場の中堅チームがリーグ戦で苦戦する要因のようだ。

 ドイツのブンデスリーガがオーストリアと比べて大きく異なるのはフィジカル面だという。「多くの選手たちの個人的な能力レベルが、オーストリアに比べてワンランク上だ」と話し、「特に驚かされたのは、選手たちのフィジカルコンディションの良さ。走ることを惜しまないし、運動能力も優れている。しかも、その能力を90分間ずっと発揮できる。1対1のインテンシティにも強烈な印象を受けた」と続ける。

“RBスタイル”はプレッシングのみにあらず

 ピッチ上の話に絡めて“RBスタイル”のコンセプトに話がおよぶと、自身の考え方を交えながらチーム戦術の浸透具合の目安について説明した。

 「“RBスタイル”について話をする時に、プレッシングに話を限定しようとするのは最も大きな間違いだ。私のコンセプトは、ボールが常に中心になければならない、というもの。相手がボールを持っている時に自分たちは何をしなければならないのか。ボールを持っている時に自分は何をしなければならないのか。ボール奪取時なのか、ボール保持時なのかは関係ない。前からプレス掛けるのか、それとも少し引いたところか仕掛けるのか。ボルフスブルクでも、この基礎の部分はすでにできている。ボール保持の状態からもビルドアップから多くのゴールを決められるようになったからね」

 ロジャー・シュミットやヘルムート・グロースがインタビュー内で話す「ボールを中心に動く“群れ”」というコンセプトを体現するグラスナー監督。「そのコンセプトを成功させるのに、フォーメーションは関係ない」と話す監督が指揮するヴォルフスブルクは、RBライプツィヒやザルツブルクとも異なる[1-3-4-3]をベースとしている。一つのコンセプトをもとに様々なバリエーションが見られるブンデスリーガを注視したい。


Photo: Getty Images

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ボルフスブルク

Profile

鈴木 達朗

宮城県出身、2006年よりドイツ在住。2008年、ベルリンでドイツ文学修士過程中に当時プレーしていたクラブから頼まれてサッカーコーチに。卒業後は縁あってスポーツ取材、記事執筆の世界へ進出。運と周囲の人々のおかげで現在まで活動を続ける。ベルリンを拠点に、ピッチ内外の現場で活動する人間として先行事例になりそうな情報を共有することを心がけている。footballista読者の発想のヒントになれば幸いです。