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完璧メディア対応で評価が急上昇「フィル・ネビル語録」がアツい

2019.07.07

女子イングランド代表監督のカンペキ記者対応

 今夏の女子ワールドカップで「ほぼ完璧」と複数のメディアから称賛されているのは、イングランド女子代表を率いるフィル・ネビル監督のマスコミ対応だ。

 というのも、ネビル監督は、的確なだけでなくユーモアにも富んだ記者会見の受け答えで評価を高めているのだ。イングランドは残念ながら準決勝でアメリカに敗れたが、ネビル監督のコメントについては敵陣営からも称賛の声が挙がったほど。元アメリカ代表で274キャップを誇るジュリー・ファウディーは、オーストラリアの番組に出演すると「アメリカの優勝を確信してきたが、イングランドの会見を見て不安になった」と吐露した。ネビルの落ち着きと風格を目の当たりにして「ヤバい。この人スゴイじゃん」と思ったというのだ。

 最近はFIFAの公式会見が動画配信される便利な世の中になったので、筆者も移動中にネビルの会見を聞きながら1人でクスッと笑う日々を送ってきた。というわけで、そんな“ネビル語録”をいくつか紹介しよう。

会見で記者を楽しませたフィル・ネビル監督

 前述の準決勝前の会見では、アメリカ代表の主将ミーガン・ラピノーについて面白いエピソードを紹介。前回対戦した際に「タッチラインに来たボールを私がつかもうとしたら、ラピノーは私のアップルウォッチごと蹴っていった」と明かした。「まだ弁償してくれていない!」と冗談を飛ばしつつも、「ひと言だけ謝ってプレーを続けた彼女のメンタリティーに感服した」と同選手を称えた。

 準々決勝の前日会見では、記者から「準備に抜かりがないそうですが海外の理髪店はどうでした?」と聞かれると、「通訳を連れていくべきだったよ……」と“惨事”を嘆いた。そして「この髪型は“10-dayヘアカット”というのさ。10日後にはマシになるんだ!」と笑いを誘った。

 カメルーン戦の前日会見でも「カメルーンは“不屈の雌ライオン”だが、イングランド代表の雌ライオンに付ける形容詞は?」と質問されると、しばらく考えたあとで「友達に電話してもいい?」とクイズ番組『ミリオネア』のライフラインを引っ張り出して会場を笑わせた。

 それからアルゼンチン戦の前日会見では、FIFAのフランス人職員に「フィリップ・ネバイル」と紹介されると、「ネバイルの方が、響きがいいね」と笑ってみせた。そのほかにも、「質問は1つにしてください」と注意を受けた記者に「ほらね(笑)」と無邪気に笑ったあと、「でも彼はいいヤツなんだよ」と記者を擁護したりもしていた。

 もちろん冗談ばかりではない。日本戦の会見では優勝ボーナスの金額について聞かれると、急に声のトーンを落として「選手たちは納得している。金額についてはコメントしない」と無表情で答え、余計な詮索を一蹴することも忘れなかった。

現役時代に見せていたリーダーの片鱗

 たしかに見事な返答ばかりだと感心しつつ、筆者は14年前を思い出した。ありがたいことに、私は現役時代の彼にインタビューをさせてもらったことがあるのだ。だがその時は、気の利いた答えを返してくれないどころか、「マンチェスター・ユナイテッドで頑張る」と言い張りながらも、そのわずか数週間後にエバートンへと移籍したのだ……!

 それはともかく、今も記憶に鮮明に残っているのは、インタビュー後の彼の振る舞いだった。彼は自分のインタビューが終わると若手の選手(たしかにロナウドとかいう名前だった!)を待ってから、まるで子供を引き連れる保護者のように仲間を先導して去っていったのだ。生粋のリーダー……そのとき抱いた印象は間違いではなかったようだ。


Photos: Getty Images

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イングランド女子代表フィル・ネビル文化

Profile

田島 大

埼玉県出身。学生時代を英国で過ごし、ロンドン大学(University College London)理学部を卒業。帰国後はスポーツとメディアの架け橋を担うフットメディア社で日頃から欧州サッカーを扱う仕事に従事し、イングランドに関する記事の翻訳・原稿執筆をしている。ちなみに遅咲きの愛犬家。