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写真で振り返る日本vsエクアドル。選手たちの今後の成長に……期待大!

2019.06.27

ドローで終戦も、いい経験ができたコパ・アメリカ

 日本のコパ・アメリカが終わってしまいました。改めて感じますがとてつもなくいい経験ができたんじゃないでしょうか。久保建英はもうA代表でもレギュラーを務めるべき存在だと感じました。レアル・マドリーへの移籍が決まり、まずはBと言われていますが、プレシーズンマッチでAチームへの切符を掴み取ってしまうのではないかと、そんな期待を持たせてくれる選手ですね。それではエクアドル戦の写真で大会総括を含め振り返っていきましょう。

 中島翔哉の先制点が決まった瞬間、岡崎慎司のオフサイドでゴールが一旦取り消された。しかし、審判がしばらく試合を止めたのちVARでゴールが認められた。

 ゴールが認められた後、選手たちが改めて喜ぶもちょっと控えめ。これからのサッカーはこうなっていくのか。サッカーはこれでいいのか? VARで正確な判定を求めていく中で失ってしまうものは何なのか。それを改めて考えていくことはとても大事じゃないかと考えさせられる大会になった。日本代表が積んだVARの経験は非常に大きいが……。

 前半こそ不安定さを感じさせた冨安健洋だが、後半は安定を取り戻した。エクアドルが立ち上がりからいわゆる「前プレ」をかけてきて、それに慣れるのに時間を要した。こういうときにパッと味方に声をかけたり、指示を出したりして混乱を素早く抑えられる選手になってほしい。冨安の成長速度を見ていると、多分もう次に代表に呼ばれるときにはそんな選手になっているだろう。

 ベテラン川島永嗣も立ち上がりは不安定だった。グループリーグ突破がかかった試合は、チーム全体から溌剌さを奪った。ただ自分のミスを自分でしっかりカバーするあたりはさすが。

 川島も安定性を取り戻してからは、勇猛果敢なプレーが頼もしかった。

 久保にボールが入ればチャンスになる。そんな大会だった。今更だがドリブル突破も裏へのスルーパスも素晴らしい。写真整理をしていても圧倒的に久保の写真の枚数が多い。

 決勝点は久保か! そう思ったがオフサイドの判定でノーゴールとなった。この表情、オフサイドであることはわかっていたようだ。今大会で上田綺世とのコンビネーションは抜群であることが証明された。上田が入ってから日本に流れがきた。上田が入ってから一番イキイキとしたのが久保だった。2人のプレーのタイミングが阿吽の呼吸で見惚れるほどだった。

 三好康児は今後もA代表に定着してほしいと思わせるプレーを見せてくれた。いわゆるNMD(中島翔哉・南野拓実・堂安律)の牙城を三好と久保が崩すかもしれない。ただし久保との連携はこれから深める必要がある。

 杉岡大暉は3試合全てフル出場という大きな経験を経た。大会を通してパワーでは全く負けていなかった。いや、むしろ勝っていた。Jリーグだけでもパワーでこれだけやれるということを証明してくれたのは嬉しい限りだ。ただし相手との駆け引きでは苦しくなる場面が目立った。特にカットインしてくる相手にどう対応すべきかは、味方との連携含め課題が残った(ただ、それは急造チームだし当たり前だ)。

 肩を落とす杉岡を見て逆にこれからの成長に期待を持ってしまった。この悔しさがバネになる。今大会では杉岡の代わりになれるメンバーはいなかった。東京五輪までに杉岡を脅かす選手が出てきてほしい。それがまた杉岡の成長につながる。

 このチームはひとまず区切りを迎えた。「キャプテン柴崎岳」は東京五輪でも見られることだろう。文句のつけようのないプレーを見せてくれた。不安があるとすればこれから所属チームでどう過ごすのか。今大会の獅子奮迅の活躍をリーグ戦でも見たい。

Photos : MC Tatsu

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コパ・アメリカ日本代表

Profile

池田 タツ

1980年、ニューヨーク生まれ。株式会社スクワッド、株式会社フロムワンを経て2016年に独立する。スポーツの文字コンテンツの編集、ライティング、生放送番組のプロデュース、制作、司会もする。湘南ベルマーレの水谷尚人社長との共著に『たのしめてるか。2016フロントの戦い』がある。

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