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写真で振り返る日本vsチリ。奮闘に何を悲観的に騒いでいるのか?

2019.06.19

コパ・アメリカ初戦、チリ戦を終えて

 結果としては0-4で敗れた試合ですが、まさにこういう経験を積むためにブラジルに来たわけですから、ヒステリックにわーわー騒ぎ出す必要は全くないように思うのです。

 むしろ「いや〜経験させてもらったわ〜」という感じしかしません。20年前に参加したコパ・アメリカは絶望が強かったと思いますが、今回はそんなことになっていません。それは試合後に田嶋幸三会長が囲み会見で語っていた内容を聞いてもそう感じます。それでは、試合を写真とともに振り返ってみたいと思います。

 GK大迫敬介の試合の入りは落ち着いていた。安定した足さばきはさすが。後半はチーム全体の出来が悪くなり苦しい場面が増えた。

 4失点目のシーンは崩されていた中で飛び出しの決断を求められたのもあり、難しかったか。

 大舞台にもかかわらず自然体の上田綺世。クロスへの入り方は抜群で多くの決定機を迎えるがゴールはものにできず。

 シュートチャンスもバリエーションが豊富で本当にあとは決めるだけだった。もし上田がいなければこれだけの決定機を迎えられていただろうか。

 原輝綺は厄介な相手アレクシス・サンチェスにうまく対応していた。大会初戦からいきなりこのレベルの選手と対峙してもこの世代の選手はビビらない。若い世代から世界を経験させている日本育成の賜物だと言える。

 原はイエローカードをもらったあとも慌てることはなかった。

 日本の10番・中島翔哉を、チリは複数で止めに来ていた。特にガリー・メデルとアルトゥーロ・ビダルの2人は強烈だった。タックルは激しいがクリーンにボールを捉える。

 中島の右足は、特にチリに警戒されていた。

 イエロカードをもらったボランチをチリが見逃すわけがない。中山雄太本人が一番自分のパフォーマンスに納得いっていないだろう。東京五輪の森保ジャパンに絶対不可欠な存在だけに、今大会での再奮起に期待したい。

 A.サンチェスのボールタッチは鮮やか。ただし全盛期の迫力はないように見えた。

 前田大然のスピードはチリにバレていた。それでも数回はスピードで抜け出した。

 エリック・プルガルには高さで完全に負けた。連続写真でみるとまるで空中で止まっているように見える。

 これぞキャプテンというプレーで相手の攻撃を止め、プレッシャーをいなし、攻撃のタクトを振るう柴崎岳。獅子奮迅の活躍で、日本選手の中で最も目立つプレーをしていた。これがオーバーエージだと言わんばかり。

 4失点目を喫した後、腰に手を当てて立ちすくむ。試合の決着がついたとはいえ、キャプテンとしてここは味方を鼓舞してほしかった。プレーだけで引っ張るのがキャプテンではない。伸びしろと考えることもできる。

 キャプテンマークこそ巻いていないが随所にキャプテンシーを感じさせたのがビダル。先制点をあげた後、チリサポーターを煽ってスタジアムの勢いを加速させる。

 前半終了後、ピッチに引き上げていくときもサポーターのほうを見ながら拍手。見た目は怖いが常にサポーターと共にある選手。

 ベルギーで経験を得て大きく成長した姿を見せてくれたのが植田直通。得意のヘディングは健在でその他のプレーにも安定性が増してきた。

 冨安健洋と杉岡大暉はいつもどおりだった。

 彼らは南米チャンピオン相手にいつもどおりのプレーを、さも簡単に涼しげに披露した。「日本人は南米では普段どおりにプレーできない」というコンプレックスを、彼らの世代が壊してくれる。

 底知れない18歳の久保建英。前半こそドリブルも引っかかる、パスも引っかかるが、相手のリズムと間合いの感覚をつかんだ後半はチャンスを何度も作る。

 この大会期間内だけでも最初と最後で全く違う選手になっているのではないかと思える成長速度である。

Photos : MC Tatsu

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チリ代表久保建英日本代表

Profile

池田 タツ

1980年、ニューヨーク生まれ。株式会社スクワッド、株式会社フロムワンを経て2016年に独立する。スポーツの文字コンテンツの編集、ライティング、生放送番組のプロデュース、制作、司会もする。湘南ベルマーレの水谷尚人社長との共著に『たのしめてるか。2016フロントの戦い』がある。

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