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QUEENとチェフの素敵な関係。EL決勝、引退へのドラムロール

2019.05.11

引退間近のチェフが楽曲をリリース

 トップ4の望みは事実上消滅。加えて宿敵トッテナムがまさかのチャンピオンズリーグ決勝進出。アーセナル・ファンからすればまさに悪夢のような数日間だった。そんな憂鬱な日々を過ごしていた彼らも、今週の木曜日だけは少し笑顔を取り戻すことができた。彼らだけではない。チェルシーのファンだって喜んでいるはずだ。

 それもそのはずである。あのペトル・チェフが楽曲をリリースしたのだから。(……ん? ヨーロッパリーグでも何かあったの?)

 今季いっぱいで20年間の現役生活に終止符を打つアーセナルのGKチェフ(36歳)が、現地時間9日の正午に曲をリリースした。タイトルは『THAT’S FOOTBALL』。なんと、あのクイーンのドラマー、ロジャー・テイラー(69歳)との共作である。

 たしかにチェフがドラムを趣味にしているのは有名な話だ。でも、一体どうやって伝説のロックバンドのドラマーとコラボするに至ったのだろうか?

ロジャー・テイラーはチェルシーのファン

QUEENのロジャー・テイラー(右)とブライアン・メイ(左)、さらに映画『ボヘミアン・ラプソディ』の主演を務めたラミ・マレック(中央)

 きっかけは7年前まで遡る。2人は、チェルシーが頂点まで駆け上がった2012年のチャンピオンズリーグで出会ったという。そもそも、大学時代をロンドンで過ごしたテイラーはチェルシーのファンなのだ。そのためリスボンで行われた準々決勝のベンフィカ戦を観戦に行き、移動中の機内で当時のチェルシーの守護神に出くわしたという。クイーンの音楽を聞いて育ったチェフも思わぬ出会いに興奮し、ドラムの譜面にサインをお願いしたそうだ。すると気さくなテイラーはチェフを自宅に招いたという。2人はそれ以来の仲なのだ。

 翌年にはBBCの番組で共演を果たし、ドラムセッションをしながら互いの本業について語り合った。「選手を引退したらバンドを始めるかも。それだけの実力があればね」とチェフが音楽への熱意を語れば、「私はフットボール選手になれないからな」とテイラーは笑ってみせた。さらにテイラーは、なぜドラマーを志したのかも説明した。「バンドのリーダーやボーカルにはなりたくなかったけど、バンドの一員になりたかったのさ。それに生活費も稼げるしね!」

GKとドラマーには共通点がある

今季限りで引退するチェフ。現役ラストゲームはEL決勝チェルシー戦だ

 両手を使う以外にも、GKとドラマーには共通点があるという。「GKはチームを統率する重要な役割だ。同じようにバンドだってドラマーがいなければ成り立たない」とテイラー。「GKは瞬発力が大事だし、ドラムも俊敏性が必要だからね」。

 さらに2人にはウェンブリー・スタジアムで“プレー”したという共通点もある。そういう大舞台の前にはどんな準備をするのだろうか。チェフが「音楽を聞いたりして、選手個々がそれぞれ試合に備えるんだ」と真剣に語ると、「私はウィスキーを2杯飲むけど、選手たちはダメなんだよね?」とテイラーは笑いを誘った。

そんな仲良しの2人が共作した楽曲『THAT’S FOOTBALL』。売り上げはチャリティーに寄付されるそうだ。

Photos: Getty Images

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アーセナルチェルシーペトル・チェフ文化

Profile

田島 大

埼玉県出身。学生時代を英国で過ごし、ロンドン大学(University College London)理学部を卒業。帰国後はスポーツとメディアの架け橋を担うフットメディア社で日頃から欧州サッカーを扱う仕事に従事し、イングランドに関する記事の翻訳・原稿執筆をしている。ちなみに遅咲きの愛犬家。