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選手の自宅に泥棒被害が多発。なぜダービーの夜が狙われる?

2019.04.24

今月に入って選手宅の泥棒被害が激増

 選手の自宅が泥棒に入られる事件が相次いでいる。今季わかっているだけでも被害者は10人。名前と時期を挙げると、ジョルディ・アルバ(11月)、ケビン・プリンス・ボアテング(1月)、カリム・ベンゼマ(2月)、ホアキン、ウィリアム・カルバーリョ、ラミロ・フネス・モリ、カール・トコ・エカンビ、エセキエル・ガライ、ガブリエウ・パウリスタ、ジョフレイ・コンドグビア(4月)で、今月に入って激増していることがわかる。

 泥棒にしてみればサッカー選手はもともと狙いやすいターゲットだ。金があり、有名人だから自宅の場所が割れており、独身がほとんどで家族がいてもせいぜい妻と子くらい、試合や合宿などでいつ留守なのかが確実に把握できるからだ。実際、10人全員の被害日が試合中と試合前日の合宿中に集中している。

 ファンやメディアの目を避けるため、選手たちは普通は市内ではなく、郊外の超高級住宅地に住んでいる。有人の監視ゲートがあって車の出入りが24時間チェックされ、あっちこっちに監視カメラが置かれ、邸宅はどれも3メートルほどの高い壁に囲まれている。もちろん選手たちも自衛のためセキュリティ会社と契約し、万全の警備体制を取っている。が、それでも盗まれる。裕福な家が集中していて連続して餌食になりやすいという、住宅地ならではのデメリットもある。

ダービーマッチの夜が狙われる理由

 そもそもスペインは、日本とは比べものにならないほど犯罪、特に窃盗、強盗の類が多い。マフィアも絡んだ重機や銃も装備した大金持ち狙いのプログループもいて、狙われたらほぼ避けようがない。私はマドリッドの超高級住宅地でサッカー選手ではない、普通の裕福な家庭を取材したことがあるが、その家族も一度、縛られ、猟銃を突き付けられたという経験をしており、隣人たちもほとんどが何らかの被害に遭っているという話だった。物を盗られただけで済んだら幸い。強盗には素直に従って命を取られないようにするのが、最善の策とされている。

ビジャレアルとバレンシアがELでダービーを戦った裏で、選手たちの自宅には……

 さて、サッカー選手にとって特に危険なのが、ダービーマッチ当日である。4月の被害者のうち、エカンビ以外の6人がその日にやられている。ベティスのホアキンとウィリアム・カルバーリョは13日のセビージャダービー、ビジャレアルのフネス・モリとバレンシアのガライ、パウリスタ、コンドグビアは11日と18日のEL準々決勝のバレンシア州ダービーの最中に自宅に侵入されている。

 夫は芝生の上だし、家族はスタンドで応援中だから留守確実。しかも、危険試合に認定されると地元警察が数百人単位でスタジアムに動員されるから警備は手薄で、誰もがテレビに釘付けで人通りも少ない、と泥棒にとって好条件がそろっているからだ。

Photos: Getty Images

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Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。