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将来は公式戦での導入も? 大迫力の主観映像を提供するボディカム

2023.07.28

 プレミアリーグのプレシーズンマッチにおいて、「画期的な視点」としてボディカメラが注目を集めている。

 今夏、アメリカで「プレミアリーグ・サマーシリーズ」というプレシーズンの大会が開かれており、チェルシーブライトン、フラム、ブレントフォード、ニューカッスルアストンビラの6チームが参加している。この大会で新たなテクノロジーが試験的に導入されているのだ。それが「body cam(ボディカメラ)」である。選手や審判の胸部にカメラを設置し、臨場感あふれる映像を提供しているのだ。

臨場感あふれる試合映像

 7月23日に行われたフラムvsブレントフォードの試合では、主審のピーター・バンクスがボディカメラを着用。開始3分にフラムのFWハリー・ウィルソンがペナルティボックスの角から得意の左足で完璧なミドルシュートをファーサイドに決めたシーンを、ピッチレベルの視点映像で届けている。

 さらに、同日に開催されたニューカッスルvsアストンビラの一戦では、両チームの選手がボディカメラを着用し、実際にプレミアリーグのピッチに立ってプレーする迫力をファンに提供した。3-3の打ち合いとなった試合でカメラを装着したのは、ニューカッスルのMFブルーノ・ギマランイスとアストンビラの新戦力であるMFユーリ・ティーレマンスだ。

 先発出場したブラジル代表MFブルーノ・ギマランイスは、試合前の両チームによる握手や円陣の模様もボディカメラに収めている。試合前の円陣では腕章を巻いたDFキーラン・トリッピアーがチームメイトに檄を飛ばした。「真剣なテストだ。このアストンビラ戦から俺たちのシーズンが始まる。基準を意識しよう。監督が毎日言っているが、俺たちはみんなから見られているんだ。しっかりと振る舞おう。45分間、全力を出し切るぞ!」

 試合に入ると、MFブルーノ・ギマランイスは新戦力のイタリア代表MFサンドロ・トナーリの横で精力的に動き回った。チームメイトに「ワンツー」と声をかけて壁パスを試みる場面もしっかりと映像に映っている。激しく動くため、当然だが揺れは激しい。そのため、このボディカメラの映像だけを長時間見ていると酔ってしまうかもしれないが、ゴールシーンや接触シーンをまるで自分が体験しているような主観で体験できるのだ。

 アストンビラのMFブバカル・カマラを倒してファウルを取られたシーンでは、必死に「ボールに触った、ボールに触った」と主張するも「それは関係ない」と主審にアピールを却下される会話まではっきりと映像に残っている。

違和感なく着用できる小型カメラ

 一方、アストンビラのMFティーレマンスは62分に投入された。ピッチサイドで交代を待っている映像は、まるで自分がこれからピッチに入っていく感覚を覚えるほど臨場感がある。ボールをもらった後にファウルを受けて倒れた場面も迫力満点だ。そしてティーレマンスの映像は、ブルーノ・ギマランイスに比べると揺れが少ないように思う。その選手の走り方の特徴によっても、ボディカメラの映像は変わってくるので興味深い。

 今回、プレミアリーグはイスラエルの『Mindfly』社のテクノロジーを使っているという。今ではお馴染みとなった選手が着用するGPSベストの胸に小型カメラを設置し、ユニフォームの胸の位置に穴を開けてそこから撮影する仕組みだ。非常に軽量のため選手たちは違和感なく装着できるし、わずか数分でセットアップも完了する。そのため英紙『Daily Mail』などによると、選手たちはボディカメラの着用に概ね賛同しているという。

 過去にも試されたことのあるボディカメラだが、今のところこれを公式戦で使用することは競技規則で認められていないという。それでもイングランドサッカー協会は、選手の暴言を減らす予防という名目で今年2月に国際サッカー評議会(ルールを決める機構)に審判のボディカメラの試験的運用の許可をもらっている。それも追い風となり、近い将来には真剣勝負の場でもボディカメラの映像を見られる日が来るのかもしれない。


Photo: Getty Images

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Profile

田島 大

埼玉県出身。学生時代を英国で過ごし、ロンドン大学(University College London)理学部を卒業。帰国後はスポーツとメディアの架け橋を担うフットメディア社で日頃から欧州サッカーを扱う仕事に従事し、イングランドに関する記事の翻訳・原稿執筆をしている。ちなみに遅咲きの愛犬家。

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