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上から下まで大混戦のリーグ1。すべては今週末の最終節で決まる

2021.05.20

 5月23日(日)の21時に最終節が一斉キックオフとなるリーグ1の2020-21シーズンは、近年稀に見る大接戦となっている。

リール、PSGとも難敵との戦い

 まず、優勝争いは首位リールをパリ・サンジェルマンが勝ち点1ポイント差で追う緊迫の展開。両者の得失点差は+40、+56と大きく差があるため、勝ち点で並べばPSGが首位を奪回し、逆転優勝となる。よって、リールが優勝するにはPSGと同じか、それ以上の成績で最終節を終えることが必要となる。

 リールの対戦相手は12位のアンジェ。12位となかなか中位にいるわりに、得点数はダントツ最下位のディジョンに次ぐワースト2位と得点力に乏しいチームで、年明け以降はわずか3勝、直近の6試合では1勝5敗と、後半戦になって著しく調子を落としている。しかし、リールとの1戦目(第18節)はアウェイで2-1と勝利を収めているから、物怖じすることなく迎え討つことだろう。

 リールも直近の7戦で黒星はなく、その間PSGやリヨンとの上位対決も制している。しかも、今季のリールはアウェイではわずか1敗と、敵地では特に強い。

 一方のPSGは、同じくアウェイで16位のブレストと対戦する。今季は19位や20位のチームに負けているPSGだが、彼らが本気を出せば、おそらくリーグ1では負けることはない。ただ、相手のブレストには残留がかかっているから、勝ち点1を狙って全員で守ってくるような戦い方をされたら、PSGでもこじ開けるのは容易ではない。今季喫した8敗も、そのうち5敗は0点に抑えられている。

 リールもPSGも、足をすくわれかねない、トリッキーな対戦になりそうだ。

欧州行きをかけた激闘

 数字的には首位リールと3ポイント差で3位のモナコにも優勝のチャンスがあるが、リールとPSGが敗れ、しかも超大量得点での勝利が必要になるため、現実味はほぼない。モナコが死守すべきは、UEFAチャンピオンズリーグ出場権の確保だ。なぜなら、彼らの後ろには、わずか1ポイント差でリヨンが迫っているからだ。

 そのリヨンが、ホームで順位争いなど何も絡んでいない“無風”のニースと激突するのに対し、モナコはランスと、相手の本拠地で対戦する。

 現在6位のランスは今季の昇格組だが、シーズン序盤から目覚ましいパフォーマンスを続け、来季の欧州カップ戦出場を睨んでいる。PSGがフランス杯に優勝したため、6位のチームに欧州カンファレンスリーグ予選ラウンド出場権が回ってきたのである。

 しかし彼らのすぐ後ろ、7位には1ポイント差で実力派のレンヌが欧州行きを狙っている。しかも彼らの最終戦の相手は、19位で降格が確定しているニームだ。

 よって、ランスはこのモナコ戦にすべてを出し切る覚悟で挑んでくるはず。そして、彼らはなかなかガッツのあるチームだ。このランスvsモナコ戦は、最終節でも特に見応えのある激戦となりそうだ。

 ちなみに、酒井宏樹と長友佑都のいるマルセイユは、3月上旬にホルヘ・サンパオリが指揮官に着任して以降、パフォーマンスが安定してきている。現在5位の彼らは、来季のUEFAヨーロッパリーグ出場がほぼ確定している。

残留争いも大混戦に

 そして、順位表の対岸が、また大混戦になっている。

 19位ニームと20位ディジョンの降格はすでに確定しているが、リーグ2の上位チームとの入れ替えプレーオフに臨む18位には、13位のスタッド・ランスまで、なんと6チームに可能性がある。

 現在18位のナントが勝ち点40、15位〜17位のストラスブール、ブレスト、ロリアンが41。そして13位スタッド・ランスと14位ボルドーが42と、18位と13位の勝ち点差は「2」しかない。

 リーグ1では通常、残留の目安は「勝ち点42」と言われている。ここをクリアすれば、中小規模クラブの監督たちは「まずは一仕事終えた」という気になるのだ。

 昨季は打ち切りになったので除くとして、一昨季の2018-19シーズンなどは、第37節を終えた時点で勝ち点38しかなかったボルドーでも降格ラインから+5点の14位で残留を確定していた。

 このシーズンはPSGが第33節で早々に優勝を決め、最終的に2位のリールに16点差という一強勝ちだったが、それと比べると、今シーズンはいかに各チームが勝ち点を分け合ったかがわかる。

 そしてこの残留争いの6チームでは、なんたる偶然か、13位スタッド・ランスvs14位ボルドー、15位ストラスブールvs17位ロリアンと、同じ勝ち点のチーム同士が直接対決を繰り広げる。

 そして、そのヒリついた一戦で、ストラスブールのゴールを守るのは川島永嗣だ。

5月、6月シリーズの日本代表にも招集された川島永嗣。ストラスブールの残留に挑む

2016-17シーズンの再現を狙う川島

 ストラスブールでは今季、開幕前に第1GK のマッツ・セルスがアキレス腱断絶の大ケガを負い、第2GKのビングルー・カマラもコロナ罹患などでコンディションを崩し、川島が正GKとしてゴールを守ってきた。

 3月になってセルスが復帰すると、ティエリ・ローリー監督は「マッツが我われの第1GKであるから、復帰すれば彼は元のポジションに戻る。しかし、最高の仕事をし、結果も出し、チームメイトからの信頼も厚い選手を外すのは非常に難しい選択だ」と川島の処遇について話していた。

 そして実際、4月の第31節からセルスがゴールマウスに復帰したが、そこからの6戦で1勝2分3敗と、やはりまだコンディションは不十分か、というところでコロナに罹患し、再び離脱することになってしまった。

 前節の第37節、川島がゴールマウスに呼び戻されると、ストラスブールはアウェイでニースに2-0と貴重な勝利をものにした。残留争いの直接ライバルがそろって勝ち星を挙げたこの節、仮にニースに負けていたら、ストラスブールは18位でこの最終節に突入することになっていた。

 メスにいた2016-17シーズンも、川島はやはり残留争いのかかった終盤戦に正GKに抜擢され、ファインプレーを連発して降格の危機から救ったことがあったが、まさにデジャブな状況が訪れようとしている。

 ロリアンは直近の4戦で3勝と調子を上げている相手。両者ともにガチンコの総力戦となりそうだ。

 第38節を終えた時、順位表はどうなっているのか。今季のリーグ1は、最後までサスペンスが続く。


Photos: Getty Images

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パリ・サンジェルマンモナコリールリヨン川島永嗣

Profile

小川 由紀子

1992年より欧州在住。96年から英国でサッカー取材を始め、F1、自転車、バスケなど他競技にも手を染める。99年以来パリに住まうが実は南米贔屓で、リーグ1のラテンアメリカ化を密かに歓迎しつつ、ブラジル音楽とカポエイラのレッスンにまい進中。