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ミラノダービーにサポーター集結。法令での取り締まりは無意味なのか

2021.02.24

 2月21日、セリエA第23節でミランインテルが対戦した。公式戦通算228試合目となったミラノダービーは久々の首位攻防戦となり、会場となったサン・シーロの周辺には、無観客試合にもかかわらずサポーターが大挙して押し寄せる事態となった。

一斉検挙は行われず

 メディアによって数字に幅はあるが、スタジアム周辺に現れたサポーターの数は5000人とも1万人とも推定されている。インテルサポーターはクルバ・ノルド(北側ゴール裏スタンド)下のゲート前、ミランサポーターはクルバ・スッド(南側ゴール裏スタンド)下にそれぞれ陣取り、バナーを掲げて発煙筒を焚き、チャントを歌ってゴール裏さながらに試合前から応援を開始した。

 イタリアでは新型コロナウィルス感染症対策のため試合は無観客で開催されており、当然ながらスタジアム内に入ることはできない。それどころか、外での集会行為そのものが法令により禁止されている状況だ。

 『コリエレ・デッラ・セーラ』によれば、この動きを察知していた地元の警察当局は一斉検挙などはせずに自粛やソーシャルディスタンスの遵守を促す方向で対処しつつ、市の中心部でサポーターが集まることは規制するなどの対策で制御を図ったという。

法令そのものへの疑問も

 もっとも、応援が加熱すれば制御は難しくなる。両クラブのチームバスが現地に到着すると、サポーターは大挙してバスを取り囲んだり、地下通路への入り口周辺に押し寄せたりする事態となった。

 サポーターズクラブのリーダーと思しき人物が拡声器で「やめてくれ」と呼びかけたものの、聞き入れられる様子はなし。「普段ゴール裏に通っていたウルトラスのメンバーでない人も相当数いたので、聞き入れてもらえなかった可能性が高い」と報じた地元メディアもあった。

 この件について、イタリアの人々は複雑な反応を見せている。SNSやウェブ記事のコメント欄には「ウィルスの感染拡大が始まった1年後にこの事態とは、我われは何も学んでいない」「密を作るヤツらはバカだが、腹立たしいのはそれが自分の応援するチームのサポーターだということだ」と非難をする声があった一方、「マラドーナが亡くなった後、ナポリでは人がたくさん外出したけど、あれからあそこで感染爆発があったのか?」「もうウィルスはなくならないんだし、だったらマスクを付けていればいいってことにしないか」という意見もあった。

 また「密集が禁止されているといっても警察が“居眠り”を決め込めるぐらいのことだったら、無観客試合に何の意味があるんだ? だったら規制しながら観客を入れる方がまだ筋が通るだろうに」と、部分的な観客の入場を訴える声もあった。

 イタリアでは野外の集会行為は法令で禁止されており、違反者には400ユーロ(約5万1000円)以上の罰金が課せられる。『ラ・レプッブリカ』は「警察当局は映像でのチェックを始めており、特定できた人間には処分をする方向だ」と報じた。


Photo: Getty Images

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Profile

神尾 光臣

1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。