インテルに資本譲渡の噂が急浮上。チームへの影響はあるのか

インテルが、国際投資ファンドとの部分的な資本譲渡交渉を行っていることが明るみになった。ジュセッペ・マロッタCEOは1月13日に地元メディアの取材に回答し、「我われのオーナー企業である蘇寧グループは、クラブの利益やブランドへの尊重、また現在や将来への尊重なども視野に入れながら、現在検討中である」と明かした。
複数のファンドが関心を示す
話が最初に浮上したのは2020年12月末ごろ。ロンドンを本拠とする『BCパートナーズ』社が蘇寧グループに接触したというニュースが経済紙『イル・ソーレ24オーレ』などで報じられた。
同社は事業会社や金融機関の未公開株を取得し、企業経営に関与して価値を高めた末に売却することで利益を得る国際的なプライベート・エクイティ・ファンドの1つだ。
当初スティーブン・チャン会長は「身売りの予定はない」と否定していたものの、親企業グループである蘇寧グループ幹部からの否定の声明はなく、メディアの間では交渉は規定事実と考えられていた。
それを受けて1月14日に行われた役員会でも、ファンドから部分的な資本譲渡を持ちかけられていることが発表された。もっとも、交渉を持ちかけているファンドは複数あるとも表明。地元メディアによれば、BCパートナーズ社の他にはスウェーデンを本拠とする『EQT』社、またアメリカの『アルクトス・スポーツーパートナーズ』社が興味を示し、接触をかけているという。
資金繰りが困難な状況に…
このように至った背景には、インテルが資金繰りをめぐって困難な状況に直面している事情がある。
蘇寧グループは傘下にある香港の投資ファンドと合わせてクラブの株式を100%取得して投資を行い、経営の安定化を収益の拡大化と目指していたが、中国政府による海外投資規制や、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により収入・支出の両面で大きな影響が出るようになった。とりわけ後者においては、合計で8000万ユーロ(約100億円)ほどの損出が発生しているという。
インテルはこれまでに合計で3億7500万ユーロ(約471億円)もの資金を債権発行によって得ており、その償還期限は2022年に迫っている。そのため、今年中には資金繰りの組み直しや大幅な収益源の穴埋めが必要とされ、金融面での新たなパートナーを探していると見られている。
ただ、ファンにとって気になるのは、経営面での困難な状況がチームにどんな影響をもたらすか、という点だろう。
役員会の場では「運営安定化のために経営陣を優先させる」という意思が確認されたという。マロッタCEO以下の幹部、また選手たちやアントニオ・コンテ監督以下スタッフの立場は当面揺るがないことになるが、「ファンドが小口の資本取得で止まるかどうかは当然ながら不明(『トゥットスポルト』)」との見方もある。今後の推移が注目される。
Photo: Getty Images
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Profile
神尾 光臣
1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。