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カレンダー完結のためにラ・リーガが採用する“特別ルール”とは

2020.11.16

 全土に非常事態宣言が出ているスペイン。感染拡大具合は日本の20倍から30倍で、ほとんどの地域で夜間外出禁止、必要不可欠な活動(医療、交通、建築、食料、公共サービス)以外が禁止されているが、ラ・リーガは活動を継続中だ。

 映画館や劇場など他の娯楽が禁止される中でプロサッカーが継続されているのは、無観客で感染拡大の危険が低いとみなされているからだ。

トップ登録5人で試合は成立

 1部では第9節、2部では第11節を終了した時点で、感染による試合の延期は1試合だけ。その試合が2部のアルコルコンvsポンフェラディーナで、試合48時間前のPCR検査でアルコルコンに4人の感染者が出たことが延期の理由だが、これは後に検査の不備による偽陽性であることが判明している。

 ラ・リーガは厳しいプロトコルをクラブに課して選手間、スタッフ間に感染が広がることを防いでいるが、それが今のところは成功していると言えるだろう。

 だが、大量感染がなくとも単発の感染は防ぎ切れない。

 11月8日のソシエダvsグラナダでこんなことがあった。5日にUEFAヨーロッパリーグを戦ったグラナダの選手1人が試合前に陽性となり、その遠征に帯同していた選手全員が濃厚接触者とされた。負傷者と出場停止を除くと、ソシエダ戦に出場可能なトップチームの選手がわずか7人になってしまったのだ。

 早速グラナダはソシエダ戦の延期を申し入れたが、ラ・リーガはこれを拒否した。というのも、今季のコロナ禍を見据えた特別ルールで、最少5人のトップ登録の選手がいれば試合は成立すると決められているからだ。

 トップ登録者が先発メンバーの半数以下でも試合を強行するというのは強引に見えるが、この裏には、昨季と違ってEURO2020を延期できず、リーガをカレンダー通り是が非でも終了させなくてはいけない事情がある。

 グラナダは先の7人にBチームとユースの選手を加えてソシエダと戦い0-2で敗れた。GKはユースの選手だった。トップチームとBチームのGKがELの遠征に参加していたからだ。

「明日は我が身かも」

 その試合の76分、すでに交代されていたケネディ、ソルダードに続き、モリーナがベンチに下がり、グラウンド上のトップチームの選手が4人になった。

 これで先の最少5人のルールに違反するので、不正な選手起用が成立することになった。コンディションが万全ではなく負傷の可能性がある、というのが交代の理由だった。

 試合はそのまま続行された。ソシエダ側が規律委員会に訴えれば、たとえ敗れていても3-0のスコアで勝利となるはずだったが、ソシエダは訴えず、2-0の勝利で確定した。

 ソシエダもELを戦っており、プレシーズン中に感染者が複数出たこともあって、グラナダに同情的だったからだ。

 試合後、アルグアシル監督は語った。

 「今回はグラナダだったが、明日は我が身かもしれない」


Photo: Getty Images

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Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。