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アストンビラのオーナーグループ、ウナイ・エメリが保有するクラブを買収へ

2023.11.08

 アストンビラのウナイ・エメリ監督が所有するスペインのクラブが、アストンビラのオーナーである『V Sports』グループの一員になりそうだ。クラブ名はレアル・ウニオン。エメリの生まれ故郷のクラブで、彼は2021年6月から筆頭株主となっている。

成績は低迷、経営は赤字続き

 レアル・ウニオンは1920年代にコパ・デルレイで3度優勝し1部リーグに4季参戦した古豪だが、ここ80年間ほどはずっと低迷し、近年は主に3部に参戦している。2008年にはコパ・デルレイでレアル・マドリーを退けて話題となったものの、念願の2部復帰は果たせないまま、財政的にも困窮していた。

 そこで手を差し伸べたのが、祖父と父がプレーし心情的に結び付きがあるウナイ・エメリだった。彼がオーナーに就任、実務は弟のイゴール・エメリ会長に任せている。

 ただ、ウナイがオーナーになっても低迷から抜け出すことはできていない。

 スポーツ面では連盟1部リーグ(実質3部)で2021-22シーズン8位、2022-23シーズン13位と2部昇格を果たせず、今季は執筆時(11月7日)で6位。自動昇格の首位からは2ポイント差、プレーオフ圏内から1ポイント差なので昇格のチャンスはあるものの、厳しい戦いであることには変わりない。

 財政面では毎季100万ユーロ(約1億6100万円)ほどの赤字を出し続けており、その穴を株式増資で埋めてきたものの、増資者もまたウナイ・エメリという自転車操業で、手詰まり状態だった。

 ホームタウンのイルン市は人口6万人ちょっとで、フランス国境に近いこともあって企業の招致が制限され、産業らしいものもない。2部リーグにチームを送り込むほどの基盤はそもそもないのだ。

ソシエダとの提携関係は解消へ

 このままではじり貧……というところで出てきたのが、『V Sports』の傘下に入るという話だった。お先真っ暗なクラブと拡大戦略中のクラブ・グループの思惑が一致した格好だ。

 まだ合意の正式発表もされていない段階なので提携内容は明らかになっていないが、財政的なサポートが急務なので、先月ヴィッセル神戸がアストンビラとの間で締結した「戦略的パートナーシップ」からは踏み込んだものにならざるを得ないだろう。具体的には、レアル・ウニオンの株の一部を『V Sports』が購入し経営参加する形だ。

 レアル・ウニオンはレアル・ソシエダと提携関係にあるが、この関係はソシエダが有望な選手を引き抜いていく一方で、経済的、人的な見返りなしという、力関係がシビアに反映された極めて不利なものだとされる。

 同じプロとして肩を並べることが目標であればソシエダと上下関係にあるわけにはいかないのは、エイバルが1部昇格をきっかけにソシエダとの提携関係を解消した例にも明らか。今回の合意でソシエダとの提携関係は解消され、本格的に2部昇格を目指す態勢が整う。


Photo: Getty Images

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アストンビラウナイ・エメリレアル・ソシエダ

Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。

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