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そもそも、フォーメーションとは何なのか?

2020.04.08

林舞輝監督が語るフォーメーションとの向き合い方_前編

日々長足の進歩を遂げ、あらゆる面で高度化する現代サッカー。「ポジショナルプレー」や「ストーミング」のような戦術トレンドが誕生する中で、チームのゲームモデルやプレー原則を実践するためのフォーメーションについても、試合の中でより複雑に変化し一義的に捉えるのが難しくなっている。そんなフォーメーションというものをどう理解すればいいのか、最先端理論と現場の両方を知る奈良クラブの林舞輝監督に見解を聞いた。

前編では、フォーメーションが「サッカーを最もダメにした張本人」だと語ったファンマ・リージョの言葉の真意を汲み取ってもらうとともに、フォーメーションとは何なのか、あらためて言語化してもらった。

リージョの言葉の意味

――footballistaの過去のインタビューで、フォーメーションについてファンマ・リージョは「サッカーを最もダメにした張本人」「[4-4-2]?[4-3-3]? 電話番号じゃないんだから(笑)」と口にしていました。これについて、林さんのご意見を聞かせてください。

 「リージョの言葉については、『ある意味で正しいけどある意味では正しくない』というのが僕の見解です。

 まず大きな視点で言うと、リージョの言葉が正しい理由が3つあります。1つ目は、システムとやっているサッカーにはまったく関連性がないということです。システムを見ただけでは、どんなサッカーをしているかというのはわからない。

 例えば、モウリーニョ第1期政権のチェルシー。あのチームはリーグ戦で失点15(2004-05)という超堅守速攻のチームでしたが、システムは[4-3-3]([4-1-2-3])でした。ドログバ、ジョー・コール、ロッベンの3トップに、中盤はボランチにマケレレがいてインサイドMFにランパードとチアゴという構成です。

 一方で、これでもかというくらい圧倒的にポゼッションしていたペップ・バルサもやっぱり[4-3-3]([4-1-2-3])でした。システムの数字だけ見たら同じです。でも、やっているサッカーは全然違いましたよね。

堅守をベースにしたスタイルで就任初年度からリーグタイトルを勝ち獲った2004-05のモウ・チェルシー
スペイン史上初の3冠を達成した2008-09のペップ・バルサ

 ですから、システムが何かを教えてくれると思ったら大間違いなんです。メディアでは予想布陣や今日のスターティングメンバーという形でフォーメーションが表示されますが、あれを見たところでそのチームのサッカーは何もわかりません。だからリージョは正しい。『どうでもいい』わけです。

――なるほど。例えば「[4-4-2]だと安定した守備ブロックが形成できる」や、あるいは「[4-3-3]は選手の配置上、ボールを繋ぐのに適している」といったような特徴で語られることもありますが、それはあくまでチームがどういうタスクを与えるか次第であって、最終的にはチーム次第という理解でいいんでしょうか?

 「はい。関係ないと言えば関係ありません」

――では、他の理由も聞かせてください。

 「現代サッカーではシステムが可変し過ぎてシステムというものがよくわからなくなっている、試合中に変化し過ぎるのでそもそもシステムに意味があるのかというのが2つ目です。

 ペップがバイエルンの監督だった時に、3つの大手新聞社がすべて違うフォーメーションで表記したということでありましたよね。あれがいい例です。

 そしてもう1つは、可変システムとも繋がってくるところですが“偽”多過ぎ問題です。メッシの偽9番(偽CF)が注目された後に偽SBが出てきて、GKがスイーパー=キーパーになり、現在のメッシも本来ウイングはサイドレーンに張っていましたが、中央に入ってハーフスペースでプレーするので偽ウイングって言われたりもしています。

 以上の3点から言うと、リージョの言葉は正しいと思います」

――逆に、「ある意味で正しくない」理由は?

 「そうは言っても、『今日のフォーメーションは?』と聞かれて『ありません』と答える監督はいないわけです、世界中どこを探しても(笑)。リージョ自身、3バックと4バックを明確に使いこなしていたわけですから。

 じゃあフォーメーションって何なのか。......

今、あらためて 「フォーメーション」を考える

Profile

久保 佑一郎

1986年生まれ。愛媛県出身。友人の勧めで手に取った週刊footballistaに魅せられ、2010年南アフリカW杯後にアルバイトとして編集部の門を叩く。エディタースクールやライター歴はなく、footballistaで一から編集のイロハを学んだ。現在はweb副編集長を担当。