インテル時代のジョゼ・モウリーニョ
FEATURE

ゲームモデルとは何なのか?

2020.03.23

「共有」のためのチームの設計図であり戦術的な地図

ゲームモデル」とは、ポルトガル発祥の戦術的ピリオダイゼーションの用語である。よく目指すべきプレースタイルと誤解されがちだが、厳密にはもっと包括的な概念なのだ。ポルト大学のビトール・フラーデ教授が提唱した難解な理論におけるゲームモデルの位置づけを、同大学で教えを受けた林舞輝氏に解説してもらおう。

 読者のみなさんは、近年「プレーモデル」という言葉を頻繁に聞くようになったのではないだろうか。だが、同時に「プレーモデルって何? どういうもの? どうやって作るの?」という疑問の声も往々にして聞かれる。だが、この「プレーモデル」という言葉は、誤訳とまでいかないが、それに近い、誤解を生む表現だと言っていいだろう。

 私は、この「プレーモデル」という言葉は本来ならば「ゲームモデル」と訳すべきものだと考えている。もともとの語源はポルトガル語でModelo de Jogoという言葉であり、厄介なのはこのJogoという単語なのだ。Jogoはポルトガル語で「Game」と「Playing」という両方の意味を持つ。よりふさわしいのはどちらかと言われれば、迷わずGameの方と答える。事実、多くの英語の書籍がこのModelo de JogoをGameModelと訳しているし、私が通ったジョゼ・モウリーニョ主催の指導者養成コース『High Performance Football Coaching』でも、Game Modelと呼んでいた。なぜならば、これは文字通りゲームのモデル、試合の模型であるからだ。詳しく説明しよう。......

残り:6103文字/全文:6769文字
この記事は会員のみお読みいただけます

10日間無料お試しはこちら

Profile

林 舞輝

1994年12月11日生まれ。イギリスの大学でスポーツ科学を専攻し、首席で卒業。在学中、チャールトンのアカデミー(U-10)とスクールでコーチ。2017年よりポルト大学スポーツ学部の大学院に進学。同時にポルトガル1部リーグに所属するボアビスタのBチームのアシスタントコーチを務める。モウリーニョが責任者・講師を務める指導者養成コースで学び、わずか23歳でJFLに所属する奈良クラブのGMに就任。2020年より同クラブの監督を務める。