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愛するJリーグを視察すべく来日!就任3年でシドニーFCを選手平均年齢29歳→23歳、ACL2準決勝進出に導いたバウムヨハン“SD”の今

2026.05.07

3月某日、フットボリスタ編集部に一通のメールが届いた。送信元は、かつてドイツでも取材活動をしていたスポーツライターの木崎伸也さん。「シドニーFCでスポーツダイレクターを務めるアレクサンダー・バウムヨハンから、『3月に日本に行くので、フットボリスタの取材を受けられないか?』との連絡が届きました」――本人たっての希望で6年ぶりに実現したインタビューで、日本サッカーとJリーグへの愛から、選手平均年齢29歳→23歳と昨季ACLE準決勝進出に導いた就任3年間、Aリーグが世界一のU-21選手出場割合を誇る理由、ドウグラス・コスタ獲得秘話に、「大きなサプライズが起きる大会」北中米W杯の展望まで、大いに語ってもらった。

 オーストラリアの地で活躍する若きスポーツディレクター(SD)がいる。

 元ドイツ代表のアレクサンダー・バウムヨハンだ。

 2023年、バウムヨハンは36歳の時にシドニーFCのSDに就任すると、いきなり初年度にオーストラリアカップで優勝。翌シーズンのACL2では準決勝進出を果たした。

 バウムヨハンは国外とのパイプ強化にも力を入れており、今年3月には日本に約2週間滞在してJリーグのクラブ関係者やドイツ人監督たちを訪問した。

 現在39歳のSDはどこを目指しているのか? 都内のホテルでインタビューを行なった。

アレクサンダー・バウムヨハンSD(Photo: Shinya Kizaki)

Jリーグファンとして来日。あの同胞監督とは「長い付き合い」

――今回、大阪、広島、神戸、東京を回られたそうですね。来日の目的は何だったのでしょうか?

 「Jリーグについてより深く知るのが、今回の来日の目的でした。私が最初に日本に訪れたのは2020年。当時はシドニーFCの選手で、ACLのグループステージの試合で横浜F・マリノスと対戦でした。覚えている方もいると思うのですが、その時にfootballistaのインタビュー(過去記事『衝撃の「フォロー祭り」から1年。バウムヨハン本人がその真相を語る』を参照)も受けました(笑)。それ以来、日本サッカーのファンになり、ずっとJリーグを追いかけています。シドニーと日本の時差は2時間なので、毎節少なくとも1試合はチェックしています。

 今回、Jクラブ関係者とミーティングを重ね、その合間にJリーグの試合を初めて観戦しました。ファンの応援が素晴らしいし、試合のレベルも非常に高かったです。日本人選手獲得への興味がさらに高まりました」

――Jリーグで指揮を執るドイツ人監督たちには会いましたか?

 「はい、もちろんです。ガンバ大阪のイェンス・ヴィッシング監督、広島のバルトシュ・ガウル監督、神戸のミヒャエル・スキッベ監督に会いました。あとオーストラリア出身でセレッソ大阪を率いているアーサー・パパス監督にも会いましたよ。

 おそらくJリーグは世界で最も競争の激しいリーグの1つです。にもかかわらずスキッベ監督はサンフレッチェ広島を4年間トップレベルに維持し、ルヴァンカップを2度制しました。他クラブがそれを見て、ドイツ人監督を招へいしようと考えるのは自然な流れでしょう。

 私とバルトシュは長い付き合いで、彼はすごく頭が切れる指揮官です。イェンスは私より1歳下で、実はシャルケのアカデミーで一緒にプレーしていました。彼らがJリーグでどんな活躍を見せていくのか、すごく楽しみです」

ミヒャエル・スキッベ監督とバルトシュ・ガウル監督

――今回の視察で印象に残った選手はいますか?

 「シドニーFCが獲得できるかどうかは別として、広島の中村草太が印象に残りました。今回は負傷で試合に出ていませんでしたが中島洋太朗に以前から注目しているし、FC東京の佐藤龍之介もそう。RB大宮の若手にも注目しています。日本には優秀な若手が本当にたくさんいますよね」

60%以上が下部組織出身者に!ベテランへの戦力外通告は… 

――バウムヨハンさんは2023年5月にシドニーFCのSDに就任しました。具体的にどんな仕事をしているのでしょう。

 「シドニーFCはオーストラリアで最も成功しているクラブで、最高のスタジアム、最高のトレーニング施設を持っています。ただ、私がシドニーFCでプレーしていた頃は(選手の)平均年齢が29歳を超え、財政的にも赤字でした。2004年のクラブ創設から約20年間、オーナーは追加資金を投入し続ける必要がありました。そこで私はオーナーに『持続可能な方法を見つけ、同時に成功を収めましょう』と提案し、SDに就任したのです。

 フットボール部門の全責任を負う立場で、トップチーム、アカデミー、女子チームを管轄しています。すべてを1人でやっているので、学ぶことがたくさんあります。この機会にとても感謝しています。

 私はSDに就任すると、すぐにベテランの整理に取りかかり、平均年齢を29歳から23歳に下げました。私が就任した当時はリーグで最も高齢のチームでしたが、今では最も若いチームです。トップチームの選手の60%以上が自前のアカデミー出身です。過去3年間で4人の選手をヨーロッパやMLSに高額の移籍金で売却しました。

 私がSDに就任した最初のシーズンにシドニーFCはオーストラリアカップで優勝を果たし、翌シーズンにはACL2で準決勝に進出することができました。国際舞台におけるクラブ史上最高成績です。哲学と戦略を刷新し、間違いなく正しい方向に進んでいます」

――一般的に高齢化したチームを若返らせるのは簡単ではありません。どのように世代交代を進めたのですか?

……

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Profile

木崎 伸也

1975年1月3日、東京都出身。 02年W杯後、オランダ・ドイツで活動し、日本人選手を中心に欧州サッカーを取材した。現在は帰国し、Numberのほか、雑誌・新聞等に数多く寄稿している。

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