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守田英正の日本代表招集外は戦術的な理由なのか?CL8強スポルティングの進化からヒントを探る

2026.04.07

イングランド戦の歴史的初勝利を含む2連勝でイギリス遠征を終え、約2カ月半後に迫る北中米W杯に向けて弾みをつけた日本代表。その裏で疑問が投げかけられていたのは、前回大会の主力である守田英正の招集外だ。そこに戦術的な理由があるのかどうかを探るべく、CL8強入りを果たしたスポルティングでの現状と役割をらいかーると氏に分析してもらった。

 守田英正が日本代表に呼ばれなくなって、気がつけば1年もの月日が流れていた。最後の招集は2025年の3月シリーズで、その時はケガによる途中離脱を強いられている。同年をコンディション不良とともに過ごすことになった守田以外にも、多くの戦線離脱者を抱えてきた日本は、結果としてラージグループの形成に成功している。その序列はますますわかりにくいものになっているが、競争の激化はチームにとって歓迎すべきものだろう。特にDFラインの充実は森保一監督にとっても、うれしい誤算になったのではないだろうか。

 12月から本格的にスポルティングのレギュラーに返り咲いた守田はフル出場こそ少ないものの、チームのCL8強入りにも貢献する復活ぶりで、代表復帰を期待していたサッカーファンも少なくなかったに違いない。しかも、3月シリーズの代表戦開催地は日本ではなくイギリスだった。欧州組は移動の負担が少なく、長期離脱明けの冨安健洋も呼ばれたように守田も招集されるかと思われたが、またしても落選。多くの予想を裏切ることになった招集外が、会見での質問や報道での疑問に繋がっていったのは記憶に新しい。

 そこで本稿では、スポルティングのプレースタイルと照らし合わせながら同選手の現状や役割を分析し、日本代表から遠ざかっているのに戦術的な理由があるのかどうかについて探っていきつつ、ついでにミッドウィークに第1戦を控えたアーセナルとのCL準々決勝を展望していきたい。

イギリス遠征から浮かび上がる、日本代表のボランチ像

 最初に日本代表のボランチの役割について考えていきたい。日本はCBがドリブルで運んだり、相手を引きつけて時間とスペースを配ったりすることに果敢にチャレンジさせる方針ではおそらくない。できないなりに実行する選手もいれば、できるのに積極的ではない選手がいることを考慮すると、必ずこうすべきという指針はいい意味でないように思える。

 結果として、攻撃の起点となるポジションはボランチとなる。スコットランド戦で先発した田中碧と藤田譲瑠チマは頻繁に最終ラインに降りては、ボール保持を安定させていた。お互いの位置関係を把握し、どちらかは捕まってもどちらかはフリーにするなど、2人の立ち位置で時間とスペースを生み出すことも行っている。時には相手を引きつけることで前線の選手を解き放ち、ビルドアップの出口とするプレーも見られている。

 さらに前線へ飛び出していくようなプレーまでも必要とされることがある。スコットランド戦の後半にはCBにビルドアップを任せる場面もあり、ボランチの選手はなるべく高い位置を取るように心がけていたように見えた。日本は戦術的な仕組みによって、シャドーがサイドに流れるシーンがどうしても多くなる。その代わりにゴールへと向かうこともボランチには求められ、時にはシャドー、さらにはCFを追い越すのも特徴となるだろう。

 イングランド戦はボール非保持の場面が多くなったが、基本的なタスクは変わらない。特に鎌田大地がボールを引き受け、試合の主導権を手繰り寄せようとしていたように、どんな展開でもボールを保持する時間を大切にするようになってきている。守備面について目を向けると、お互いの位置を見ながら相手を捕まえたり、スペースを埋めたり、ハイプレッシングについていったり、ロングボールが飛んできそうならセカンドボールに備えたりと役割を柔軟に入れ替えながら、当たり前のことを全力でできるかどうかが求められている。

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Profile

らいかーると

昭和生まれ平成育ちの浦和出身。サッカー戦術分析ブログ『サッカーの面白い戦術分析を心がけます』の主宰で、そのユニークな語り口から指導者にもかかわらず『footballista』や『フットボール批評』など様々な媒体で記事を寄稿するようになった人気ブロガー。書くことは非常に勉強になるので、「他の監督やコーチも参加してくれないかな」と心のどこかで願っている。好きなバンドは、マンチェスター出身のNew Order。 著書に『アナリシス・アイ サッカーの面白い戦術分析の方法、教えます』 (小学館)。

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