SPECIAL

サミル・ハンダノビッチ:前任と真逆。みんなの模範、守護神の向上心

2020.06.21

【チームリーダーの心得】 守備的ポジションの選手が向いている

GK1
Samir HANDANOVIC
サミル・ハンダノビッチ

(インテル)
1984.7.14(35歳)193cm/89kg SLOVENIA

 2014-15シーズン、ロベルト・マンチーニ監督(当時)はマウロ・イカルディを主将に任命した。「チームで重要な存在だったし、クラブの歴史の中でも重要な人物になると期待したからだ」。ハビエル・サネッティの引退後、リーダー不在と言われたチームにあって、インテルの将来を担う若きストライカーに牽引役としての責務を負わせようとしたのだ。

 リーダーシップに年齢は関係ないから、そのこと自体は間違ってはいないだろう。だが、マンチーニの親心は完全に裏目に出た。気性の荒さはなかなか改善されず、たびたびトラブルを起こす。さらには夫人にしてタレント、そして代理人であるワンダ・ナラがいろいろと口を出した。「キャプテンの資格がないと言うならパスを出せない選手を問題にするべき」とTV番組で話したり、選手の個人名を挙げて批判したりとエスカレート。ロッカールーム内での人間関係を外で吹聴するという、主将の関係者として一番やってはいけないことをやってしまった。2019年1月、イカルディは主将の座を剥奪され、数カ月後にパリ・サンジェルマンに放出される。それでもなおワンダは「チームはマウロを売るためにキャプテンから下ろしたのよ!」などと言う。選手間の微妙なバランスを彼女が理解することは難しかったのかもしれない。……

残り:411文字/全文:1,049文字 この記事の続きは
footballista MEMBERSHIP
に会員登録すると
お読みいただけます

TAG

インテルサミル・ハンダノビッチ

Profile

神尾 光臣

1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。

RANKING