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2セントラルMFではなくあえて3バックで組み立てるフライブルク

2019.12.03

注目クラブの「チーム戦術×CB」活用術

欧州のトップクラブはセンターバックをどのようにチーム戦術の中に組み込んでいるのか。そしてCBはどんな要求に応え、周囲の選手と連係し、どんな個性を発揮しているのか。2019-20シーズンの興味深い事例を分析し、このポジションの最新スタイルに迫る。

#11_フライブルク

 序盤戦のブンデスリーガで最大の驚きを提供したフライブルクは、開幕6試合でドルトムントより2ポイント多い勝ち点13を確保。バイエルン、RBライプツィヒに次ぐ3位まで浮上してみせた。失点の減少やアウェイで力を出せない内弁慶の克服、ルーカス・ヘラーやルカ・バルトシュミットなど日替わりヒーローの出現などが躍進の要因で、それらのベースに攻守の確固たる組織があるのは言うまでもないだろう。

 ビルドアップ時の大きな特徴は、2枚のセントラルMFより3バックの貢献度が高いこと。言い換えるなら、中盤センターを意図的に経由せずに組み立てるケースが基本になっている。リベロのロビン・コッホからショートパスを受けた左右のCB(ドミニク・ハインツとフィリップ・リーンハルト)は、味方のセントラルMFがフリーだったとしても、ワイドの高い位置にポジションを取るウイングバックへのパスを優先。同サイドなら鋭いグラウンダーのボールを、逆サイドなら対角線のロングフィードをズバッと通す。その狙いは突破力やキック精度に定評がある両ウイングバック(クリスティアン・ギュンターとヨナタン・シュミッド)の良さをシンプルかつ効率的に引き出すこと。また、中盤のゲーム構築力が低い(パサーのアミル・アブラシ起用時はやや高まる)という、チームとしてのウィークポイントを覆い隠す意図も感じさせる。

 相手が左右のCBにハイプレスをかけてきた際のパターンも用意してある。セントラルMFのニコラス・ヘフラーが最終ラインまで下がって数的優位を生み出すのだ。また、中央のコッホと右のリーンハルトが絶妙なタイミングでポジションを入れ替えることで、フォアチェックを仕掛けてくる相手に的を絞らせない。こうしたメカニズムの中で、そもそも足下の技術があり、フィードセンスも上々の3バックは伸び伸びと攻撃への貢献を果たせている。

 敵陣で相手ボールの際は[3-4-3]で、自陣で押し込まれた際に[5-4-1]に変化する守備時における3バックの動きはオーソドックス。相手が2トップなら3CB のうち2人がマンツーマン気味になり、必ず1人(基本的にはリベロのコッホ)はスペースのケアやカバーリングができる態勢を整えている。ゴールラインの近くからクロスを放たれた時にボールウォッチャーとなり、人数がそろっていながらエリア内で相手を捕まえられないケース(第5節のアウグスブルク戦ではこの形から失点)が気がかりながら、失点はここまでリーグで5番目に少ない。

 欧州カップ戦出場クラブとの対戦が集中していた第7節以降は勢いを落としたものの、それでも6位。堅守の要であるコッホ、ハインツ、リーンハルトの真価が今まさに問われている。


Photos: Bongarts/Getty Images

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Profile

遠藤 孝輔

1984年3月17日、東京都生まれ。2005年より海外サッカー専門誌の編集者を務め、14年ブラジルW杯後からフリーランスとして活動を開始。ドイツを中心に海外サッカー事情に明るく、『footballista』をはじめ『ブンデスリーガ公式サイト』『ワールドサッカーダイジェスト』など各種媒体に寄稿している。過去には『DAZN』や『ニコニコ生放送』のブンデスリーガ配信で解説者も務めた。