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FIFA U-20 ワールドカップでブレイク!?見逃せない南米の注目選手達

2019.05.15

毎回、数多くのスター候補生が参加するU-20ワールドカップ。南米からはこれまでにリオネル・メッシやセルヒオ・アグエロ(ともにアルゼンチン)、ホセ・マリア・ヒメネス(ウルグアイ)、ガブリエル・ジェスス(ブラジル)、ハメス・ロドリゲス(コロンビア)といった選手たちがその才能の片鱗を見せてきた、サッカーファンなら見逃せない若手の登竜門だ。もちろん今大会も、各国の代表チームが注目すべき逸材を揃えている。ここではその中から選りすぐりの4人を紹介しよう。

レオナルド・カンパーナ

 最初に紹介するのは、今大会の予選となったU-20南米選手権で得点王となり、エクアドルの初優勝に大きく貢献したFWレオナルド・カンパーナ。2000年7月24日生まれの18歳で、エクアドルの名門バルセロナSCのトップチームでプレーしている。

 実はこのカンパーナ、国内でも有数のエリート一家に属する御曹司で、父親のパブロ・カンパーナはテニスプレーヤーから企業家に転身して成功をおさめた後、現在はエクアドルの貿易相を務めており、母方の祖父イシドロ・ロメロは同国を代表するビジネスマンで大富豪というバックグラウンドを持つ。貧しい生活から養ったレジリエンスを糧に大成するケースが多い南米では珍しいタイプの選手と言えるだろう。

 祖父はかつてバルセロナSCの会長を務めていたことがあり、巨額の資金を注ぎ込んでチームの強化を図った結果、90年にコパ・リベルタドーレスで準優勝を遂げる好成績を残したことから、同クラブのホームスタジアムが「イシドロ・ロメロ」と名づけられた。祖父の名がつけられたスタジアムを本拠地とするクラブの下部組織に16歳で入団したカンパーナは、親族のコネで入ったと懐疑的な目で見る一部の人々を見返すかのように16試合で15ゴールをマーク。その後も得点を量産し続けて一躍注目を浴び、最終的にバルセロナの下部組織では40試合に出場して41ゴールを決め、往年の名選手イバン・カビエデスの再来と呼ばれるようになった。

 187cmの長身だが、優れたテクニックとスピードを駆使したドリブルを得意とする。圧倒的な突破力でマークを引き寄せながら得点に持ち込む粘り強さと決定力では群を抜いており、今大会におけるエクアドルの行方の鍵となることは間違いない。

アドルフォ・ガイチ

 続いて紹介するのは、そのU-20南米選手権で惜しくも準優勝に甘んじたアルゼンチンのFWアドルフォ・ガイチ。去る2月26日に20歳の誕生日を迎えたばかりの大型ストライカーだ。

 コルドバ州のベンゴレアという人口800人の小さな街で生まれたガイチは、13歳まで地方リーグでプレーしていたが、プロを目指すために首都ブエノスアイレスのビッグクラブが行うスカウティングに参加。いくつかのクラブで試された結果、2014年、14歳でサン・ロレンソの下部組織に入団した。

 幼い頃から体格に恵まれ、フィジカルの強さからサン・ロレンソの下部組織で「Tanque」(タンケ=戦車)と名付けられたガイチは、優れたシュート技術と強烈なキック力を武器に昨年8月から同チームのトップチームに昇格。同年7月にスペインで行われたアルクディア国際ユース大会にU-20アルゼンチン代表の一員として出場した際には、ムルシア選抜相手に190cmの長身を活かした力強いヘディングシュートを決めて話題となったが、「空中戦での競り合いでもっと勝てるように鍛えたい」とする本人の言葉のとおり、まだまだ成長の余地が残されている。前線で待ち伏せるタイプではなく、中盤まで下がってパスワークに参加しながらビルドアップに貢献するだけのテクニックと俊敏さも持ち合わせている。

 憧れのロベルト・レバンドフスキの動きを参考にしているといい、サン・ロレンソの番記者から「我われのレバンドフスキ」と呼ばれるほどその将来が期待されるが、今大会がその飛躍への第一歩となるか。

ブルーノ・メンデス

 350万人足らずの総人口から次々と優れた選手が輩出される土壌を誇るウルグアイ。今大会も屈指のメンバーで参戦するが、中でもあのディエゴ・ゴディンの後継者と謳われるブルーノ・メンデスから目が離せない。コリンチャンスに所属する1999年9月10日生まれの19歳で、U-20ウルグアイ代表ではチームのキャプテンを務めるチームのリーダーだ。

 かつてルベン・ソサやアルバロ・レコバといった名手たちを育てた名門ダヌビオのジュニアチームで4歳のときからサッカーを始めたメンデスは、センターバックとしてプロを目指すも途中で挫折した父親の影響で、幼い頃からディフェンダーとしてプレーを続けてきた。得意とするポジションはセンターバックだが、14歳でワンデレルスに入団してからはサイドバックとしてもプレーする機会を与えられ、最終ラインでのオプションとなりうる多様性を習得して18歳でプロデビューを果たしている。同時にU-18ウルグアイ代表からU-20代表へと順調に昇格し、その堅実で多彩な守備力が認められ、昨年11月にはケガを負ったゴディンの代わりにA代表に招集。ブラジルとフランスとの親善試合でいきなりフル出場を果たし、ネイマールやオリビエ・ジルーを相手に文字通り身体を張ったプレーを見せて国内のメディアから高評価を与えられた。このフランス戦のあと、ジルーとユニフォームを交換した際に「欧州で君とまた対戦できる日を待っているよ」と言われたエピソードが話題となった。

 ワンデレルスでプレーしながら夜間学校に通い、生物学と医学を学んだという勤勉家でもあるメンデスが模範とする選手はやはりゴディン。ピッチ内外でリーダーシップを発揮する19歳の今後が楽しみだ。

イバン・アングロ

 最後に紹介するのはコロンビアの至宝と呼ばれるアタッカー、イバン・アングロ。1999年3月22日生まれの19歳で、今年2月からブラジルの強豪パルメイラスでプレーしている。

 アングロの才能を語るとき、彼がコロンビア国内で優れた逸材の発掘と育成に定評のあるエンビガードの出身であることを忘れてはならない。エンビガードからはフレディ・グアリン、ハメス・ロドリゲス、フアン・キンテーロといった代表の主力クラスの選手たちが巣立っており、アングロも下部組織時代から才能を見込まれ、2017年にトップチームでのデビューを果たした。中盤以外にウイングとしてよりゴールに近い位置でもプレーでき、U-20南米選手権では持ち前の速さを活かしたドリブルから攻撃に欠かせない存在となっただけでなく、自らゴールも決めて本大会出場権獲得に貢献した。

 まだ荒削りなところもあり、本人も「決定力に磨きをかけることが課題」と語っているが、エンビガードの育成部門の指導者たちは「うちで大切に育てられてきたという経歴だけで伸びしろが保証されているようなもの」と言い切る。コロンビア国内では、すでにレアル・マドリーが獲得に興味を示しているという報道もあり、次世代のA代表を担う選手になることはほぼ確実と考えられている。

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原点がココにある

5/23(木)開幕

FIFA U-20 ワールドカップ ポーランド 2019

J SPORTS にて全52試合生中継!

放送予定

5/23 (木)27:00- 日本 vs. エクアドル

5/23 (木)27:15- ポーランド vs. コロンビア

5/24 (金)27:15- ウルグアイ vs. ノルウェー

5/25 (土)27:15- アルゼンチン vs. 南アフリカ

他試合スケジュールなど詳細はこちら


Photo: photogamma

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アドルフォ・ガイチイバン・アングロブルーノ・メンデスレオナルド・カンパーナ育成

Profile

Chizuru de Garcia

89年からブエノスアイレスに在住。1968年10月31日生まれ。清泉女子大学英語短期課程卒。幼少期から洋画・洋楽を愛し、78年ワールドカップでサッカーに目覚める。大学在学中から南米サッカー関連の情報を寄稿し始めて現在に至る。家族はウルグアイ人の夫と2人の娘。